ドラゴンクエスト ダイの大冒険 勇者アバンと獄炎の魔王 8巻 【ネタバレあり読書感想文】 すべての戦いを魔王のために
★★★★★
Amazonでレビューしたものです。
やっぱり執事は強かった
地底魔城へ侵入を図るパーティー一行。
互いに最終決戦と位置付け、総力戦の様相を呈します。
今まで世話になった皆々が集結し、アバンたちを城へ進めさせます。
執事もぼっちゃまのためにきてくれました。
ジニュアール家の執事たるものってやつですね。
こういうキャラ大好きです。
あれ、、確かに回想と鎧違うような、、まあいいか。
「すべての戦いを勇者のためにせよ」
ロカたち3人もアバンを魔王の元へ送り届ける決意を固めます。
一方、ハドラーは、ガンガディアの進言を受け入れ、玉座にとどまります。
確かに、いつも最前線で戦いたがる彼らしくない決断です。
秘法の後遺症のためか、人間への恐れか、それとも、、
その決断が彼らの運命をどう導くのか。
ついに最後の戦いが幕を開けました。
父子の別れ
そんなハドラーにヒュンケルは頼みます。
「死なないで」
「死なないで」
「家族を守って」
私が拾って育てていた猫が、半年前死んでしまいました。
悲しかったです。
人間に殺処分され虐待される野良猫で、種も色形も毛深さも食べ物も異なる獣でしたが、私にとってその猫は、赤の他人の人間よりも、愛する家族でした。
きっと彼らもそうだったのでしょう。
ヒュンケルが育った家は破壊され、共に笑い合って過ごした仲間は、アバンたちによって傷つけられ殺され、死体があちこちに散らばります。
バルトスは死を覚悟した戦いに出向き、ともに戦おうとするヒュンケルを閉じ込めます。
我が子を守るために。生かすために。
そして、プレゼントを握りしめ、勝利を心に誓い、戦地へ向かいます。
結果彼は、幹部としての忠誠よりも、剣士としての誇りよりも、父親としての愛情を取り、愛を知り父親になった骸骨は、その身を滅ぼしました。
それは、不幸だったのか、幸福だったのか。
その父を失ったもののけの子は、人間を憎み、実家に帰って人間を殺し続けました。
涙によって救われ、人間に戻るまで。
知を求めた獣
あまり私はドラクエのゲームは詳しくないのですが、トロルといえばハリーポッターに出てくるあれでしょうか。
よだれダラーーっ棍棒ドーンってヤツ。
本を読むどころか話もできないデブ。
そんなデストロールの突然変異らしいガンガディア。
知を愛するメガネキャラです。
醜く愚鈍なトロルの自分を恥じ、頑張ってダイエットして本を読んで勉強し、何百回も呪文の特訓を続けた彼。
そんなトロルらしからぬ彼が理想とし尊敬したのが非力な大魔導士でした。
マトリフを1番の強敵とみて、その強敵に勝つために、理想も自分も命も投げ打ち、己の全てを賭けます。
全てはハドラーのために。
彼は有能な中間管理職ですが、そんな彼にここまで忠誠を誓わせるハドラーもまた、いい魔王なのでしょう。
全てを賭けた全身全霊の戦いに、クールなマトリフも、らしくない燃える闘魂で応えます。
勝敗を分けたのは、頭脳か、勝利の女神の微笑みならぬ罵倒か。
大好きな本を託し消えるガンガディア。
悦びと誉れとともに。
すべての戦いを魔王のために
どうも私は、このアバンの冒険のシリーズで、勇者一行より、魔王軍に感情移入してしまっているようです。
この後の運命を知っているからか、作者の手にはまっているからか。
そもそも魔王軍て、そんな悪いでしょうか?
襲ってくるから撃退するのはわかります。
悪いことをしているのもわかります。
でも、人間も同じことしてますよね。
土地を武力で襲って奪い、先住民を殺し奴隷にして働かせて、世界一の繁栄大国を作ったんですよね。
人間同士を殺し合せ、人と牛を戦わせ、犬同士を殺し合せ、馬を競わせて殺してますよね。
親子を思い、仲間と協力し、努力して自分を鍛え上げ、君主のために命をかける。
人と何か違うのでしょうか。
同じではないでしょうか。
ハドラーを助けたくなってしまいます。いつぞやのポップと同じ気持ちで。
悪とは何か。
魔とは何か。
アバンは答えをくれるのでしょうか。
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