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お茶漬の味 何と美しい人間ドラマ

小津安二郎作品「お茶漬の味」を鑑賞しました。

胸にグッとくる作品でした…。

今回の記事では、時代背景や、小津安二郎作品の特徴をおさえつつ、見どころを解説します。

作品概要

今作は「麦秋」 と「東京物語」の間に公開された作品です。

「麦秋」に続いて小津安二郎と野田高梧の共同脚本で映画化しています。

真面目で堅実に、質素な日々を過ごす、地方出身の素朴な夫。

夫にうんざりするあまり、友人らと遊んで憂さを晴らす、上流階級出身の妻。

そんな二人のすれ違いと、和解までが描かれている作品です。

今作を観たきっかけ

私が今作を観たのは、先日「アフター・ヤン」を鑑賞したことがきっかけです。

「アフター・ヤン」のコゴナダ監督は、小津安二郎の作品を敬愛していることで知られています。詳しくはこちらで👇👇

しかしながら私は、小津安二郎作品を「東京物語」しか観たことがありません。

国外の映画監督からも注目される小津安二郎の世界観をもっと知りたいと思い、鑑賞した次第です。

テーマは「夫婦」

今作の最も強いメッセージは、夫婦の違いです。

地方の田舎出身の夫と、東京の裕福な家柄で育った妻。

二人は食事の仕方や趣向品、乗る汽車の等級なども好みが違います。

夫は、質素なものや、悪く言えば粗暴なモノを好み、

妻は、洗練されたモノや上品なモノを好む。

この好みは、結婚してから7・8年を経ても、お互い変わることはなく、

挙句些細なことから衝突し、口も聞かなくなってしまいます…。

このリアリティを真っ直ぐに描くのが、小津安二郎作品ならではといった感じがしますね。

胸にグーーっときます。他の映画にはない味わいです。


だからこそ、一緒にお茶漬を食べる、ラストシーンはたまりません。

夫婦が、共同作業経て、お互いに歩み寄りながら、因縁の汁ご飯を共に食し、壁を乗り越え、涙を流して分かり合う

気持ちの良いラストです。


本来は出征するシナリオだった

元々の脚本では、夫が出征することを機に夫婦が絆を取り戻すというストーリーでしたが、

出征前に関わらず、のんびりとしたストーリーであったために、内務省による検閲をクリアできなかったそうです。

当時はこのことが映画製作者にとって、映画を作りにくい時代になったと、大変衝撃的なニュースでした。

そのため、ウルグアイへの赴任というストーリーに落ち着いたようです。


笠 智衆

「 東京物語」で老夫婦を演じた笠 智衆ですが、今作では、まだまだお若い。

この頃はまだ実年齢50歳ほどなので、「お茶漬の味」が適齢。

「東京物語」の演技が凄まじいのですね。


人物をバストショットで撮る

叔父と姪のやりとりで、セリフの度に切り替わるショットが大変印象的でした。

こちらは、先述のコゴナダ監督の「アフター・ヤン」でも、何度も観られました。

もちろん、部屋の隅を定点としたり、ローアングルで撮影する「小津調」も盛りだくさん。

今なお最新映画で取り入れられる上、強烈なインパクトで、人々を魅了するとは…。

すごいものです。


カロリー軒

こちらはブログで解説しております👇👇

今日の映学

最後までお読みいただきありがとうございます!

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