【パプリカ】荘子「胡蝶の夢」との繋がり。夢の中を完全に再現した最高傑作
中国の荘子による「胡蝶の夢」という説話がある。簡単にまとめると
【ある日眠ると自分が蝶になって羽ばたく夢をみた。しかし自分が見た夢が蝶なのだろうか?
もしかすると今の自分こそが蝶が見ている夢なのかもしれない…】
という内容である。
パプリカでは主人公は夢と現実とで二面性をもっていて、現実が敦子で夢がパプリカである。
しかし両者は二面性であるだけで、切り離されてはいない。
敦子はパプリカでありパプリカは敦子なのだ。
そのような面を見ると私は先に述べた「胡蝶の夢」を思い出してしまった。
(パプリカが夢の世界で蝶になったりもするので、もしかすると監督もそれを思って作っているかもしれない。)
兎にも角にもいい映画だった。
まず夢の中の描写で度肝を抜かれる。
風邪をひいて熱を出したりしたときに誰もが見たことがあるような、あのカオスで地に足がつかないような悪夢が見事に表現されている。
夢での脈略のない話へワープする感じや、キャラクターの潜在意識というものもうまく活用しながら場面がめくりめく変わっていく。
夢を題材にした映画でこれ以上に夢を描けてる映画は見たことがない。
終盤のシーン
「大事にしろよ。」
「ああ、嘘も真もな。」
このセリフが作品の核心を突いていると思った。
真実からできた嘘があるように、嘘から出た真もあるわけだ。
また真実と嘘・現実と夢は切り離されているように見えて、両者は互いに絡み合っている。
なので嘘だから夢だから作りものだから(映画だから)といって、有耶無耶にしてはいけない。
どちらも対等に大切にするべきだ。というメッセージも汲み取れる。
ここまでだらだらと小難しいこと述べてきたが、頭を空っぽにしてみてもこの作品は十分に面白いと思う。
特に個人的にはどこか掴みどころの無い女の子というものが大好きなので、パプリカに魅力された。それはきっと私だけではないはずだ。