旅するビスケット。「制限」を越えるビスケットの可能性。
私がNoteでビスケットについて書きたいと考えたことにはいくつかの理由がある。1つにはもちろん自分が好きなものだということ。
2つ目はビスケットという食べ物に可能性を感じたためである。日本ではあまり意識をすることがなかったが、海外で暮らし始めてから私は食事をする際に食の「制限」を意識するようになった。
例えば、シンガポールで最も多い民族は中華系民族だが、彼らの中には敬虔な仏教徒であり、牛肉を食べない人やベジタリアンである人が多い。(ヒンドゥー教も同様)そのため、日本ではあまり普及されていないベジタリアンの店が多くあり、牛肉が一部入っている製品はきちんと表記がされている。同じくイスラム教徒の人々用にも豚肉やアルコールの明記がされており、ハラール認証のついたハラール食も充実している。
お隣の国マレーシアも、最も多い民族であるイスラム教徒のためのハラール食の充実はもちろん、他の宗教に配慮した食事や飲食店が数多く存在している。社会人留学で滞在していたフランスも同じく各宗教を考えた食品や飲食店が多様に揃っている。どの国に訪れても、人が口にするものには当たり前のように何を使用しているかが明記されていた。
日本にいると宗教を意識する機会は少ない。例えば、レストランでチキンカレーを頼んだとする。その場合、中に入っている肉は鶏肉だが、カレーのルーに牛の成分や具材を炒める際に牛脂やラードを使用したりしていることも多々ある。しかし、それをいちいち明記はしておらず、こちらが質問してもオーナーや作り手以外の従業員は把握できていないことも多い。そもそも日本は宗教色も薄いため、これについてあまり言及されることはなかったのがこうした現象の理由であろう。
しかし、世界に目を向けると日本はマイノリティであることがわかる。「制限」なくなんでも食べられるのが当たり前なので、日本にいると食に「制限」がある場合を想定することが難しい。私自身もそうだった。しかし、日本から一歩外に出るとこうした状況はスタンダードではないと気付かされる。宗教に加え現代ではビーガンも普及してきたので、より一層自分の口に入るものに意識を向けている人が増加しているように思う。
そんな中、ビスケットという食べ物は世界中にあり、どの国籍や宗教の人々も口にすることができる。何か好きなものの発信をしたいと考えた時、まず第一にどの国にもあるグローバルなものが良いと思った。例えば、私は世界の様々な国の料理が好きで日常調べたりするのだが、その国でどんなに有名で人気のあるものでも、食べたことのない食材や調味料で作られたものはなかなか味の想像がつかない。そうしたものはどんなにおいしいと言う話を聞いてもイメージがつかないのでその魅力が伝わりにくい。その点ビスケットはどの国にもあり、様々な国籍の人にとって馴染み深いものだ。「ビスケット」といえば誰しもがわかるし、説明がしやすく理解もしやすい。
発信の理由の2点目に、どんな人でも「制限」なく食べられるという理由がある。ビスケットはどんな宗教の人々でも口にすることができる。食の「制限」の垣根を越えて、万人が共通して食べられるのも利点だった。
加えて、ビスケットはそれ単体で食べてもおいしいが、タルトやチーズケーキなどのスイーツ、具材を乗せたオードブル、何かディップをしたりチーズと合わせたアペタイザーなどでもいただくことができる。このように可能性は無限大なのだ。
私はチーズも大好きで実はフランスにはチーズを学ぶために行ったという過去がある。大好きなチーズとのマリアージュとしても多くのビスケットをご紹介していきたい。ビスケットの持つ良さや可能性を本投稿で多く発信できたらと考えている。