<ブルックリン文化風俗アーカイブ記事>高級化するコミュニティで助け合うNYC移民の絆
1ベッドルームの平均家賃が3850ドルを記録し、NYCが「全米で一番家賃の高い都市」になったとか。チェルシー地区からフラットアイアン地区くらいまでの、テック企業が密集する「シリコン・アレー(Alley=路地)」と呼ばれるエリアまでのアクセスの良い地下鉄(2・3とか)の沿線上には、バリバリ稼ぐ若者や若い家族などに大人気の高級コンドの建設ラッシュが続き、やれ「西半球で一番高いところにあるインフィニティプール」とか「高級ホテル並みのジムやスパ付き」みたいなバブリーな売り文句がついている。
以前までは老夫婦や家族などが所有していた瀟洒なタウンハウスをディベロッパーが買い取り、フロアごとに独立したコンドミニアムとして建て替えられ、高値で売れている。どんどん周辺地域の人口密度が高くなり、路上駐車をするのも一苦労。
ネイバーフッドの様相が変わり、矢継ぎ早に地域の人々の顔が入れ替わると、とくに仲が良いわけでもないが「お互い顔だけは認識している」レベルの地元の人々との間にしみじみと連帯感や親近感が湧くものだ。「あの人はまだいる」という確認作業が今までよりも大きな意味を持ち始めるのは興味深い。
そんなブルックリン在住22年目の移民の日常を何となく記録しておきたいな、と思って書き記した、2021年新春の記録です。
最近近所にできたオシャレ系グルメスーパーにシメジを買いに行こうとしたら、明日の雪予報に先駆けた買い出しの行列で店内に入れなかったので、90年代から知ってる近所のアラブ系のスーパーにダメ元で行ってみたら、シメジはないけどシイタケはあった。でも今度は各レジ前に行列ができていた。
大の行列嫌いにつき、今日は干し椎茸で妥協するか、と諦めて品物を棚に戻そうと思ったら、そこのオーナー(でも毎日店先で働く勤労おじさん)が目ざとく私を見つけ、こちらにやって来て挨拶してくれたので「最近すごい人気だね、近所にデザイナーズコンドが続々とできてるし、ビジネスも順調そうで良かったじゃん」と声をかけると「でも君や君の家族はもうずっと贔屓にしてくれてるから」と言い、1パック6ドルのシイタケはそのまま持って帰ってヨシ、次回来た時に何か多めに買ってくれ、と申し出てくれた。
嬉しいオファーだが、さすがにお金を払わないのは大人としてどうかと思うので、ちょうどポケットに入っていた5ドル札を手渡し、次回は何か余計なモノをひとつ買うからね、と約束してお店を出た。
コレですよコレ。ホールフーズじゃこんなことありえないでしょ。移民が移民をルックアウトするこのウィンウィン感。サイコーすぎる。浮気してゴメン。これからも贔屓にするからシメジ入荷して。。