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規格外野菜から考える、ダイバーシティ(人材の多様性)(2024年6月)
2024年6月に、友人(りいなちゃん)のお誘いで高知県須崎市で行われた、デザイン思考のワークショップ(Nomad Festival Vol.3)に参加してきました。
ワークショップ自体は1日でしたが、前後で数日、他のイベントもあり須崎を堪能してきました。
サムネイル画像は、ワークショップ参加者で映像・SNSマーケのしゅんぺい君の写真を使わせて頂きましたー!
デザインシンキングワークショップ in 須崎
日曜日にも関わらず、30-40名の参加者がワークショップに参加していました。
参加者はざっくり、半分が須崎市や高知県周辺の街(土佐市や高知市など)から来た人たち。もう半分は私のように全国各地から集まった”ノマド”と呼ばれる人たち。
ファシリテーターは、スタンフォードのデザインスクール(d.school)出身で、今はニューヨークでデザイン思考やサステナ系のコンサルをしている若手の二人。
ワークショップの詳細はこちら
ポスターがめっちゃ可愛い!
主催であるりーなちゃんの友人が描いたポスターとのこと!
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ワークショップは5つのグループに分かれて行います。
5つのグループは、須崎の地元の会社、地元の活動家、須崎市役所などの実際の課題をケースに進められます。
須崎市役所からは楠瀬市長も参加していました。
日曜日にも関わらず、地元企業の社長や市長が参加しているのはホントにスゴイ!
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規格外野菜
私が参加したのは、須崎青果という高知産の野菜の流通を行う会社のグループでした。
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須崎青果からのお題は、本来食べられる野菜の多くが市場に出回らない。廃棄されたり価値がつかなかったりする。食べられるものが使われないのはもったいないし、農家さんにもっと収益を還元したいと、規格外などの野菜の販売を進めています。
規格外の野菜の販売に対して賛否両論あるのは理解しています。
本ワークショップの後に、農業や飲食関係者から様々な意見を頂きました。
現在の流通システムでは逆に農家に不利益になる。など課題はありますが、長期目線では、可食部にもかかわらず、価値が付かずに廃棄される現状は改善できたらと思います。
作物を捨てる事の”もったいなさ”に加えて、農耕としての労力がだけでなく、費やす肥料、水、土壌栄養資源を考えれば、高付加価値で取引できる方が健全ではないかと思います。
今回持ってきていただいたのは、茄子とミョウガでした!他にもキュウリとか色んな規格外の野菜があるそうです。
もったいなす
形が悪く不揃い、少し傷がついている理由で、規格品として流通できないナスたち。
よくある「規格外のお徳用ナス」では、消費者が好きか嫌いか以前に、スーパーが取り扱ってくれないそうです。
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素人目には、値段を安くすれば消費者は喜ぶのでは?と思いますが、それ以前に取り扱うスーパーからすれば、普通のナスが売れなくなってしまいます。
消費者の嗜好以前の問題なのは興味深い。
そこで須崎青果では、「もったいなす」というブランドにして出したところ、関東近辺のスーパーでも取り扱いが急増したとのこと。
それでも、価格は規格品と比べて(重量当たり)1/3程度。農家や流通に落ちるお金は低くなりますが、それでもスーパーが流通に載せてくれたとの事で、ひとまずは成功とのことでした。
今後、SDGs的な嗜好を訴えることで、高単価のスーパー(成城石井、紀伊国屋、クイーンズ伊勢丹など)でも、正規品とほぼ同額の単価で販売できないか?など話していました。
みょうがの茎
さて、茄子よりも興味深いのがミョウガ(茗荷)!
皆さんがスーパーで見かけるのは、ミョウガの花の部分。
でも、花の下の茎の部分も十分美味しく頂けるのに、現在は多くが廃棄になっているとの事。
そして、国内産のミョウガの8-9割は高知県須崎産とのこと。
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せっかく食べられるのに廃棄はもったいないし、これを収益に繋げたい!というお題です。
まずは茄子と同じくブランディングのアイデア。
「ミョウガの茎」よりも「茎みょうが」って呼ぶだけでも印象違うよね!という意見がありました。
実際、その後に東京で友人などに説明する時に、「茎みょうが」の方が伝えやすいし、覚えてもらいやすかったです。
ただ、茄子と違い、ミョウガはブランディングだけでは難しい。。
茄子は不揃いなどあれど、同じ商品ですからね。ミョウガの場合は、花と茎では違う商品です。
茎はちょっと硬い。歯ごたえがある。薬味には不向きです。
みなさん、そもそもミョウガって何に使いますか?
現在スーパーで流通するミョウガは、花が2-3個入って1パック100-200円。
一般的には、薬味で少し使ったり、酢漬け(ピクルス)にしたり。。
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そう。そもそもたくさんの量を使えない。
そして、ピクルスはともかく、薬味で使うにはミョウガの茎は若干硬い。。
現在、ミョウガの茎は、大きなパックにどっさり入って(300-500gくらい?)、200円ほどで販売しているそうです。
みなさん、どっさりのミョウガを見て「あらお得だわ!」って買いたいと思いますか?
そう。一般家庭において、大量のミョウガを使う機会はない。使い方が分からないんですよね。。
でも、お味噌汁にどっさり入れたり、どっさり炒めたり、豚肉巻きで焼くと歯ごたえがあってとても美味しい!
ミョウガは、消費者への素材およびレシピの浸透がカギになりそうです。
千住の街のリビング「仮称)コーミンカン」で頂く
せっかく、「もったいなす」と「茎みょうが」を頂いたので、数日後に、東京都足立区千住にある、「仮称)コーミンカン」というコミュニティスペースでの夕食会で披露してみました。
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茎みょうがをどっさり入れた味噌汁と、豚肉巻きを提供したのですが、参加者の皆から、「ミョウガが物凄く美味しい!」「なに、この歯ごたえ!!」と大変評判でした。
「もったいなす」もお蕎麦の据付に素揚げで出しましたが、好評でしたー
規格外の野菜と人間の多様性
さて、当日のコーミンカンでの夕食会のトークテーマは「資本主義」でした。
このテーマに規格外の野菜を持ち込んだ身としては、「規格外野菜」と「資本主義」をこじつけてみたいと思います。
ルールに則らないと価値が無い?
規格外野菜。せっかく育てても、本来食べられる部分(可食部)でも、流通システムの規格に合わないと排除されてしまう。
価値が下がるだけでなく、多くの場合は廃棄対象になります。(逆に廃棄コストがかかる)
その規格は誰が作っているか?
よく、JA(農協)のせい、大企業のせいとされますが、多くの場合、そこに全ての責任があるわけではありません。
バリューチェーンの特定のステークホルダーが中央集権的に決めているわけではありません。
彼らが従うのは、声なき多くの消費者(一般市民)のニーズ。
品質の良いものを効率的に流通させると、コスパは安くなる。消費者はコスパの良いもの選びます。
私たち一般消費者含め、何となく「こっちの方が効率的」というニーズに従って規格が決まっていきます。
そして、その規格に沿っていないものは、JA流通やスーパーなどの大手流通網からは排除されていく。。
こうやって、品種や不揃いの多様性は失われていく。
人材の多様性
これって、人間も同じですよね?
ここ最近、ESGのS(社会)などで、DEI(Diversity, Equity, Inclusion:多様性、公平性、包括性)の議論が活発化しています。
資本主義が誕生して数百年。人間も社会が決めた型にハマっている人材が労働市場で優遇される時代が続いてきました。
特に近代教育では、型にハマった人材を育てることが就職率、生涯年収に有利であるとされてきました。
現在のダイバーシティ(多様性)の議論は、行き過ぎた均一化へのアンチテーゼとも言えます。(経済的にも多様性が価値を発揮できるようになったこともある)
コテンラジオの障害の歴史のシリーズで、「障害とは社会の中の存在価値で定義される。そのため、時代の価値観により障害者の定義は大きく変わる」と語られていましたが、まさにですね。
これって、まさに規格外の野菜と一緒だなーと思った次第です。
多様性を活かした社会へ
とはいえ、社会のシステムが多様性に向いていない中で、個人や一社だけが声を上げてもシステムにあらがうのは簡単ではありません。
私自身、ウガンダで経営していた時に、どうしても自分の考えた組織体系、職務、オペレーションに当てはまらないスタッフがいると、イライラしていました。
頭では、「今の業務が適さないならば、他に強みがあるはず。その強みを見つけて、強みの活かせる業務を任せるべきだ」って分かっているけど、、
「こんなに小さい会社で四苦八苦しているのに、そんな余裕はない。その人の強みが活きる業務がうちにないなら、他のフィールド(他社など)に行ってもらうのがいいのでは?」なんて割り切って考えていたこともありました。
しかし、自分自身を振り返ると、社会の規格からは大きく外れた生き方をしています。
それでも、たまたま、時代の流れ、人のご縁や運によって、規格外であることが強みになってきました。
新しい風
そして、最近、私が仲良くさせてもらっている20代前半から後半の友人を見ていても思うのです。
例えば、今回の須崎のワークショップに全国各地から参加していた「ノマド」と呼ばれる方々も。
一世代前であれば、おそらく、この人たちは、社会の主流の流れ(大企業とか公務員とか)に馴染めずに、外れ者とされてきた人たち。
大企業などに残っていても発揮できず、どんどん目が死んでいき、やらされ仕事をする人生を歩んでいたかもしれない。。
それが、ここ20年で、フリーランスの活躍の場が広がり、兼業や副業が一般的になり、スタートアップのような柔軟性の高い組織が市民権を得て、Youtubeやインスタグラム、Tiktok、その他様々なツールを活用して個人や小さな組織でも生み出せる仕事の幅が広く価値が上がった。
20代前半で起業して大企業と新規事業立ち上げをしたり、行政から仕事を委託して、大きな事業を回す姿を見てきました。
そんな姿をみて、規格外の野菜も上手く活躍の場が見つかるといいなーと思った次第ですー。
ここで終わっても良かったのですが、せっかくなので須崎の紹介!
番外編:須崎の良いところ紹介
前夜祭)竹や地元食材をパーティー
上記のデザイン思考のワークショップの前日に、とまりーな(お寺の空き家を活用したスペース)で皆でパーティーをしました。
とまりーなとは?
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とまりーなの2階のスペース!
近所の堤防から堤防釣りをしてー
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釣った魚などを竹に入れて蒸し焼きに~
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高知と言えば、カツオを藁焼き!
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須崎の職人さん達と作った!
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夜は須崎(高知)を代表する、ゆるキャラの「しんじょうくん」によるDJライブ!
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大人気ゆるキャラ「しんじょうくん」
須崎市のゆるキャラ、しんじょうくん!
人口2万人の須崎市でふるさと納税額が他市と比べて10倍以上も得ているのは、しんじょうくんというマスコットキャラの影響との事!
高知県で知らない人はいないと言われる人気者!
インスタのフォロワーが2万人!
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しんじょうくんとは、絶滅したと言われる日本カワウソだそうです。
最後に日本カワウソが見つかったのが、須崎市にある「新荘川(しんじょうがわ)」から来ているそう。
しんじょう君は、仲間のカワウソを探しているという悲しい(?)エピソードを持っています。
頭にかぶっている黄色いのは、須崎名物の「鍋焼きラーメン」
ラーメンのどんぶりを頭から被っています(笑)
マンホールもしんじょうくん!
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UFOキャッチャーでぬいぐるみもGETしました(私ではなく友人がw)
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しんじょうくんをどこでも召喚できるVRもあります!
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龍馬列車
高知と言えば坂本龍馬。龍馬列車という観光列車があります。
たまたま、安和駅に立ち寄ったら、スタッフの皆さんが龍馬列車のお出迎えをするというので、出迎えの踊りを教えてもらい、一緒にお出迎えすることに!
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安和駅は海もバリキレイ!!
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ぜひぜひ、須崎へ遊びに行ってみてくださいー!
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