映画「ONE DAY」“23年のラブストーリー”
男と女に友情は、有り得るか?
これは、長くに渡り議論されてきた。
そして、物事を始めるにしても、
終わらせるにしても、
タイミングが必要不可欠である。
そんな友情という愛の元に、翻弄される二人。
エマ(アン・ハサウェイ)と、
デクスター(ジム・スタージェス)
美しいロンドンとパリが舞台。
毎年7月15日の二人の出来事を、23年間の長きに渡り追っている。
(学生時代から、20〜40代までの期間)
劇の事あるシーンで、
エマがプールで集中して泳いでいる。
これは彼女の頭を冷静にする為の独り時間だ。
真面目で照れ屋の(純粋)エマと、
無邪気で自己中な(色男)デクスター、
幾度となく、友情と愛情の最中で、揺れ動く。
時を重ねるごとに、それぞれの転機、
人生の分岐点に差し掛かる。
あと少し…が届かない。
大切な存在であることに変わりは無いのだが。
…「タイミング」あと一歩…
これがなかなか合わない。
エマも、違う形の愛ではあるが、優しい、近くに居てくれる彼と、新しい暮らしを始めた。
デクスターの両親との関係。
デクスターの母親の死。
父親との気持ちの隔たり。
表向きは派手な成功者だが、
満たされない孤独。
実際は、薬物依存と酒と女に狂った自堕落な毎日。
事あるごとに、互いに理解し支え合う。
デクスターの馴れ合いが過ぎた頃、
エマが、それに耐え切れなくなり、
二人は別れを選ぶ。
エマは激しい思いを、デクスターに初めて投げつける。
『ずっと、あなたを愛してた…でも、今のあなたは好きじゃない』そう告げて、走り去る。
友人の結婚式での再会。
デクスターも、他の女性と結婚をすることを
エマに告げる。
しかも、子供が生まれる事も知る。
(決定的にタイミングは逸れた)
作家志望のエマは、デクスターとの思い出を詩にして、日記を書いていた。ずっとデクスターに特別な感情を抱いていたエマに、恋人は、怒りを隠せない。
こちらも、最終的には円満な別れを選択する。
一方のデクスターも、女の子が生まれて、慣れない育児に奔走しながら、順風満帆かと思われた夫婦生活から、思いのすれ違いで、結局離婚を選択。
独り身になったデクスターは、作家になったエマに、会いに行く。
二人に、タイミングがとうとう訪れた。
デクスターは興奮して、エマに長年の思いを伝えようとする。
しかし、既に、エマにはJAZZピアニストの恋人が居た。
デクスターは、エマと恋人の一緒に居る光景を眺め、その場を歩き去る。
今度こそと…
今回も…
ダメかと思っていたら、
エマが、デクスターを追いかける。
デクスターを呼び、
『今度、私をひとりにしたら、許さない』
タイミングが噛み合う瞬間。
抗えない運命が動き出した。
幸せな蜜月を過ごし、二人はついに結婚。
幸せには底が無い。
いま以上を求めてしまう。
二人は時間の流れに、押し流され、
互いの大切さを忘れてしまう。
また運命の7月15日。
エマは、プールで泳いだ帰りに、
デクスターの留守電にメッセージを入れる。
『今朝はごめんなさい。
ただ八つ当たりしただけ。
愛してる。
あなたは本当に幸運な人ね。
ちょっとだけ
約束の時間に遅れるかもしれないけど、
待っていて…』
デクスターがそのメッセージを聞いている。
店の中から、ガラス窓に落ちてくる雨粒を感じながら…笑みを浮かべて…
外を眺めている。
劇冒頭のシーンに戻る
エマが必死にまだ濡れた髪のまま、自転車に乗り、
デクスターとの約束の時間を急いでいる。
まさかの、一瞬の出来事…
エマが自動車事故に遭い、亡くなってしまう。
路上に仰向けの状態のエマの、
瞳からため息が溢れる。
人間、喪失感と、どのようにして向き合うべきなのか?悲しみに対するには?
デクスターの父親の言葉に一片の答えがあるように感じた。
『エマが生きているんだと思って暮らすんだ』
『出来ない…無理だ…』と力無くデクスター。
『いや、出来るさ…俺はこの10年そうして生きて来た』
父親と息子のわだかまりが、溶けた瞬間だ。
亡きエマが、結びつけた絆。
まさにタイミング。
元カレと現夫の和解。
元妻と愛娘との交流。
残されたデクスターに、穏やか笑顔が戻る。
これは、男女の友情の証。
それ以外に当て嵌まる言葉があるだろうか…?
これからも考えるだろう。
(私的には、肉体関係を結んだ時点で、非常に
難しいとも感じました)
one day
ある日
その時
を大切に。
様々なタイミングは、
様々な形で、知らせが来る。
ああ、映画って素晴らしい…
(水野晴郎さん風で)
フランス映画じゃないけど、パンフレットの
雰囲気、嫌いじゃない!
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