紙の書籍から直感的に感じていること
こんにちは、にぼしです。
最近、ミステリー小説『幻夏』を読みました。
私はミステリー小説にあまり詳しくないのですが、「相棒」「TRICK2」などの刑事ドラマやサスペンスドラマの脚本を手掛けた太田 愛さんの作品で、日本推理作家協会賞候補作にもなっているので、割と有名な本なのでは?と思います。
「冤罪」をテーマにした小説で、身近に犯罪者も冤罪になった人もいない私にとってはかなり考えさせられる内容でした。
内容に関しても色々語りたいのですが、今回は、紙の書籍を通して無意識的に感じていることについて話したいと思います。
2021年現在、本は電子書籍派という人はかなり増えたのではないでしょうか。
2019年度の有料電子書籍利用率は20.0%、無料利用も含めた電子書籍利用率は44.7%であり(出典:新産業調査レポート『電子書籍ビジネス調査報告書2020』)、その市場規模の拡大は凄まじいようです。
私も電子書籍を利用している内の1人であり、よほど読みたい本が電子化されてないケースぐらいしか紙書籍を購入しません。
今回、この『幻夏』も電子書籍で購入しました。
「ミステリー おすすめ」でググり、気軽な気持ちでこの書籍を購入し、内容についてはほとんど知りませんでした。
読み始めてしばらくしてから、右下に表示してある進捗具合を示す%が全然進まないことに気づきました。
これは思ったより長編小説だぞ・・・。
2時間ぐらいでさくっと読む予定が、土日まるまる使ってこの本を読むことになりました。
もちろん面白かったからこそ最後まで一気に読めましたし、途中から進捗具合はほとんど気にならなくなったのですが、読書開始直後は思ってたのと違う・・・という気持ちになりました。
そして、読んでみたら想像と違ったという感覚は、紙書籍より電子書籍の方が圧倒的によく起こるなと思いました。
紙書籍の場合、本を手にとってものの10秒の時間で、視覚・触覚を使って私達は様々なことを感じ取ります。
本の厚さは分厚いのか薄いのか。
フォントサイズは大きいのか小さいのか。
漢字ばかりなのか、ひらがなの割合が多いのか。
フォントは明朝体なのかゴシック体なのか。
行間は狭いのか広いのか。
私は本の出版に関わる人間ではなく、注意深く本を観察しているわけではありませんが、このような情報から直感的に書籍のターゲットが誰なのかということを読み取ります。
フォントが大きければ、子どもや老人などもターゲットに入れた比較的易しい内容の本だとわかります。
行間が広めの小説だと、気軽な気持ちでスキマ時間に読めそうな小説だな、と察知することができます。
無意識下で得られた情報から本のコンセプトやターゲットを知り、自分の読みたい本かどうかジャッジする。そして、その気分にあった本を適切に選ぶことができる。
これは電子書籍にはない紙書籍の良さだなと思いました。
しかし、電子書籍になったことでこのような良さが失われてしまいデメリットばかりが増えたかというとそうではありません。電子書籍には電子書籍なりの良さがあります。
電子書籍の最大のメリットは物理的に嵩張らないということですが、その他には、フォントやフォントサイズ、行間などを人に合わせてカスタマイズすることができるというメリットが挙げられます。
普段ライトな小説や、入門書などを手に取る機会が多い人が、専門書を読むからといって文字を小さくするかと言えば、なかなかしないと思います。
本に合わせて文字を変えるよりも、普段読み慣れているフォントサイズの方が格段に読みやすいのではないでしょうか。
また、視力があまり良くない方にとっては、大きな文字で見れるということはとても便利なことだと思います。
どちらも一短一長ありますが、今回の気づきを通して、紙書籍の出版側は読む人に合わせた読みやすい工夫をしてくれていることに改めて考えることができました。
久しぶりに本屋に足を運んで、出版側の思いにはせながら本を手にとってみようかなと思いました。