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「トリとロキタ」知っておきたい欧州の移民問題

対岸の火事、異国の出来事では済ませたくない。

映画「トリとロキタ」を鑑賞しました。

衝撃的な作品でした。

私はダルデンヌ兄弟監督作品を初めてみましたが、強烈ですね。

パルムドールを2度受賞しているキャリアは伊達じゃない。

かなりメッセージ性の強い今作を、よりしっかりと咀嚼するために気になった点を深堀してみました。

ぜひ、最後までお読みください。


STORY

地中海を渡りヨーロッパへやってきた人々が大勢ベルギーに暮らしている。トリとロキタも同様にベルギーのリエージュへやってきた。トリはまだ子供だがしっかり者。十代後半のロキタは祖国にいる家族のため、ドラッグの運び屋をして金を稼いでいる。偽りの姉弟としてこの街で生きるふたりは、どんなときも一緒だ。年上のロキタは社会からトリを守り、トリはときに不安定になるロキタを支える。偽造ビザを手に入れ、正規の仕事に就くために、ロキタはさらに危険な闇組織の仕事を始める……。他に頼るもののないふたりの温かく強固な絆と、それを断ち切らんとする冷たい世界。彼らを追い詰めるのは麻薬や闇組織なのか、それとも……。

作品公式サイトより引用

ベルギーの今

アフリカや中東などから、自由を求めてヨーロッパをめざす人は後を絶ちません。

最も困窮した人々は、定員をはるかに超えた粗末な密輸船に乗り込み、命がけで地中海の島々に渡り、ギリシャやイタリアを経由し、ベルギーにもやってきます。

2022年にベルギーで難民申請を行った人は3万6871人で、前年比42%増。

シリアの内戦が激化した2015年以来で最多の記録となります。

ウクライナからの一時的な避難民は含まれず、これを合わせれば人口のほぼ1%にあたる10万人に達するといわれています。

とにかく、今ベルギーではかなり深刻な社会問題となっているのです。

保護者のいない未成年亡命者

そして、そんな移民の中には、当然子どもたちも含まれています。

「トリとロキタ」のように、保護者のいない未成年亡命者も。

彼らがどのようにサバイブするのか。

どのように搾取されるのか。

何を頼りに生きているのか。

「トリとロキタ」を観ると、これらを非常に身近に感じることができます。

社会に蔓延する不正義

ベルギーは、日本に比べればスリや強盗などの犯罪が多いものの、そこまで危険な国というわけではありません。

「トリとロキタ」の中では、ドラッグの製造と販売などの闇社会が描かれています。

ダルデンヌ監督は、これらはリアルな事実であるとインタビューで語っています。

「『トリとロキタ』で描いた問題には、保護者のいない未成年の子どもたちにビザが発給されにくく、18歳になると強制送還されてしまうという背景があるのです。それは法律を変えれば解決できるはず。
彼ら・彼女らはビザが得られないために、まともな職に就けないから、ドラッグの密売などに手を染めざるを得ないのです。ビザさえあれば、職業訓練だって受けられるし普通に生活が送れるのに。これは明らかに制度の不備だと私たちは考えています。そんな現状を変えるために、私たちはこの映画で問題提起をしているのです」

https://www.huffingtonpost.jp/ インタビュー記事より引用

現在も欧州では未成年の難民は増加しています。

極限まで発展する友情

そんな過酷な状況においても、人と人の繋がりは育むことができるし、むしろそれがないと心が折れてしまうのだということを、「トリとロキタ」で知ることができました。

血のつながった家族でなくとも、愛し合い、讃え合うことができる。

それが何よりも強い力になるんだなぁと。

今日の映学

最後までお読みいただきありがとうございます!

映画「トリとロキタ」から学んだ”ベルギーの今”について解説しました。

非常に学びの深い作品です。

ブログでは映画に関する情報をたくさん紹介していますので、ぜひ遊びにいらしてください👇


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