⑤慢性腰痛に対して理学療法士の私は何をどうすればいい?
こんにちは!
ノルウェーの理学療法協会が、腰痛専門の研究者・教授・臨床者であるKieran O'Sullivan氏を招いてWebinarを開いてくれるということを知り参加してきました。
セミナータイトルはずばり!
Low back pain rehabilitation: how can ‘physical’ rehabilitation professionals address ‘non-physical’ factors?
「腰痛リハビリテーション: ‘物理的’リハビリテーションの専門家は、‘非物理的’要因にどのように対処できるのか?」
とても内容も興味深く、私自身講義の最後に聞いてみたかった質問なども聞けたので、数回にわけて投稿していきます。
前回の記事を見ていない方はぜひこちらからどうぞ♪
【前半戦スタート】慢性腰痛エキスパートのセミナー参加してみた
【前半戦中盤】Kieran O'Sullivan氏 腰痛セミナー
【前半戦後半】非物理的要因に対してセラピストは何をすべきか
【後半戦①】LOW BACK PAIN X COGNITIVE FUNCTIONAL THERAPY
1.後半戦序盤のおさらい
後半戦序盤では、オサリバン氏はCognitive Functional Therapy(CFT)のセオリーを簡単に説明したうえで、では理学療法士の私たちはどうアプローチしていくべきかの講義を進めてくださいました。前回の記事では①痛みの理解 – 「Making Sense of Pain」②動きの改善 – 「Movement」についてご紹介させていただきました。
以下、その続きです!
2.具体的にCFTを理学療法の治療としてどう取り入れるの?(続)
(続)3.Movement/Exercise
CFTにおいて、動きやエクササイズ(Movement/Exercise)は、身体的な要素だけでなく、心理的な側面も強調されます。痛みを感じている患者に対する運動療法は、単に筋力や持久力を高めることを目的としたトレーニング(Strength & Conditioning)ではありません。
〇恐怖心の軽減
運動療法の重要な目的の一つは、痛みに対する恐怖心を軽減することです。痛みを感じている患者は、動くこと自体に恐怖を感じ、動作を避けがちです。この恐怖心を取り除くためには、徐々に体を動かす経験(エクスポージャー)を積み重ねていくことが必要です。
〇「無理に動かす」ではなく「自然に動かす」
CFTの運動アプローチでは、体を「無理に動かす」よりも、「自然に動かせるようにする」ことが目標です。これにより、患者は身体に対する自信を取り戻し、強制されるのではなく、自発的な動きができるようになることを目指します。
4.運動と活動– Exercise and Activity
CFTの治療において、運動や活動は患者が長期的に実施し、持続的な効果を得られる重要な要素です。運動は痛みの改善に役立ちますが、患者が安全かつ効果的に取り組むためには、いくつかのポイントを考慮する必要があります。
〇運動と活動で注目すべき3つの焦点
CFTでは、運動や活動の取り組み方について次の3つの側面に注目します:
コスト(Cost):運動やリハビリにどれだけ費用がかかるのか。
好み(Preference):患者自身がどのような運動を好むのか、そしてその好みは誰のものなのか(患者自身の希望か、それとも他者の期待か?)。
アクセス(Access):患者が実際にどれだけ簡単に運動にアクセスできるか(場所や時間、サポートの有無)。
〇安全性に関する神話に注意
患者が「何が安全か」について誤解をしている場合もあります。例えば、特定の動きや運動が危険だと思い込んでいることがあります。ここで大切なのは、患者が「何をしたいのか」「何をする必要があるのか」を理解し、それに基づいて運動や活動を選択することです。
〇運動の「許可」 vs 「処方」
しばしば、患者にとっては「運動をする許可」を得ることが、医療者からの運動「処方」よりも重要です。つまり、運動を強制的に行うのではなく、患者自身が運動することを安心して行えるようになることが大切です。
〇運動をする際の周りの環境
患者が「どこで」「いつ」「誰と」運動するのが好きなのかを把握することも重要です。患者が心地よく続けられる環境で運動を行うことで、長期的に持続する効果が得られます。
また長くなりそうなので今日はここまでにします!個人的にコスト・好み・アクセスって、むっっっっっちゃくちゃ大事だと思うんですが、皆さんはここまで読んでどう感じられましたか?コメントやメッセージ励みになりますのでぜひぜひお気軽にどうぞ♪
それではまた!
前回の記事を見ていない方はぜひこちらからどうぞ♪
【前半戦スタート】慢性腰痛エキスパートのセミナー参加してみた
【前半戦中盤】Kieran O'Sullivan氏 腰痛セミナー
【前半戦後半】非物理的要因に対してセラピストは何をすべきか
【後半戦①】LOW BACK PAIN X COGNITIVE FUNCTIONAL THERAPY