【義父からのひとこと】
3月、確定申告も終盤。我が家の令和2年度の決算書が上がってきました。
数字をみて愕然。
「今年一年は自分の小遣いはない」と主人が言っていた。
わかっていたつもりでいたが、やはり数字で上がってくると、頭を抱えたくなる。
わさび農家にとって大変厳しい一年。
大幅な収入減に対して、
支出で大きくはねがっていたのが、
・荷造運賃手数料
・諸材料費
運送費と資材費。
昨年、春のコロナ支援のムードの中、約1ヶ月半で約300セットのわさびセットのご注文をいただき、送料無料で発送。
さらに、ネットでの販売も力を入れてきたが、諸材料費等の計算を甘くみていました。
その小さな積み重ねが大きな支出となることを身をもって感じ、主人に申し訳なさでいっぱいになりました。
何か主人の力になれることがないか考える日々。
わさび田の現場を手伝うことも考えましたが、逆に足を引っ張って仕事を増やしてしまうことになりかねないので却下。
原価ギリギリの値段で100本、200本の注文にこたえていくのは、我が家の生産量と仕事効率からでは、厳しい。
我が家のわさびの「価値」とはなにか。
それをひたすら考える。
どうしたら、愛情を込めて、丁寧に、手間をかけて整えられたワサビを、買ってくださった方が「美味しい」と喜んでくれるか。
シンプルでありながら、すごく難しい。
いつも、手にしてくれた方が喜んでもらえることを思い浮かべながら、一つ一つ丁寧に送り出す。
ただ、それにもコストはかかる。
SNS発信も同じく。
どうしたらその想いを伝えられるか。
そんなことを悶々と考えながら日にちばかり過ぎ、罪悪感ばかりが積もる日々。
そんな中、作業場で花わさびの発送準備をしながら、雑談をしていると、
義父から
「けいちゃんが色々発信してくれるから、今まで知らなかった人にも知ってもらえて、ありがたいよ」
と一言。
なんだか、その一言がとてもうれしくて
心が熱くなりました。
毎回、毎回、
作業にふらりと来ては写真だけを撮って。
「本当に仕事をしているのか」と思われているんじゃないかと内心不安だった気持ちが報われた気持ちになりました。
コロナ支援の時も何も言わず、
率先して発送準備を手伝ってくれた義父さん。
受容してもらえた嬉しさと安堵感。
初心に戻って、
〜手塩にかけた滝尻のわさびを
「美味しい」と喜んでもらいたい。〜
そこにたどり着きました。
苗選びからはじまり、
わさび田を耕し、
一本一本手で植え、
天城の湧き水で1〜2年かけて育った
わさび達。
春夏秋冬を2回繰り返しながら、
天城の澄んだ空気の中で、ひっそりと暮らす
わさび。
子どもを育てるように
常に目を配り、
水の流れを滞りなく行き渡らせる。
我が子のように愛情をかけて育ったわさび。
もっと大事に伝えていきたいと思います。
最近笑っていなかったなぁ。
どんな時でも笑顔を忘れずに
前を向いて。
昨日あった出来事から、
書き止めておきたかったので、
綴りました。
最後まで読んでいただきありがとうございました。