＜「ジョジョの奇妙な冒険 クレイジー・Dの悪霊的失恋２」感想＞ 神のリプレイ ダイヤのリビルド 立ちはだかる宿命
amazonレビューしたものです。
★★★★☆
恐怖の克服、亡くした身内の悔恨からの解放がテーマ？
一歩を踏み出せない紫煙には、
黄金から半歩近づこう。
では、
失ったものを探し求めるものたちには？
神の恐怖に囚われ自信を失った皇帝。
再び正しく時を刻むには、恐怖を乗り越えた高潔なる法皇の導きと、クレイジーな破壊に優しい再生が必要なのでしょう。
そのホルホースを助け、知らずに、まだ見ぬ実父の、曽祖父の、さらには祖母の、自らの血の宿命と対峙する仗助。
そして、失った花京院を想い、罪悪感を抱きつつ、そこから解放されたいと願う涼子。
DIOの恐怖の克服、亡くした身内の悔恨からの解放が、この漫画のテーマと言うことでしょうか？
うーん。
これがテーマだと、マンガだと暗いし重いかなあ。
何よりビジュアル的に盛り上がりに欠ける。
導火線はあれだとわからないし肩透かしだしインパクトが弱いし。
昔の失敗や亡き人を思って乗り越える展開が好きな作者さんなのでしょうか。他にパープルヘイズ以外知らないのであれですが、、
小説と漫画は違う表現である。あとカメラワークが見にくい。
小説と漫画は異なる表現方法である。
小説は人間の内側に入ってそこから展開して外側を描写したり、中と外を行ったり来たりすることが可能だ。
しかし、漫画はあくまでも絵の表現だから、人間の外側からいかに内側を見せるかになる。（モノローグとかはあるが、モノローグが多すぎると辛い）
小説は読む人間の想像で風景や外見などの絵を（勝手に）補ったりできるが、漫画はあくまでも提示したもののみで変えられない。
漫画で人の内面を表現し続けるのは難しいし、あまり漫画寄りのテーマにはなりにくい。絵的な美しさやインパクトが勝負のメインとなり、そこからワンクッション置いて内面を表すことになる。
しかし、どちらも読者の人生を彩り楽しませるエンターテイメントには違いない。
原作のストーリーは、異端に見えて王道である（と原作者はいっている）。少なくとも3部と4部は、友情・努力・勝利に乗っ取り、波紋やスタンドという興味深い能力を駆使し、仲間と協力して敵に打ち勝つストーリーだ。途中切ない展開もありつつ、読後に爽快感も得られ、読んでいてワクワクする楽しいエンターテインメントだ。
これらエンタメにおいて、ストーリーものにおいて、登場する人物は特に重要である。
人間は、大きく自分とかけ離れ優れた人物に憧れたり、共通項のある人物に共感したりするものだし、生い立ち性格考え方や外見癖などの人物の情報を得てある程度の時間触れていると、実際にいないと分かっていても情が湧いてくるものだ。
スピンオフ作品の場合は、すでに原作があり、登場人物はほぼ確定されており、原作を知っている読者の中に共通項としてすでに出来上がってしまっている。矛盾のない追加エピソードはよいが、人物の性格言動を原作から離れすぎると別モノになってしまう。
仗助くんのキャラは、もっとフレンドリーで人懐っこい年相応の男の子のイメージなんですよねえ。さすがジョセフの息子だけあって、抜け目なくカマもかけるし決めるときは決めるけど、普段はもっと普通の高校生で、内心ビビってたり茶目っけあったり。喜怒哀楽がストレートというか。
それに、兄貴にすぐ懐いたり、りょんりょんを追いかけたりが、今まで見ている範囲では今いちよくわからないんですよね。理解できない共感できない。
スピンオフの新キャラはさらに難しい。新しい人物でも元からいるキャラと差別化しないといけないけど、あまり違うと世界観から浮いてしまう。あの世界の濃いキャラの中に入ってやり合わないといけないし。読者にとっては知らない人なので、人物像をもう少しわかりやすく描いてくれないと共感できない。
涼子ちゃんは、今のだとただ自分のための軽犯罪イライラキャラに見えるんですよねえ。事件前のもともとの性格や、お従兄ちゃんを慕うやりとりとか、迷子の具体的な経緯が見えれば、ギャップで事件の重みがわかりやすいし、同情もでき親しみも湧くけど。
従姉妹って一般的にはそこまで関係が深くならない親戚だしねえ。
良平さんと仗助、こちらのジジイと孫は、原作では残念ながらすぐ退場されたので印象が薄いから、もっとじっくり見たいところですね。仗助にとってはほぼ父親がわりだったのでしょうし、ちょっとやんちゃな孫息子と気が強くて私生児を産んだ娘を、暖かく包んでくれていたのでしょうか。
ジジイと孫っぽいやりとりがもっとあってもいいかなあと。
もともと自信なんてなかったボインゴの恐怖の克服には、優しく頼れる祖父のはげましが必要なのでしょうかねえ？
ストーリーに戻ると、今までの話だと結構シリアス続きで、ずっと戦いだと疲れるのでホット一息つける緩急がほしいところです。
旅の合間のオヤジギャグとか、日常の学生生活とか、恋愛のトキメキとかがあって、戦闘シーンがしまるっていうのはありますよね。
心理描写がメインの話なら、対象人物のコマを重ねて表情姿勢仕草視線を変えていくなど、じっくり表してくれないと、伝わりにくですね。1巻でも思ったんですけど、絵的にカメラワークというかコマ割りというかが見にくいと感じています。あっちみせたりこっち見せたり。
たまにはデフォルメやくずれた表情も欲しいです。箸休め的に。
あと、ビジュアル的に仗助の隣に並ぶには、ホルホルさん若くないし、ボインゴ小さいし、何よりスタンドビジュアルが弱いですね。
エメラルドの復活を。
ここは杜王町。
クレイジーで奇妙でグレートな街。
殺しの女王の潜む町。
そして、霊が漫画家と再会する街。
その前に、桜の実を依代に記憶をつむいで再生し、彼の魂を故郷に戻してあげてくれないだろうか。
メッセージは伝わって、みんな助かったと教えてあげてほしい。最期の願いは叶ったと。
可愛がっていた従姉妹と、気持ちが通いあった友に、別離の挨拶をさせてあげてほしい。
それに、時を超えたエメラルドとダイヤモンドのバウトを見てみたいし、原作者公認の仲良くなれそうな高校生タッグも見てみたい。
幼くしてスタンドを発現し周りの無理解に晒されてきた私生児は、孤独だった生まれながらのスタンド使いと出会えば、苛立ちもなくなるかもしれない。
天才のスピンオフ。その宿命を超えていけ。
天才荒木飛呂彦先生の生み出した漫画・ジョジョの奇妙な冒険は、多くの人々を魅了し続け、小説、アニメ化、ドラマ化と展開された。
いずれも、原作を継承し、時に原作を補完し、場合によっては原作を超え、それぞれ高い評価をえている（年末が楽しみ！)
さらに、
原作の9部も始まることが発表された！
さて、
スピンオフ漫画はどうだ？
これだけ世界に知られた人気作品のスピンオフだと、色々言われるので気の毒だと思います。（自分を棚にあげて）
でもスピンオフの宿命だから、がんばって背負って戦ってください。
とりあえず、漫画のパラパラ声付き動画は欲しいです、集英社様。
もちろん、小野友樹さん＆木内さんと、平川さん＆子安さんで。
9部の宣伝もつけるといいかもですよ。
追記
今日（12月30日）、ジョジョワールド2にいって、ダービー兄に勝った戦利品をゲットしました。
そしてそれを持っていつもの美容院に行ったところ、持ち物を確認されてしまいました。
「ご存知ないと思いますけど、ジョジョの奇妙な冒険っていう、、」
と言ったら
「ああ、ジョジョ！好きですよ！」
という反応、
でこっちがびっくりしました！
タロットはわかるけど、九栄神は知らないくらいの感じでした。
全然オタク系とかではないお兄さんなんですが。
ジョジョって、、そんなメジャーだったとは、、、
じゃなきゃジョジョワールドなんでできないとは思うけど、自分の周囲に知っている人がいない上に、昔のイメージだと独特な漫画の印象だったので。。。