(E79) 新型コロナウイルスが「早送り」する世界の変化 (2020.3.20) by 川端 康夫 より抜粋加筆しました。
⑴ 安倍首相は3月18日の新型コロナウイルス感染症対策本部で、全世界を対象に感染症危険情報のレベル1を発出すると表明(nikkei.com)
この問題は、時代の変化を「早送り」するのではないかと、最近考えはじめています。
例えば働き方改革。
これまでも残業を中心に労働時間を抑制するという形で日本の働き方改革が進められてきました。
しかし、今回の問題で、
一気にリモートワークや在宅勤務が現実のこととして大規模に行われ始めています。
もし、ウイルスの問題が長期化するのであれば、
リモートワークや在宅勤務が、私たちの働き方の新しい日常になる可能性もあるでしょう。
新しい働き方が当たり前になれば、
例えばオフィスの在り方というのも大きく変わるでしょう。
会社が社員全員分のオフィスを用意する必要はなくなり、
例えば週に何日かだけ出社するけれども他の日は在宅ないしはリモートワークで働くので、
会社は社員数の半分くらいのオフィスを用意すればいい、ということが現実にできるようになる可能性があリます。
そうなれば、
オフィスの需要も今までほどには要らなくなり、
日本では、東京一極集中の問題が緩和されるかもしれません。
また、どうやって地方の人口を増やすかという地方創生の中心的課題にも、新しい切り口が見つかるかもしれません。
⑵ いま私たちが住む住宅は、在宅勤務をすることが前提に作られているとは言い難い
もし、在宅勤務が当たり前になるのであれば、
設計・間取りを含めて、住宅の在り方ついても大きな変化が出てくるでしょう。
企業がオフィスを縮小できる分だけ社員の住居に関する手当を増やせるなら、その費用で住宅を新しい働き方にあわせて新築や改築、リフォームする動きも活発になるかもしれません。
リモートワークが当たり前になるなら、
必ずしもオフィスへの毎日の通勤を前提とした場所に住まなくてもよくなる可能性があリます。
例えば、
LCC を使って週に2回東京に出てくるほかは在宅勤務やリモートワーク、といった働き方が実現するなら、
日本の各地方や、もっと言えば近隣諸国の一部すら、住む場所の候補に入ってくる可能性もあるでしょう。
企業が賃料の高い場所のオフィスを縮小させるなら、
住居費とともにこうした交通費を負担してもなお、コスト増にならない可能性もあるでしょう。
それによって社員の生活への満足度が上がり、
親の介護の問題が緩和されたり、生産性の向上や心身の故障による休職等が減るのであれば、単に住居費交通費にとどまらないプラスが生み出せることになリます。
こうしたことは、
いずれも働き方改革などの社会問題を、大きく解決に向かわせるきっかけとなりうリます。
以前、オンライン前提のオフライン社会構築の話がありました。
今度は、リモートワーク前提の働き方構築です。