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俺たち一生BAND BOOM

3マンスプリットツアー『BAND BOOM』
2024.9.25 名古屋クラブクアトロ

1番手はw.o.d.

今までいろんなバンドのライブを見てきたけれど、その中でも一番重低音が腹に響くバンドだと思っている。心臓の弱い人は注意した方がいいんじゃないかと少し心配になるくらい響く。ベースのエフェクトもあるけど、ドラムの一音一音が強い。軽やかなタイプというより、鋭いタイプな気がする。時々本当は機械音なんじゃないかとすら思う。

新曲は退廃的で投げやりな雰囲気の中にもエネルギーのある曲だった。渋くてかっけー。新しいアルバムも期待大。
「My Generation」大好き芸人なんだけども、テープでレコーディングするくらいアナログにこだわる、というかこだわれるほどの実力がありながら、打ち込みまで似合うのかよ!!!反則!!!と毎度なる。

SIX LOUNGE「ピアシング」が唐突に始まった時の私は、12月25日の朝、ずっと欲しかったおもちゃをサンタクロースからもらった子供みたいな顔をしていたと思う。こういうことがあるから、ライブというのは最高でやめられないのだ。
フラッドのカバーも非常によかった。カバーは相手に対してのリスペクトがないと成り立たない。仲の良いバンド同士で回るツアーならではの、愛に溢れた演奏だった。

クールでテクニカルでパワフルなのにちゃんとエモいの、ずるいよね。

2番手はa flood of circle

恥ずかしながら今まで一度もちゃんと聞いたことがなく、ライブも初めて。
感想を一言で言うと、「本物や。」だった。

歌が上手いのは言うまでもなく、というか3バンドとも上手すぎわろたなんだけど、圧倒的な表現力、人を惹きつける魅力、よく通るしゃがれ声、よく通るしゃがれ声ってなんだよ、でも矛盾していそうでしない、聞きやすくも心震える質感、つい真剣に聞き入ってしまい、ジブリキャラクターがびっくりした時髪の毛が逆立つというか浮くやつみたいに、ひょえ~~~となった。

マイク一つでフロアに降りて、自由に喋って歌って、周りで巻き込まれたお客さんの笑顔が眩しい。ああ、これ、私が好きなロックバンドだ。

早口で詰め込んだ言葉の羅列、ラップとはまた違う、語りみたいな歌は、正面突破で体内に侵入してくる。凄まじいパワーにより発生した向かい風で髪がなびいた気すらした。またジブリみたいだ。なのに全然胡散臭くないし説教臭くもない。気付いたらそこにあって、気付いたらみぞおちくらいにすとんと落ち着いている。これはまさにカリスマというやつだろう。

「わかりやすいの、もうよくないっすか(笑)」
痺れた。ここ数年で最高に痺れた一言だった。何でもかんでもわかりやすさが求められるこの時代に、中指立てて実力で黙らせる先輩の背中、頼もしさ120%。

私は今まで何をしていたのだろう。こんなマジモンのガチの天才がずっと走り続けていたというのに。いや~~びっくりした。

トリの3番手、SIX LOUNGE

スリーピースと思えぬ音の重厚感なのにちゃんとスリーピース。各パートがぴったりはまる気持ちよさが高揚感に変わる。
「モモコ」は、暗め重めハードめなイントロから想像がつかないサビのファルセットがセクシーで超クールで好きな曲。
新曲「Madness」は、サビのメロディがめちゃくちゃ聞き覚えがあって、今書きながらミスチル「Pink~奇妙な夢」だとわかってすっきり。雰囲気は全然違うけど。

w.o.d.「楽園」をやりかけてやめたり、フラッド「Honey Moon Song」をワンフレーズだけ全力で歌ったり。もうちょっとちゃんとやってほしかったけど、それはそれで彼ららしい。
演奏中ベースのリクくんの眼鏡がふっ飛んで、スタッフが爆笑しながら直していたのが可愛かった。はちゃめちゃ大盛り上がり。

年々ダイバーライブキッズが増えてきていて、売れるというのはこういうことなんだなあなんてしみじみする。売れて大きくなって遠くに行ってしまうのが悲しい、という古参のぼやきはよくある話だが、彼らにはどんどん遠くまで行ってほしいと思う。例え曲調が売れ線になろうが、アイドルみたいになろうが(さすがにそれはないか)(それはそれで失礼か)ライブハウスに帰ってくれば、彼らはいつでも彼らのまま。どんな曲をやろうとすべてSIX LOUNGEの曲にしてしまうのだ。私は古参ぶれる程昔から知っているわけではないが、行けるところまで行ってほしい、いつまでも追いかけていたいと思う。


アンコールはSIX LOUNGEに他2バンドのボーカルが加わり、ビール片手に忌野清志郎「雨上がりの夜空に」を熱唱。なんて贅沢。令和にこんな最高な清志郎あるかよ。本人にも聞かせたい程には最高で、最高のツアー初日の締め括りだった。

ああ、こんなに満たされた帰り道。これを幸せと呼ばすになんと呼ぶ。
だんだん涼しくなってきた夜道を、少し湿った夜風に髪をなびかせながら歩く。今度は自分で歩み進んで生まれた風だ。

2024年夏の終わり、素晴らしい音楽に出会えた、そして、やはり音楽は素晴らしいと再確認できた夜だった。

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