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③【前半戦最後のテーマ】非物理的要因に対してセラピストは何をすべきか

こんにちは!

ノルウェーの理学療法協会が、腰痛専門の研究者・教授・臨床者であるKieran O'Sullivan氏を招いてWebinarを開いてくれるということを知り参加してきました。

セミナータイトルはずばり!

Low back pain rehabilitation: how can ‘physical’ rehabilitation professionals address ‘non-physical’ factors?

「腰痛リハビリテーション: ‘物理的’リハビリテーションの専門家は、‘非物理的’要因にどのように対処できるのか?」

とても内容も興味深く、私自身講義の最後に聞いてみたかった質問なども聞けたので、数回にわけて投稿していきます。

前回の記事を見ていない方はぜひこちらからどうぞ♪

【前半戦スタート】慢性腰痛エキスパートのセミナー参加してみた
【前半戦中盤】
Kieran O'Sullivan氏 腰痛セミナー


今回は、非物理的要因に対して、私たち理学療法士は具体的にどのようにアプローチしていけばいいのか。オサリバン氏の言葉を紹介しながら皆さんが考えていければと思います!

非物理的要因を「治療」するとは?

1.損傷信念(Damage beliefs)への対処:痛み=損傷ではないと伝える

多くの患者は、「痛み=身体が損傷している」という信念、いわゆる「損傷信念」を持っています。これは、生物医学モデルに基づいた従来の痛みの解釈から来るものです。この信念は、痛みが続く理由を患者が「身体のどこかが壊れているからだ」と考え、慢性化した痛みに対して過度に不安を感じる原因にもなり得ます。

このような患者に対して、理学療法士としては、痛みが必ずしも身体の損傷や障害によるものではないことを伝える教育が重要です。患者が「痛みは身体の損傷と直接結びついていない場合がある」ことを理解することで、痛みに対する恐怖や不安を軽減し、リハビリに前向きに取り組む姿勢が生まれます。

例えば、慢性腰痛では、痛みが必ずしも筋肉や骨の損傷によるものではなく、ストレスや心理的なプレッシャー、または社会的要因によって増強されることが多いです。この点を患者に理解させることで、痛みの捉え方を変え、より効果的なリハビリを行うための基礎が築かれます。

2.痛みへの理解を深めてもらう(Making sense of pain):痛みのメカニズムを説明する

次に、患者に痛みのメカニズムや要因を理解してもらうことが重要です。これは「Making sense of pain(痛みの理解)」というプロセスであり、痛みがどのようにして生じ、何がそれを悪化させるのか、または軽減させるのかを患者に教える段階です。

理学療法士は、痛みが神経系によって処理され、身体だけでなく脳や感情とも密接に関わっていることを説明します。例えば、脳がストレスや不安を感じると、身体の痛みをより強く感じることがある、というメカニズムをわかりやすく伝えることが大切です。これにより、患者は痛みを単に「身体の異常」として捉えるのではなく、複合的な要因から理解できるようになります。

特に、慢性的な腰痛や首の痛みなどでは、単なる身体的なアプローチだけでは痛みが解消されにくい場合があります。そのため、痛みが感情や精神的な状態とも関連していることを患者に教え、その知識をもとにリハビリの方向性を考え直す必要があります。

3.痛みの理解と運動療法の統合(Integrating this with movement/exercise) : 教育&情報共有をリハビリにどう活かすか

痛みの理解を深めた上で、次に大切なのが「運動や動作のリハビリとどう統合するか」という点です。患者が痛みのメカニズムを理解したとしても、それをどのようにリハビリの実践に結びつけるかが重要です。

理学療法士は、運動療法やリハビリプログラムの中で、患者が痛みに対する恐怖心を克服し、有意義な動作を再学習できるように支援する必要があります。

運動を導入する際には、痛みを感じたときにすぐに休むのではなく、「痛みがあっても動いていい」ということを伝えながらサポートをしていく等。もちろん、無理な動きを強制するのではなく、痛みをコントロールしながら徐々に動かすことで、神経系に「動いても安全だ」という信号を送り、患者が自信を持って日常生活に復帰できるようサポートします。

以上、3つの点をオサリバン氏は講義の中で指摘していました。

私個人的には最後の3の部分が「たしかになぁ、そうだよなぁ」とうなっていました。これら教育の部分や最新痛み研究の情報をシェアして、そしてそれらをどう運動やアクティビティにつなげていくのか、という部分がとても重要でもあり難しくもあるんですよね。

皆さんはここまで読んでみてどう思いましたか?

セミナーではここで10分休憩があったので、こちらも前半戦終了ということで記事をしめたいとおもいます!

後半戦もお楽しみに~

前回の記事を見ていない方はぜひこちらからどうぞ♪

【前半戦スタート】慢性腰痛エキスパートのセミナー参加してみた
【前半戦中盤】
Kieran O'Sullivan氏 腰痛セミナー


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