Sweet Stories Scrap マンスリー Vol.10 2021/10
この月イチ企画のタイトル画はHimeさんのイラストを「みんなのフォトギャラリー」から使わせてもらってるんだけど、大学生になって久しぶりに出くわした同級生の女子が意外と大人っぽくなってたみたいな感じでスキ。色っぽいけど、過度にエロくないのよ。エロいけど。どっちやねん。選んだ作品に合わせるようにしてるけど、無理には合わせへん。どっちやねんっ!
今月の3作品はこちら。#noteフェス やってる時ぐらい、それっぽいの選ぼうかなと思ったけど、結局いつも通りに選びますた。
僕とジュリエット/ごご茶
小説にはちゃんとした答がないと小説っぽくないと思う向きもあるやろ。ハッピーエンドか悲劇的結末か。はっきりしてくれたほうが分かりやすい。その点この作品は中途半端極まりない。主人公のジュリエットさんはいったいどういう素性の人なのか、けっきょく何が原因で、そんな結末を迎えたのか。だいたいこの物語を語っている少年は誰なん?そこのところははっきりと書かれていない。ああ、もう、分からへん。
でもな、そのほうがエエこともある。というかショートショートの醍醐味はそこかも知れんな。全部描き切ってたら長編小説になる。そこまでいかなくても文庫本で20ページぐらいの短編小説にはなってしまう。原稿用紙にしてほんの数枚のショートショートでは、むしろ何かをあえて描かないことで読者の数だけ物語の亜種が生まれるような気がする。書かれていない部分は読者の経験と想像力で補うしかない訳やから。補うのがしんどい作品もあるけど、放っておいても勝手に補ってしまって脳みその中に映像が浮かぶような作品もある。この作品は後者やったな(個人の感想です)。
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よみがえるネコ/小牧幸助
作者は「1分ショートショート」を謳っているんだけど、看板に偽りなし。それでいてちゃんと印象に残るメッセージがあるところがいい。
これを読んでる時に、いまNetflixでハマっている連続ドラマに出てくる「人は殺すけど犬は殺さない動物愛護の精神にあふれた元兵士の殺し屋」のことが頭に浮かんだ。戦争のことを描きながらも、愛だの命だのの大切さをそれとなく伝える存在として、動物というメタファーを用いるのは一つのレトリックとしてありなんだと思う。小川未明っぽい(知ってる?)。
うわあ、メタファーとかレトリックとか訳わかんない言葉使ってインテリぶっててヤダねえ。ちょっと自己嫌悪。
子どもたちの星空/オルカパブリッシング
んな、アホな――。
思わず、そう突っ込みたくなるような展開なんだけど、ここに書いてある出来事が昨晩起きたことだとしたらあなたはそれを否定しきれるだろうか。そういうのこそファンタジーって言うんだと思う。今日の夜空に浮かんだ星々が、一昨日のそれとまったく違っていてもオレには分かんないような気がする。大人になってしまったんだなあ。ちょっと自己嫌悪。
けっきょく「大人とこども」の違い。少年性と少女性のたいせつさ。そういうものがシンプルに表現されているような気がする。「大人とこども」ってファンタジーの永遠のテーマやよね。
あとなんかオルカパブリッシングさんの活動自体も気になるのよね。プロフィール欄にはこんな文言が。
オルカパブリッシングは現実と幻想のあわいを所在地とする出版社です。(中略)文学フリマ東京出店予定です。BASEのしゃち書店でも売っていたりします。
フリマとBASEの組み合わせ!新鮮!面白そう!運営している雑誌が総合カルチャー誌「無駄」!無駄って!面白そうな匂いがプンプンする。しばらくフォローしてみることにしよう(しばらくかよ、ずっとフォローしろよ)。
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という訳で、今月の締めの曲は星空にちなんだこの曲で。清志郎って死ぬまで少年性を失わない大人だったと思うな。秋の夜長にはぴったりの名曲だから四の五の言わずに必ず聴くように。
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noteマガジン「Sweet Stories Scrap(SSS)」はnoteに発表された短編小説から、独断と偏見で選ぶ『ステキな小説のスクラップブック』。月イチで3つ選んで批評を加えて配信中。気に入ったお話見つけたら通報ヨロシク😁
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