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「PRって本当に効果あるの?」を解決!広報効果測定【虎の巻】
こんにちは。大手企業をはじめ、BtoC・BtoB問わず多くの企業のPRを支援している、ビルコム コーポレートブランディング局の川島です。
皆さんは広報の効果として何を指標にしていますか?広報の効果測定においては、この指標を見るべき、といったルールがなく、企業によってさまざまな基準で効果を測定されていると思います。私自身の話になりますが、以前別の会社で広報を担当していた際には効果測定ツールを何も導入しておらず、全て手作業で行っていたため効果測定に大変苦労しました。その後転職した会社でPR Analyzerのクライアントとして広報効果測定ツールに出会いました。現在はPR Analyzerを提供するビルコムの広報として、いろいろな機能を使って本質的な効果測定に挑戦しています!恐らく広報担当者の方の中には「効果測定の正解はなに?」と思っている方も多くいらっしゃるかと思い、今回虎の巻としてこの記事を公開しました。
この記事によって、広報の効果測定について本当は何を見るべきなのか?どうやってKPIを設定するのか?といった、広報やPRに携わる皆さんの疑問や課題を解決し、KPI設定や効果測定に少しでも役立てていただけると嬉しいなと思います!
広報・PR活動の効果が重視されている!
昨今、広報部だけでなく、事業部やマーケティング部が広報・PRに取り組むことが増えてきました。広告を出稿する・テレビCMを流すなど、マス広告に予算を投下する企業も多くありますが、最近では売上を拡大するためにPR手法を取り入れたいと考える企業が増えているようです。2024年2月に株式会社電通が発表した「2023年 日本の広告費」によると、マス広告の予算は年々減少傾向にあります。ますます広報・PR活動に注目が集まると考えられます。
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このように注目されている広報・PR活動ですが、活動をした後の「結果」が非常に重要です。他社の広報の方とお話していると、広報の効果やKPIをどう設定するか悩んでいるという方が多くいらっしゃる印象です。私自身も一体何をKPIにするべきなのか悩みながら広報活動を行っていた時期がありました。
2024年2月号の月刊『広報会議』によると、この1年で広報活動の効果測定の重要度が上がったと回答した企業が35%になっています。広報活動における効果が今まで以上に求められるようになってきていることが推測されます。
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広報の効果は何を見ればいい?効果測定How to
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広報・PRの効果測定には3段階の効果測定指標があります。
1.アクション指標:プレスリリースの配信回数、メディア取材の対応数、記者訪問数など、広報活動の量や質を測る指標
2.アウトプット指標:記事掲載数、広告換算費、記事の論調など、広報活動の成果を測る指標
3.アウトカム指標:記事を読んだ生活者の行動変容を測る指標(検索数やサイト流入数など)
これまでは、記事掲載数などの「アウトプット指標」が重視されてきました。しかし最近では、広報・PRの役割がマーケティング領域に広がり、記事を読んだ後の行動「アウトカム指標」がより重要視されるようになっています。
広報の活動成果を経営層に報告する際、金額で出すとわかりやすいために広告換算費(メディアに掲載された記事を、広告として購入した場合のコストに置き換える指標)を成果として報告している、といった話を伺ったことがあります。広報・PRの効果測定に便宜的に使われてきたのが「広告換算費」ですが、業界内でも本来の価値を正しく測っているものなのか、という疑問の声が上がっています。PRの効果測定に関する「バルセロナ原則3.0」では「広告換算費はPRの価値を測るものではない」と明記されています。
では、広報活動を行う上で、アウトプット指標やアウトカム指標をどのように把握すればよいのでしょうか。実際に私が行ったことをご紹介します。
アウトプット指標を見る!
アウトプット指標は、記事掲載された数、重点媒体への掲載数、広告換算費などです。私は、広報効果測定ツール「PR Analyzer」で自動算出しています。私はビルコムに転職する以前、効果測定ツールを導入していない企業にいたため、手作業で効果検証を行っていました。新聞に掲載されたらその行数から金額を算出したり、テレビの場合は放映時間から広告換算費を割り出したり、Web媒体や専門媒体など目視で確認してリスト化したりなど、とても時間がかかっていたことを覚えています。
現在はさまざまなツールが開発されて、効率的な効果測定ができるようになりました。新聞や雑誌のクリッピングを行ってくれる会社もいくつかありますよね。
<クリッピング会社>
日経スマートクリップ
ジャパン通信社
@クリッピング
私の実体験からですが、アウトプット指標の効果測定にはツールを導入することを強くお勧めします!なぜなら、手作業で効果を検証している時間を別の業務に充てられるからです。私は前職で初めてPR Analyzerを活用した時、レポートの作成までしてくれるこんな神ツールがあったのか!と感動しました。効果測定以外の広報活動に尽力するためにも、効果測定はツールに頼って効率化を図るべきだと思っています。
アウトカム指標を見る!
アウトプット指標と一緒に見なければならないのが、アウトカム指標です。アウトプット指標は露出の成果ですが、露出した後どのような効果があったのかは、アウトカム指標を見なければ把握できません。広報活動による記事掲載の後、読んだ生活者がどのように行動したか、そのアウトカムの数字こそが本来の広報効果であると考えられるからです。私は昨年、コーポレートサイトのPV数と指名検索数を広報・PR活動のKPIとして設定していました。
サイトのPV数はGoogleアナリティクスで把握し、毎月のPV数を確認していました。指名検索数はGoogle Search Consoleで調べることが可能です。指名検索数とは、社名や製品名など自社に関わるキーワードが検索された数のことで、当社の場合は「ビルコム」「BILCOM」「PR Analyzer」などです。自社に関連するキーワードのみを抽出して合算していました。これに関しては手作業なので少し時間を要しますが地道に行っていました。
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上記はサイトPV数と指名検索数、Xのインプレッション数をデータ化して照らし合わせたものです。グラフを見ると、PV数と指名検索数の連動があったことがわかります。Xに関しては、サイトPV数とインプレッション数が連動するのか個人的に気になったので、一緒にグラフ化してみました。このグラフはアウトカム指標同士の相関ですが、本来はアウトプット指標とアウトカム指標の両軸で効果を見ることがとても重要です。赤いグラフ上に3か所ある丸印は、PV数が増えたタイミングです。例えば大型イベントを開催するために何人に告知を行ったから増加している、記事での外部露出があったため指名検索数が増えているなど、実施した広報施策との連動を確認することができます。こうした相関を可視化することで、広報・PR活動の本来の効果を把握できるのではないかと考えています。また、アウトカム指標を上げるにはどのような広報施策を行えばよいのかといった、新たな方向性を導き出すヒントにもなります。
アウトプット指標とアウトカム指標を把握して可視化することで、私たち広報・PR担当者が行っている広報・PR活動の効果が正しく評価され、広報が事業に貢献するための第一歩になればいいなと願っています。広報・PR担当の皆さん、一緒に広報の本質的な効果測定を行い、更なる広報の価値向上に努めましょう!