荒木飛呂彦の新・漫画術 悪役の作り方 【読書感想文】 荒木先生はまんま露伴でした
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Amazonでレビューしたものです
0.目次
第1章 漫画の「基本四大構造」を復習&さらに深掘りする
第2章 超重要! 悪役の作り方の基本
コラム 『ジョジョ』歴代敵キャラについて
「悪役の作り方」実践編 その1 岸辺露伴の担当編集者・泉京香の作り方
「悪役の作り方」実践編 その2 一から悪役を作ってみる
第3章 漫画の王道を歩み続けるために
番外編 『The JOJOLands』第1話とコマ割りについて
1.第2弾ですよー
ジョジョの奇妙な冒険の作者・荒木飛呂彦先生が書かれた漫画の書き方の本。
「荒木飛呂彦の漫画術」
2015年に書かれた本になります。
それから時がたち、、、
再び荒木先生の漫画術・第2弾が発売されました。
これは、JOJO magazineに書かれたものに加筆されたものになっています。
2.主人公が乗り越える何か=悪役
内容は大きく3章に別れていて、最後に番外編が追加されています。
①前回の復習
最初の1章は、前回の「漫画術」の復習になっており、前回書かれた、「基本四大構造」についての説明が簡潔になされています。
「基本四大構造」とは、荒木先生が試行錯誤して学んだ、漫画の王道を歩むための道標で、①「キャラクター」、②「ストーリー」、③「世界観」、④「テーマ」になっています。この4つを絵やセリフが補完する構造です。
ただ、この辺の内容は今回はざっくりしたものですし、前回の漫画術で書かれた「導入」については書かれていません。
荒木先生が自分の漫画をとにかく読んでもら得るように、「導入」をいかに工夫したか、は非常に興味深い内容でしたので、直接前の漫画術を読んでいただくことをお勧めします。
②漫画の中の主役の敵と、漫画家の敵
次にこの本のメイン、悪役の作り方になります。
荒木先生曰く、魅力的な悪役は漫画のヒットに欠かせないんだそうです。
漫画においては、主人公が、敵とぶつかって、それを乗り越えていくというのが基本であり大切で、強くて悪くて魅力的な敵を作るのが大事になるということですね。
そして、8部にわたるジョジョのラスボスたちについて、それぞれ作者の解説を乗せていきます。
ただ、敵=乗り越えるものは必ずしも人でなかったり、わかりやすい敵でない場合もあったりするんだそうです。
ここで、岸辺露伴の短編「ホット・サマー・マーサ」が例にあげられています。
ここで繰り広げられるバトルはなんと、漫画家と編集者の表現の自由のバトル!
自分のしたいと思う表現を禁止されると、漫画家は「敵が現れた!」と感じるんだそうで、そういう場面にしょっちゅう遭遇するらしいです。
そこで、漫画家・岸辺露伴と対立する編集・泉くんのバトルが勃発しました。
荒木先生曰く、ジョジョはロックで漫画もロックとのこと。
確かに昔は漫画なんか読んでいるとバカになると言われて、子供が読ませてもらえない家も多かったですね。今の人は信じられないかもしれませんが、私が子供の頃はそういう家多かったです。うちは漫画OKでしたがゲームはダメでした。
そして現代は、ちょっとしたことですぐに炎上炎上と言われたり、一部だけ切り取られて曲解されて報道されたり、コンプラコンプラと、本当に言いにくく生きにくい世の中になったな、と思っています。
さらにジョジョなどは海外で販売されることもあり、国が違うと表現に規制も入るそうで、表現を変えられたり消されたりすることが多いんですねえ。
これに対して荒木先生は、
ロックですね。
③「この岸辺露伴が金やちやほやされるためにマンガを描いてると思っていたのかァーッ!!」
しかし、3章では、編集者は敵ではない、とフォロー?を入れています。
そして、”自分のためだけに漫画を描かない”の項では、
露伴じゃん!
そのままじゃん!
漫画家はなんのために漫画を描くのか?
漫画術から、人生とか哲学に関わる深い話になってきました。
3.AIで物議?
この本の中のAIに関する一説がSNSで物議になっていたそうです。
そうなの?
AIというよりも、そういう技術の進化を利用して詐欺を図ろうとする「悪」に怒っていると理解したんですけどね、私は。
プロの描いた絵をAIに真似して描かせてプロが描いたことにして高く売ろうって話ですよね?
昔の贋作の手口そのままじゃあないですか。フェルメールとか。
それはAI云々というより、それを使って人の権利を侵害する奴がダメってだけで、当然だと思いますけどね、画家としては。
宣伝動画もありました。
拝読??
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