『遥かなる山の呼び声』と『零落』
ドラマ『遥かなる山の呼び声』に、続編があることを知らなかった。去年の9月に放送されていたなんて、全く気づかなかった。編集部が消えた後、リニューアルWEB立ち上げに向けて、あくせくと毎日を送っていたからだろう。
前作は2018年。映画版の高倉健&倍賞千恵子に代わってドラマ版は阿部寛&常盤貴子。おそらくオールドファンはあれやこれやと比べるんだろうけど、私は決して比べません。阿部ちゃん(どうしても、この呼び方をしてしまう)と常盤さん、大好きなので。
先ごろ、45分×4回にして再放送が始まったが、「あれ? そんなに尺ってあったっけ?」ということで、続編の存在に気づいたのだった。
しかし、毎週1話なんて待ってられん。NHKオンデマンドにあった続編を先回りして観てしまった。そして、放映された第3話も。
「新たに未公開シーンを加えて」なんて触れ込みで、たしかにそういうカットもあったけど、元にはあったのに削られた場面も。第3話でいえば、筧利夫のセリフ。あれ、彼の“趣味”を表すけっこう大事な言葉じゃないのかなぁ。ま、おそらく山田洋次の意思なんだろうから、それはそれでしかたあるまい。
説明セリフ好き、ナレーション説明好きな山田洋次だけれども、今回は諸々抑えられていたので、それが良かった。「説明過多」はきっと、懇切丁寧に教えてあげないと理解できない観客に向けてのサービスなんだろうが、そんなものはそもそも要らんのだ。きわめてわかりやすい物語だし。
それでも、「あの子、なんであんなんなっちゃったの?」なんて「???」の視聴者はいるのだろう。で、大概そんな人たちは「わかんないからつまんない」って、作品や作った人のせいにしてしまう。自分の理解力のなさや、考えようとする努力なしに。そんな浅慮な人々は、どんどん置き去りにしてよいと思う。少しは自分の頭で考えろ!って思う。
昨日、たまたまつけたWOWOWで、昨年公開された竹中直人監督の『零落』を観た。原作は漫画らしいが、漫画家である主人公の苦悩を描いた物語で、斎藤工が好演していた。その主人公が折々に放つ、“漫画界を取り巻くものへの苦言”が、心に響いた。
売れたもん勝ち、バズったもん勝ちの世の中。それが芸術の分野だけでなく、どこもかしこも、である。ほんと、ダイジョブ?ニッポン。
……こんなこというと、「負け犬の遠吠え」なんて言われるんだろうが、別に何者とも勝負なんてしてないから、どうぞご自由に(堤義明チックに)。