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ドラゴンクエスト ダイの大冒険 勇者アバンと獄炎の魔王 10巻 【ネタバレ読書感想文】 勇者対魔王=正義対悪?

★★★★☆
Amazonでレビューしたものです。

ハドラー目前で、地獄門を守るバルトスと対峙するアバン。剣の達人6人分の力を持つバルトスに苦戦するアバンは、彼の胸元にある、手製の星飾りに気づき…。




ついにアバン先生の過去編もクライマックスです。
バルトスとの戦いが終わり、ハドラーとの最終決戦にうつります。
正直どちらの戦いも結末を知っているので、そこまでの目新しさはないかなと思ってました。

戦いの詳細と背景の確認になりますが、背景を知った方が良いのか知らない方が良かったのか、読んでから悩むことになるとは。

1.騎士すぎるバルトス

地獄の騎士バルトスとアバンの一騎打ち。

バルトスさん偉すぎますよ。立派すぎますよ。
敵の勇者を褒め称えつつ、正々堂々と戦うその姿。
そこらの人間よりよっぽど高潔な魂をお持ちです。
本当に魔王の部下なのか、本当に悪い敵なのか、と思ってしまいます。

そして、回想シーン。
息子にに請われて剣の稽古を腕一本でしてあげる優しい父・バルトス。つい怪我させてしまったとヒュンケルを心配するバルトスと、それを見守る仲間の魔物たち。
あたたかい・・・(涙)
みんな多分勇者の軍に今殺されてるんですよ、大した戦力ではないとか言われながら。。
切ない。。

人間の戦争もそうなんですよね、実際に戦っている末端の人は普通の人だったり、家ではいいお父さんだったりするんですよね。
大事なものを守るために、戦っているだけで。

2.魔王ハドラーはなぜ魔王になったのか。


ハドラーさんどうしちゃったの。
部下にダメ出しなんて、上司が一番してはいけないことでしょうに。
命をかけて戦ってくれてるのにさあ。

「彼らの必死の戦いを蔑むなど・・・邪悪の魔王としての器すら疑わしい!」
「それがおまえの本心だと言うなら・・・!
ハドラー!
すでに破れたり!」

これはアバンが正しいですね。

対するハドラーは、魔王ならではのお約束の勧誘を行います。

「おまえは特別なのだアバン
種族の枠を超えた存在だ
オレと・・・同じだ!」

ハドラーのその選民思想とでもいう傲慢な考えは、一体どこからきたのでしょうか。

この巻の扉絵、ここへきて新キャラが来たのかとビビってしまいましたが、、実はでした。

若かりしハドラー!
格好いいじゃないですか!
ピッコロさんみたい!

いまいちこの世界の構造がよくわからないんですよね。バーンがいる魔界が地上界の下にあるという設定だったと思うのですが、、、
(キルとミストは、原作そのままってくらい似ていてびっくりしました)

そして、ハドラーは一体どこからきたのでしょうか?地獄ってどうして?親とかいるのかな?

若いハドラー、もっと掘り下げてほしかったなあ、と思う反面、このぐらいサラッとでも良かったかなとも思いました。

ドラクエの世界では、魔王は悪で、勇者は正義です。
しかし、ハドラーにも若い頃があって、魔王を目指そうとした過去があった。
その内容が辛いものだと、ハドラーに同情してしまうかもしれません。

ダイは、基本的には子供向けの作品ですが、ところどころで人間のいやらしさが描かれるところがあります。ダイやマトリフの飛び抜けた能力で邪険にされたりしました。
最終的にダイはそれでも人間を肯定しますが、決して人間が正しいだけの存在ではないと示します。

では、魔王や魔物が悪いだけの存在でなかったら?
それは見てみたい気もしますが、見せてはいけないものなのかもしれません。

次が最終巻になるんですかね。
ちょっぴり寂しいです。

著者:三条陸 (著), 芝田優作 (著)
ASIN ‏ : ‎ B0CWYHYNFG
出版社 ‏ : ‎ 集英社 (2024/5/2)
発売日 ‏ : ‎ 2024/5/2
言語 ‏ : ‎ 日本語
ファイルサイズ ‏ : ‎ 117854 KB

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