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FRJ2025に参加してみた!

「河童の目線で人世を読み解く」市井カッパ(仮名)です。
「すべての組織と人間関係の悩みを祓い癒し、自然態で生きる人を増やす」をミッションに社会学的視点から文章を書いております。

御覧いただき、ありがとうございます。

今回は2025年1月18日(土)に有明TOCビルで開催されました、FRJ2025こと、ファンドレイジング・日本 2025の対面イベントに参加して参りましたので、その報告になります。

公式サイトはこちら

ちなみに、対面セッションは終わりましたがまだまだ終わらないFRJ2025!
オンデマンドセッションは2月28日まで閲覧できます。(参加申し込みは2月14日まで。)

注目のオンデマンドセッションは、私も選考委員に加わっている「日本ファンドレイジング大賞入賞団体から実践のポイントを学ぶ」で、こちらは現在、まだ未公開。1月末には公開されますので、要チェックです。

さて、対面イベントは、オープニングセッションの他、いくつかの部屋に分かれての分科会方式でのセッションが開催され、その総数23セッションでした。全部が参加できるわけではありませんので、今回の参加報告は私が参加したものを通しての報告になります。

実はこのファンドレイジング・日本、15周年ということですが、ちょっと調べてみると、私は2014年から参加しているようです。資料が残っていました。

4年参加していて、毎年毎年あまり変化を感じていなかったのが実際のところでしたが、コロナ禍にオンラインに移行し、その後、昨年からリアルイベントが復活しました。去年今年と参加してみて、この業界、加速度的に変化しつつあるな、ということを実感したのでした。

そもそもファンドレイジングって何?という方が多いかと思います。Googleの生成AIによると、下記のように説明されるようです。

ファンドレイジングとは、非営利団体が活動に必要な資金を個人や法人、政府などから集める行為やその手法を指します。日本語では「資金調達」「資金開拓」などと訳されます。

ファンドレイジングの例としては、次のようなものがあります。
会費の徴収
寄付の募集
事業収入
助成金や補助金の獲得
借入金
街頭募金や募金箱
オンライン・サイトを通じた寄付
相続による寄付
未投函の書き損じ葉書などの物品寄付
クレジットカードなどのポイント寄付
ファンドレイジングを行う非営利団体には、NPO法人のほか、NGOや財団、大学・研究機関などがあります。

ファンドレイジングを行う人々を「ファンドレイザー」と呼び、特にNPOや社会起業家などの資金調達を手掛ける専門家を指します。

Googleの生成AIによる検索結果

まあ、要するに資金調達なんですが、一般的に、株式や債券の発行によるものを除外した資金調達を意味していることが多いように思います。

さて、この分野なのですが、意義ということで、ものすごいたいそうなことを言いますと、社会の運営を市民の手に取り戻せ!ということになります。

要するに、戦時中体制のような、税金を中央が吸い上げてそれを国策で決めたところにばらまく、ということが日本ではずーーーっと続いていて、それが結局、天下りだの箱もの行政だのといった問題を産んでいるわけです。

国民が何も考えず財務省の言いなりになって税金を支払う代わりに、社会課題解決に取り組む非営利組織に寄付することによって、より国民ひとりが望むような社会を実現していく。そのサポートをするのがファンドレイジングです。

さて、今年のFAJ2025はこのファンドレイジングという機能の広がりを認知する機会となりました。そういう私的な観点で、今回のFAJ2025を振り返ってみたいと思います。

今回、参加したセッションはこちら。

オープニングセッション「ファンドレイジングで社会を変える〜意思あるところへ、意思あるお金を。」
NPO・企業・学校がつながる「from Me」&「寄付の教室」オープンギャザリング
システムチェンジに挑む「本気の」企業経営者たち
ファンドレイジングの哲学〜原始仏教哲学から考えるファンドレイジングの可能性
NPO業界に知って欲しい。小さな組織への光のあて方・価値の伝え方
寄付×学校で教育が変わる。多様な学びを支えるファンドレイジングの力

なんとなく直感で選んで参加しましたが、結果として多様なプレイヤーの話を聴くことができたように思います。

オープニングセッション

冒頭のセッションでは、渋沢健さんがアフラックの大竹美喜さんの言葉として、「一人では何もできない。が、ひとりが始めなければ何もできない」という言葉をおっしゃっていました。調べると、これは過去に様々な方がおっしゃっていたり、もともとは西洋のことわざとも紹介されていました。このお話と、一般社団法人日本承継寄付協会代表理事で司法書士の三浦美樹さんの「狂っていた」発言とが合わさり、誰もやらないことを熱意を持ってやろうとする「狂った一人」からしか、社会は変わらないんだ、というような話につながったのが面白かったです。

システムチェンジに挑む「本気の」企業経営者たち

昨年でもありました、いわゆる起業家で成功された方々が手に入れた資産の一部を使って社会貢献活動を行っている話。今回もありました。ここで気になったのが、株式会社ミダスキャピタル代表取締役 吉村英毅さんの発言。ソーシャルな活動について、自分達でやるのがいちばん効率的であると信じている、と。

つまり、これは従来のソーシャルセクターのマネジメントやオペレーションのレベルが低い、と言っているのと同じで、今後、DXも含めたソーシャルセクターの経営の効率性が問題になってきて、きちんとマネジメントが行われていない団体・組織は淘汰されていくことになりそうだな、と思いました。

ANRI株式会社代表取締役社長 佐俣アンリさんは、学生時代にETICに参加していたようですが、ソーシャルセクターの方々へのメッセージとして最後に、楽しくやりましょう、とおっしゃっていました。しんどい人たちを相手にするのにしんどそうな顔をしていては、誰も救われない、と。楽しく社会を変えていきましょう、というのは、確かにそうだな、と思いました。

また最近のトレンドとして「インパクトスタートアップ」というキーワードも出てきました。まあ、昔の言葉で言えば「社会企業」という感じの意味あいでしょうか。古いソーシャル界隈の団体よりも、こちらの方が見せ方が上手くて若者受けしてますよー、古い団体さんは頑張ってくださいねーというようなメッセージでした。参考までに、一般社団法人インパクトスタートアップ協会をリンクしておきます。

変な話ですが、こちらを見ても、社会課題解決に向けての競争が激化していることが見て取れますね。

ファンドレイジングの哲学〜原始仏教哲学から考えるファンドレイジングの可能性

今回、予想外に面白かったのがこちらのセッション。インパクトあるビジュアルの方は、実験寺院寳幢寺僧院長 松波龍源さん。寄付だけで成り立っている寺院を運営されています。

このセッションの話をまとめますと、ミャンマーの寄付率は9割を超えていて、その背景には仏教思想がある、という話。現在、日本のファンドレイジングはアメリカから入ってきたやり方が主流で寄付には説明責任をという話もあるが、仏教的にはお布施のその後にこだわるのは執着であり煩悩であると考えることから、紐付きではない寄付が良いとされる、というようなお話。参考記事を紹介しておきます。

もうひとつ、工藤さんは、西洋の人は社会問題をシンプルにこれをやればこれが解決する、という風に直線的に考えているが、日本人はどうしても、これがこれに関連して、という風に複雑に考えてしまう、というお話をされ、これを、『木を見る西洋人 森を見る東洋人』の書籍を紹介されていました。参考までに、これもリンクしておきます。

また、その関連で、冒頭で一般財団法人社会変革推進財団常務理事 工藤七子さんが出された社会課題の関連図として、ビジョンペーパーを出されていました。この手法が日本人的にしっくりきて、面白かったのでリンクしておきます。

考えてみれば、日本最古のファンドレイジングとされる行基は、ファンドレイザーでもあり、社会事業家でもあったという話もあるわけで、この辺の話がもっと深堀りされていくと面白いな、と思いました。

寄付×学校で教育が変わる。多様な学びを支えるファンドレイジングの力

最後のセッションでは、先端的な事例として神山まるごと高専の事例、そして鎌倉市教育委員会の取り組みの話が紹介されました。

また、その背景として、経済産業省の「未来の教室」の話も出てきました。登壇メンバーはこの関連での知り合いであったようです。

さて、このセッションではまとめますと教育セクターのファンドレイジングという話なのですが、神山まるごと高専での110億を運用して運用益で奨学金という大きな話から、公立の義務教育でも各学校に100万円程度の自由に使えるお金が欲しいという小さな話まで、出てきました。

確かに言われてみれば、母校に毎年1万円寄付してもいい、という卒業生は100人くらいは居そうです。しかし、それを集めようとする学校としない学校、集められる学校と集められない学校というのに分かれてしまっているそうです。

というか、母校の小中学校に寄付なんて、これまで考えたこともなかったので、これはなかなか目からウロコでした。

ただ、実際には、各学校にファンドレイザーを置くのは難しそうなので、教育委員会レベルで置くといいんじゃないか、という印象でした。教育委員会の役割も時代とともに大きく変化していますね。

ちなみに、ここで紹介された「イノベーション創出のための学びと社会連携推進に関する事例集」がまさに、このセッションの事例集でした。

https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/innovation_creation/20250115_jirei.html

ということで、冒頭にも書きましたが、この分野に様々な人が参加してきている、ということを実感する一日になりました。正直、政治家に期待して税金を支払い続けるだけで幸せな社会が実現するとはとても思えない。寄付して寄付を集めて行動して、という市民の動きは、今後、どんどん普通で当たり前になっていき、結果として、ファンドレイズのノウハウというのはありとあらゆるところで求められるようになっていきそうだな、ということを感じました。

そしてその過程において、ソーシャルセクターに関わる団体の信頼性と効率性が問われるようになってきており、まさに「非営利組織の経営」の質が求められる時代になってきそうだな、と感じました。

最後に、大事なことなのでもう一度。対面セッションは終わりましたがまだまだ終わらないFRJ2025! オンデマンドセッションは2月28日まで閲覧できます。(参加申し込みは2月14日まで。) 私もまさにドラッカーの『非営利組織の経営』を対談形式で解説する動画もあげていますので、ご興味あれば御視聴ください。

公式サイトはこちら

現場からは以上です。お読みいただき、ありがとうございました。
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市井カッパ
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