認知症の教科書 (ニュートン別冊) 【読書感想文】 美しいイラストで脳に入り込む
★★★★★
Amazonでレビューしたものです。
1.専門家による最新の脳研究結果をわかりやすく
認知症について、脳と腸内細菌と、老化と対応の4つに分けて解説されています。
1つの題材についてそれほど文章が長くなく、わかりやすく美しいフルカラーのイラストがドーンと描かれているので、絵を見ていくだけでも読むことができます。
しかし、内容は非常に専門的で、引用論文についてもしっかり提示されています。
監修は、順天堂大学名誉教授の新井先生を筆頭に7名の先生方となっています。
新井平伊先生のアルツクリニックはこちら。
特別予約診療は初診30分13000円、アミロイドPETは15万円でございます。
2.CONTENTS
1 認知症から見える脳のしくみ
アルツハイマー病とは?
アルツハイマー病と認知症
認知症の症状
認知症発症の兆候
記憶のしくみ
場所細胞とグリッド細胞
嗅覚と認知症
原因①アミロイドβの蓄積
原因②タウの蓄積
原因③炎症反応
原因④遺伝子変異
APOE4遺伝子とアルツハイマー病
APOE遺伝子の世界分布
APOE遺伝子の進化
APOE4遺伝子とペプチド類
現在の治療薬
抗アミロイドβ抗体①〜③
創薬研究
早期診断・早期治療①〜②
2 腸内細菌叢と認知症
腸脳相関
常在菌マップ
腸内細菌と肥満
認知症と腸内細菌
認知症と腸内細菌叢
抗生物質と腸内細菌
抗生物質と認知症
糖尿病と認知症
IBDと認知症
IBDと睡眠障害
便秘とパーキンソン病
腸内細菌と免疫
腸内環境のととのえ方
百寿者と腸内細菌叢
腸内細菌と短鎖脂肪酸
認知症を防ぐ食物繊維量
水溶性食物繊維と認知症
認知症とビフィズス菌
column 1 不安行動を生み出す
腸内細菌代謝物を特定
3 体と老化
老化の特徴
細胞の老化
幹細胞の老化
骨と筋肉の老化
筋線維組成
百寿者の筋肉
筋肉と結合組織
目と耳の老化
歯周病
歯周病と全身の病気
4 脳寿命を伸ばす生き方
認知症の病理学的分析
SCDとMCI
早期介入①〜③
認知症の危険因子
聴力低下と認知症
運動不足の解消①〜②
睡眠不足の解消①〜②
ゲームで脳を鍛える
column 2 大人の海馬でもニューロンは再生する
column 3 海馬に新生ニューロンを育むフィジカル・アクティビティ
3.認知症は生活習慣病なのか
①神経細胞とタンパク質と
レカネマブの働く仕組みについても大きなイラスト付きで解説されています。
レカネマブは抗アミロイドβ抗体医薬です。
アルツハイマー病は、老人斑と神経原線維変化という病理学的変化を認めます。いずれもタンパク質の塊で、神経細胞に影響し死滅させてしまいます。
このうち老人斑の方が、アミロイドβというタンパクの集まりになっています。
アミロイドβを標的とする抗体である、抗アミロイドβ抗体を投与すると、アミロイドβや老人斑に集まります。そこへ脳の掃除屋であるミクログリアという細胞がやってきて、アミロイドβを食べて除去してくれます。
このような機序で、アミロイドβを減らすことにより、アルツハイマー型認知症の進行を遅らせる効果があるとされています。
②腸内細菌の影響
腸内細菌叢によって生み出された物質が脳に影響を与えているという研究結果が出ているそうです。うつ病や統合失調症、自閉症、不安障害から、認知症まで!
この本では、プロバイオティクスとプレバイオティクスで”腸活”を進めており、プロバイオティクスは乳酸菌、プレバイオティクスはオリゴ糖と食物繊維だそうです。さらに、水溶性の食物繊維で認知症のリスク低下とされており、海藻、大豆、大麦、野菜、果物、こんにゃくに含まれているそうです。
③認知症の危険因子の対策で遅らせられる?
新井先生のクリニックでは、カフェをやっているそうです。
上記の認知症の発症リスクのうち、変更可能な要因は、35%だそうです。
3分の1ですね。
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