【映画感想】『オッペンハイマー』~ノーランによる査問会映画、誕生~
クリストファー・ノーランの最新作『オッペンハイマー』を観た。本年度のアカデミー賞最多部門ノミネート&受賞、ということで知っている人も多いだろう。
ノーランといえば、今や押しも押されぬハリウッドの巨匠監督だ。そして、そんなノーランが今回、テーマに選んだのが、原子爆弾開発の中心人物・理論物理学者・ロバート・オッペンハイマーだ。
公開前から随分と話題をさらっていた本作だが、この映画を観た感想を一言で表すと「査問会映画」である。
査問会。非公式な場における、取り調べと裁判を合わせたようなこの存在は、多くの映画やドラマで描かれてきた。
著名なSF作家であり映画評論家でもあった伊藤計劃氏は「査問会フェチ」なる用語について、次のように解説している。
オッペンハイマーへの聴聞会を軸に展開するこの映画は、そんな「査問会フェチ」な人たちにはたまらない作品だろう。