同じルーツ、どこかから来た他者 ~光州への旅の記録3
光州への旅の記録1~2の続きです。
☆☆☆
2024年5月17日。
釜山から光州へ向かう。
夜が明け、ホテルを後にし、釜山地下鉄1号線の始発に乗り込み、終着駅老圃駅へ。
老圃駅改札を出て、すぐに接続する高速バス乗り場。
無人のコンビニでドリンクを購入し、3時間のバスの旅に備える。
朝の7時に発車した高速バスはすぐに高速道路に乗り、目に入る風景は、釜山の街並みから、のどかな田園風景に移り変わった。
昨日のオレンジ色の夕焼けが予感させたとおり、青い空が広がる。
田植えの終わったばかりの、苗がきれいに並ぶ水田。
農道を走るトラクター。
そこにある家屋のかたち。
時々現れる、太陽光発電機のパネル。
日本の田園風景と、全く変わらない。
途中停車したサービスエリアの様子も、
きれいなトイレ。
軽食や練り物が売られるファストフード店。
自動販売機。
土産物売り場。
日本のサービスエリアの風景と、全く変わらない。
全く変わらない風景に、同じ文化のルーツを感じる。
私たちはなぜ、わざわざ国境を作り隔てるのかと、少しの疑問が頭をよぎった。
そしてバスは高速道路を降りた。
はじめて訪れる光州の町。
目に飛び込んでくる風景で印象的だったのは、会堂の屋根に十字架のある教会の建物が多いということだった。
光州に来る直前、映画「光州5.18」を観ていた。
映画の冒頭に映し出された、YMCAの看板がかかるビルの風景が、なぜか記憶に残っていた。
高速バスはバスターミナルに到着し、そこからタクシーで15分ほどのステイ先へ向かった。
手配してもらったステイ先は、光州で初めて宣教師が来た時に暮らした建物を、リノベーションしたゲストハウスだった。
ゲストハウスの玄関先には、オレンジ色の花が咲いていた。
ゲストハウスのオーナーが、どこかから飛んできた種が自生し、花を咲かせた、と教えてくれた。
光州へ続く高速道路から見た、日本となんら変わらない風景。
それでもやはり私たちは、ここでは「どこかから来た他者」なのだろうか。