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簡単で誰でもできるビオトープ   ビオトープ草地のつくり方~『生きものをわが家に招く ホームビオトープ入門』より

 今回は、簡単で誰でもできるビオトープについて書きます。
 先週、『生きものをわが家に招く ホームビオトープ入門』(養父志乃夫著 農文協)を紹介しました。20年も前に刊行された本なので、今はなかなか手に入りにくいようです。
 多くの方に読んでほしいと考えて紹介したつもりですが、絶版かもしれないので、今回はその内容の一部を紹介します。私自身、何回かこの本を参考にして、ある程度の成果を上げていますので、紹介する価値はあると考えています。今回はその前半になります。

簡単で誰でもできるビオトープって?

 ビオトープというと池が必要とか、さらに小川も必要で流れがあった方がいいとか、考えがちになりますが、庭に少しの草地を残すだけでも昆虫は来ます。 ただ少しの工夫があるともっと楽しめます。 
 『ホームビオトープ入門』のパート2では、場所別に具体的な解説があります。その7が「ビオトープ草地とビオトープ低木林」です。
 この本では、ホームビオトープといっても、個人のお宅の庭だけの話でなく、集合住宅の間の緑地や建設待ちの空き地、傾斜地の法面などを想定しています。このような場所に、多様な生物を育む草地や低木林をつくる方法が紹介されています。草木がほとんどない場所とすでに草や木がある場合で方法が違ってきます。

ビオトープ草地では、いろいろなバッタ、キリギリス類が生息します!

新しい造成地では、土手マット移植法で草地をつくる

 新しく造成した場所では、もともとある草地から「土手マット」を植え付けます。「土手マット」はあまり大きいと持ち運ぶのが大変ですので、大きさ20㎝×30㎝、深さ20~30㎝くらいまで根ごと芝状に切り取ります。この「土手マット」を、草地を作りたい場所に、20~30センチ前後の間隔をあけて植え込むます。移動性の低いバッタ類やカタツムリも一緒に移植されます。

市民農園(水田)から土手マットをもらう 写真は以前勤務していた高校の生物部員


 土手マットが確保できない場合は、野草の種子をとって、育苗箱にまいてその構成種を芽生えさせることから始めます。1年育てると、育苗箱は根で一杯になりマット状になります。
 生育してほしい植物を最初に考えておく必要があります。外来種は避けたいところです。ビオトープをつくる際に大切にしたいことですね。
 育成した草地では、人が入り踏み分けられたところには、オオバコやタンポポといった低茎草花からハギやクサボケなどの低木が、くさびのように混入してくるようになります。

市民農園(水田)から土手マットをもらう ビニール袋に小分けして持ち帰り

草刈り頻度の違いで、草地のタイプを変える

 すでにある草地では、草刈りの頻度で草地のタイプを変えることができます。
『ホームビオトープ入門』では、植生からみた草地を、草丈20㎝内外の低茎草地(芝型草地)、草丈30~50㎝の中茎草地(チガヤ型草地)、草丈50~150㎝の高茎草地(ススキ型草地)の3つに分けられるといいます。それぞれに生息する動物、特に昆虫なども違ってきます。草刈りの頻度や方法をかえることで、それぞれのタイプが維持ができます。
 具体的なことは、次回に書きます!



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