「アフター・ヤン」蘇る小津調
映画「アフター・ヤン」を鑑賞しました。
「ミッドサマー」「ヘレディタリー」などの話題作を生む、A24。
上記のような、ホラー作品で注目が集まりがちなA24ですが、今作「アフター・ヤン」は違います。
とっても繊細なSFドラマ作品です。
AIロボット"テクノ"の記憶や目線を通して、家族とは、人間とは何かを問う、美しく切ない物語です。
今回の記事では、なるべくネタバレせずに、作品の見どころや注目すべきポイントを解説します!
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STORY
https://youtu.be/zgy8AgWaqJ0
小津安二郎の世界観
私は今作を観て、カメラワークや家族の心情を静かでリアルに描く演出が小津安二郎の「東京物語」にとても似ているように感じました。
https://www.three-minutes-philosophy.com/tokyostory/
私がつい先日「東京物語」を観たところだったからなのか、それともコゴナダ監督が意識したものなのか、大変気になったので、調べてみました。
コゴナダ監督は、小津安二郎作品がかなりお好きなようです。
これは嬉しい気づきでした。
コゴナダ監督は小津安二郎の信奉者として知られており、前作の「コロンバス」でも小津作品へのオマージュを散りばめているそうです。
そもそも、コゴナダというお名前も、小津作品の脚本を手がけた野田高梧を意識したネーミングだとか。
「東京物語」の、部屋の隅を定点にして、撮影するスタイルや、静かに、真っ直ぐに家族同士を対話させるような表現にそっくりなシーンがいくつも観られます。
少し先の未来を描く
高度なAIロボットや、スマートグラス、自動運転システム、オンラインゲームなど、様々なテクノロジーが登場します。
AIロボットはまだ先かもしれませんが、それ以外はもうすぐ技術的に実現しそうなリアリティがあります。
憧れのテクノロジーながら、大げさな感じがしないのは、しっとりと家族ドラマが軸にある所以でしょう。
アジア文化
中国茶やラーメン、日本の缶ビールなど、アジアの文化がたくさん出てきます。
特に、老子やお茶の文化に関しては、かなり哲学的な表現も込められています。
これらを事前にインプットしていくと、よりストーリーに深みが増すはずです。
ファミリー・ダンスが最高
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きっと何度も観たくなっちゃう、クセになる動画です笑
死生観・人間性・家族
先述の通り、今作は小津安二郎の作品をかなり意識したものになっています。
小津作品は、「死」と「家族」をテーマにしたものが多いです。
「アフター・ヤン」で、コゴナダ監督はそれらの表現に挑んでいます。
死とは何か。家族とは何か。
大切な存在がいなくなることによって、家族や個人はどのように変わっていくか。
それらが、登場人物の行動や対話で絶妙に表現されます。
特に、終盤の、妻とヤンの回想シーンは、必見です。
また、「死」と「家族」に加えて、AIやクローンと共存する世の中において、「人間性」を問われる要素もあります。
クローンやAIに対する、人間の適切な向き合い方とは…。
静かながら、実は強烈なメッセージが込められているように思えてなりません。
坂本龍一とAska Matsumiyaの音楽
「アフター・ヤン」は音楽も素晴らしいです。
とっても美しく、映画をより印象的なものにしています。
詳しくはこちらで。音源も掲載中です👇👇
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます!
「アフター・ヤン」、コゴナダ監督が小津調を見事に表現しています。小津安二郎がAIやクローンをテーマに、家族を描いたら…?そんな味わい深い作品です。
ブログでは更に詳しく情報をお届けしています。ぜひ遊びにいらしてください!