【困っているひと】【新型コロナウイルス陽性】自己免疫疾患(指定難病)とともに生きる (14) - JANGAN MALU-MALU! Living with an Autoimmune Disease
【困っているひと】
次に一気に読んだ本は、大野更紗『困っているひと』(ポプラ社)、皮膚筋炎と筋膜炎脂肪織炎症候群を併発した著者の命がけのエッセイである。
私とは比べ物にならない壮絶な入院生活をおくっていて、それに比べたら、私の1か月超の入院生活は、なんてことはない日常の延長の一コマだったような気がしてくる。それでも、共通の体験も多く、退院の日のことばが私の想いと重なり、心にしみた。
【新型コロナウイルス陽性】
「自己免疫疾患(指定難病)とともに生きる (2)」【皮膚筋炎とは】で、「私の症状の主なものは、皮膚症状と間質性肺炎の二つ」と書いたが、実は、もう一つ気になっていることがあった。入院前の5月17日ごろから、毎日38〜39℃台まで熱が上がったり下がったりし、それと同時に声が枯れ始めていたのだ。
入院当初は、間質性肺炎が急激に悪化しないよう、炎症や免疫機能を抑えるための治療が最優先で行われたので、声枯れを気にしている余裕がなかった。入院約1週間で、間質性肺炎の進行が止まって改善傾向に向かい、余裕が出てきたころ、主治医に声が枯れているのが気になると伝えたところ、主治医の反応は、「え、入院当初からこの声だったから気づかなかったけれど、もともとの声ではないんですね」と驚いた様子だった。その後、耳鼻咽喉科を何度か受診、声帯が荒れているけれど他に悪いところはない、という診察結果で、しばらく様子をみることになった。その後、しばらく様子をみていても、良くもならず悪くもならずの状態が続いたが、入院32日目の昨日くらいから、のどの状態がさらに悪くなったような感じがし、ますます声が出なくなった。入院33日目の本日、再度耳鼻咽喉科でのどの組織を採取、生体検査など行い、感染症がないか、腫瘍性のものでないか、など、精密検査をすることになった。今の時点では、皮膚筋炎の症状と関連しているのかどうかもはっきりしないので、少し心配の種が増えたが、分からないことを心配しても仕方がないのでとりあえず楽観的に考えている。
と思っていた次の瞬間、主治医からショッキングな事実が告げられた。
入院33日目、のどの状態が悪くなっているので、念のために受けたPCR検査で、なんと、新型コロナウイルス陽性となってしまった。
主治医から、今、自己の免疫機能を抑えた状態で新型コロナウイルス感染症などにり患してしまうと重症化のリスクが怖いので十分に気をつけるよう念押しされていたので、十分に気をつけていたつもりだったが、その後、私と同じ病室でも感染者が増え、病棟内でも蔓延しているようで、なかなか油断できない。
幸い発熱もなく、咳が増えて声が出なくなったくらいであるが、これ以上体調が悪化しないことを願うのみである。4人部屋から個室での隔離生活に変わり、とりあえずはしばらくの個室ライフを楽しもう。2週間ぶりに左腕に点滴用の針(末梢静脈留置カテーテル)を刺し、5日ぶりに左手の指にパルスオキシメータをつけ、退院間近と思っていたところから想定外の点滴生活に逆戻り。なんだか懐かしい。
早速、新型コロナウイルスの増殖を抑えるベクルリー点滴の投与が始まった。退院後の感染であれば自宅で寝ているだけだと思えば、入院中の感染で良かった。退院後も油断厳禁、感染症には気をつけるように、という天からのメッセージだと思って、気を引き締めよう。
(つづく)
(カバー画像:久しぶりに点滴用の針を刺し、パルスオキシメータをつけた左腕)