【私の原点 (2)】
昔話のついでに、今の私を作っている原点といえるエピソードをもう一つ紹介したい。
沢木耕太郎の『深夜特急』に憧れて、沢木耕太郎が旅に出た26歳を意識しながら私も26歳での転職を決意、次の仕事を始めるまでの数か月を、バックパッカーとしてネパールやインドを中心に東南アジアから南アジアを旅したときの体験である。
この体験から私が気づいたのは、自分が人生で最も大切にしている価値、それは人と人とのつながりである、ということであった。『深夜特急』に憧れて漠然と旅に出たいと感じた自分を突き動かしたのは、まだ見ぬ土地へ行きたいとか、新しいことを体験したいとかいう以上に、人と出会いたい、人とつながりたい、という思いが格段に大きい、ということを強烈に自覚した。それからの私は、常に、人との出会い、人とのつながりを大切にしながら生きてきた。自分の人生の目的と言っても過言ではない。
【Millennium Midnight Express】
※ 以下の文章は、今から24年前の2000年2月に当時27歳の私が書いたものから抜粋し、なるべく当時の原文に忠実に、わずかな修正を加えたものである。
(つづく)
(カバー画像:インド・デリーのイメージ)