(O23) 日産、トヨタがベスト10「脱落」 EVメーカー世界ランキング (2021.2.9) by M&A Online編集部 より抜粋加筆しました。
⑴ 電気自動車(EV)量産化で世界の先陣を切った日産自動車が、ついに年間販売台数でベスト10から陥落
EV Salesの2020年「世界EV・プラグインハイブリッド車(PHV)販売ランキング」によると、日本勢は世界販売ベスト10から姿を消した。
①日産は、2019年の7位→14位
②トヨタは、10位→17位
⑵ 米テスラ「安定」、欧州勢「躍進」の1年
2020年は米テスラがトップを維持する一方、
欧州勢のランクアップが著しい。
2010年代に「EVの第1世代」を牽引してきた、
アジア勢と、EUの環境規制強化を受けて「EVシフト」にアクセルを踏み込んだ欧州メーカーとの「主役交代」が浮き彫りとなった。
アジア勢で唯一、気を吐いたのは、
ランキング圏外から4位に飛び込んだ上汽通用五菱汽車(ウーリン)。
同社は2020年7月に発売した「宏光MINI EV」が、
11万9255台を売り上げた。
「宏光MINI EV」は、
最低価格2万8800元(約47万円)というEVの価格破壊を実現。
⑶ これまでEV・PHVの世界販売上位は、車両価格300万円超のEVを生産するメーカーが占めている
しかし低価格帯のEVはヒットすれば、
販売台数がケタ違いに多いため、今後はウーリンが世界販売ランキングの「台風の目」となりそう。
一方、車両価格が500万円を超える、
高価格帯EVメーカーの成長も続く。
①独メルセデス・ベンツは、25位→6位
②独アウディは、21位→9位
③独ポルシェは、30位→19位
④中国NIOは、28位→20位
EV市場では100万円以下の低価格帯と、
500万円を超える高価格帯に二極分化する傾向が見えてきた。
そうなると100万円から500万円までの、
中間価格帯のEVが苦戦することになるだろう。
日本車メーカーが販売しているEVは、
いずれもこの中間価格帯に入る。
⑷ ウーリンの野望は膨らむばかり
サプライヤーへの発注台数の見積りでは、
単一車種で年産200万台を視野に入れている模様。
生産拠点の中核は、ベトナムと国境を接している、
広西チワン族自治区の柳州市にあり労務費が低い。
同じ車種を大量生産することで、
大幅なコストダウンを狙っています。
ウーリンが起こしたEVの価格破壊。
すなわち、「EVのコモディティ化(汎用品化)」に追随できる自動車メーカーはまだ現れていない。
⑸ ウーリンの急成長は「車のコモディティ化」の象徴的事例
ウーリンにモーレツ営業を仕掛けることで、
モーターの受注を獲得したのが日本電産。
しかし、EVのコモディティ化は、
日本電産には大きなチャンスになり得るかもしれないが、大方の日本の自動車メーカーにとっては、地獄への入口となってしまうかもしれない。
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