いつか息子に読み聞かせたい作品。オーディブル「ペンギンハイウェイ」感想
アマゾンオーディブルで「ペンギンハイウェイ」耳読しました。
「夜は短し恋せよ乙女」をオーディブルで聞き、著:森見登美彦、ナレーター:安國愛菜のペアにほれ込み、ペンギンハイウェイもそのゴールデンペアだったため拝聴しました。
以前のnoteでもさんざん絶賛したので夜は短しを超えることはないだろうと思いながら聴き始めましたが、それを超える感動がありました。
少しでも多くの皆さんへこの感動を押し付けたいため、オーディブルで聴く「ペンギンハイウェイ」の魅力をご紹介します。
魅力①:子供っぽくも大人っぽくもあるアオヤマ君
魅力をお伝えする前に簡単に、ペンギンハイウェイのあらすじを紹介します。
主人公は小学四年生のアオヤマ君。彼は科学の子を自称するくらい研究科でとても勉強熱心。肌身離さずノートを持ち歩き出来事や気づいたことを逐一書き留める。そんな彼と歯科医院に務めている不思議なお姉さんが中心に話は展開していく。
ある日、住んでいる町にペンギンの大群が現れる。研究熱心の青山君はその謎を研究していくのだが。。。
といったものです。私のつたないあらすじ力では伝わり切らない方はしたの公式ページをお読みください。
では、本題のペンギンハイウェイという作品の魅力ですが、一つ目は主人公であるアオヤマ君です。アオヤマ君の特筆すべき点は小学四年生にしてとても達観しているところです。
私はいくつになってもアオヤマ君の域には達することができないんじゃないかと思います。
アオヤマ君は「5歳の時に怒らないと決めた」と作品内で述べており、その発言通り何をされても一切感情的にならず、論理的、合理的に物事に対処します。
同級生のガキ大将、スズキ君がアオヤマ君にいくら嫌がらせをしても感情的にならずに対応します。
例えば、スズキ君一派(作中では鈴木君帝国)に取り押さえられて肌身離さず持ち歩いているノートにおしっこをかけられしまっても怒りません。
「あんなことをして何が楽しいんだろう。」、「ノートはまた新しいものに書き直せばいいや」といたって冷静。
学校のプールでスズキ君帝国に水着を奪われてしまっても、「スズキ君たちは僕が困っている姿をみたいんだ」と分析し、一切困った素振りや恥ずかしさも見せず、クラスメイトの前でどうどうと裸のまま水着を返すよう要求します。
鈴木君もこれには辟易してしまいます。
見事なアンガーマネジメントですよね。私も見習わねば。
怒りのコントロール以外にも物事の考え方や行動にとても子供らしからぬところがありますが、その反面しっかり子供っぽいところも。
それは恋愛感情がまだわかっていないというところ。
クラスメイトにチェスが強く、見た目も綺麗なハマモトさんという女の子がいます。
ハマモトさんがアオヤマ君に惹かれていることは、アオヤマ君と仲良しのウチダ君からすればわかり切っていることですがそれに気づかない。
気づかずにハマモトさんを怒らせる。
スズキ君がハマモトさんを好きなことも、火を見るよりも明らかでもアオヤマくんは分からない。
スズキくんに対して、「人を好きになることは恥ずかしいことじゃない、素晴らしいことだ」と訴えさらに怒らせる。
だからと言って冷淡な人間ではなく、ウチダ君をスズキ君帝国から守るために自ら戦う。
そんな小学生らしい面もしっかり持っているのがこの主人公アオヤマ君の魅力です。
魅力②:小学生時代が懐かしくなる
小学4年生たちが繰り広げる物語。
現実離れした出来事が繰り広げられる反面、学校のプールの話や夏休みのお祭り、好きな子に嫌がらせをしてしまうスズキ君。
自分もそういう時代を経て今大人になったんだな、と懐かしさを感じられました。
小学生の夏。
クーラーもない中で授業を受け、15分の休み時間で全力でサッカーをし、汗だくのまままた授業を受ける。
毎日がドラマなきドラマで1日1日が長かった。
自分のそんな小学生時代を思い返させてくれました。
アオヤマ君は「出来事の記録はできるけど、この感情をそのままで記録するのは大変難しいことだ」的なことを述べています。
それでも記録し続けたノートはアオヤマ君の将来の宝物になることは間違い無いだろうな、と思います。
私はそんなノートを子供の時も今もつけていないですが、それでも小学生時代を思い起こさせてくれる作品だと思います。
魅力③:声の力
ネタバレをしないためにも詳しくは書けませんが、最後までしっかり聴いてほしい。
私の感情を書いてもネタバレに繋がりかねないのでこれも伏せますが、感動、心が震えた、その言葉がぴったりでした。
ここまでの気持ちにさせてくれたのは作品の素晴らしさはもちろん、オーディブルで聴いたことも大きく影響があると思います。
ナレーターの安國愛菜さんは本当に素晴らしい。
声で人の心を動かしてくれる、さすがプロだなと感じました。
最後のアオヤマ君とお姉さんのやりとり、そこに安國愛菜さんが感情を込めて声を吹き込む。
それにより彼らは作中を飛び越え私の中で本当に生きた存在に感じることができました。
終わりに:いつか息子に読み聞かせたい作品
先月我が家に息子が産まれました。
今はやっと目が見えてきたかな、くらいで私や妻が何なのかも理解できてないでしょう。
そこから成長していき、絵本を読み聞かせるようになります。
それは元々やりたかったことなので待ち遠しい限りです。
さらに大きくなり、小学生になったら私自身でこの作品を読み聞かせたい、そんな夢が芽生えました。
プロの安國愛菜さんのようには上手くは読めない。
それでも私自身の声で聞かせてあげたい。
できれば女性の登場人物は妻が演じ、家族皆でこの作品を分かち合う。
それができる将来を待ち遠しい、そんな風に感じた作品でした。
私は改めて紙の本でペンギンハイウェイを買い読み直すつもりですが、最初がオーディブルで聴けて本当に良かったです。
この作品を未読な方はぜひ、最初はオーディブルで聴いていただきたいな、と思える作品でした。
お読みいただきありがとうございました。