耳について
耳について(三木富雄の《耳》シリーズを鑑賞しながら考える。)
耳はそばだっている
耳は意思を持っている
耳は表現者
ふたつの意思
バラの耳
耳は乗り越えようとしている
耳は外に向かっている
耳はぐるぐる
ぐるぐると探しものに身震いしている
耳は外に向かっている
耳はむき出しの出口であり
入り口でもある
耳は、これ以上ないという曲線の構造物だ。身体を装飾するフリルのようでもある。
不思議な形の、むき出しの装置。
耳はクルミの形によく似ている。もう、ほんとにそっくりだ。子供の頃からそう思っている。秋に落ちるクルミの実をガスでで焼いて、少し開いたすき間に包丁を入れてパンと割って食べてみたい。うまく、クルミの実が抜けると、その小さくて面白い造形物をまず眺める。そして、耳の入り口にある突起物の形状との類似性を確かめるように、自分の耳を触ってみる。
くるみのみみ
みみのくるみ
みぐるみくるみ
くるみのみるく
おいしいみるく
おいしいみみ
おいしいみみは余分だけど、思わず書いてしまった。〈よく似たもの〉って
この世界には沢山ある。口をとんがらせたときにできる顎の感じが梅干しの種に似ている。額とカニの甲羅。肩のある虫と人間の背中。