(Z32) 【未来予測7】 紙幣と硬貨が消える日 「デジタルYEN」が誕生する?カンボジアでは、中央銀行が店舗向けの決済手数料をゼロに設定。キャッシュレス決済対応店舗が今後急増する機運が高まっている-1 (2021.12.10)by 高田学也 より抜粋加筆しました。
⑴ カンボジアで590万人が既に利用。QR決済の要領でキャッシュレス決済
①紙や金属を使わないデジタルな法定通貨は、
専門用語では「中央銀行デジタル通貨」(CBDC)と呼ばれる。
既にCBDCの発行に踏み切った国も出てきている。
2020年10月、バハマが「サンドダラー」、カンボジアが「バコン」、
と呼ぶCBDCの発行を始めた。
②世界の先駆けとなるカンボジアのバコンは、
実はコアシステムソフトを日本のFinTechスタートアップ・ソラミツが開発した。
「開始10ヶ月たった段階で、国民の3分の1となる590万人が、
バコンを使ってなんらかの取引を実施。
顕著なのは個人間送金が活発になったこと」
(ソラミツ社長の宮沢和正氏)
銀行口座開設率が22%と低く、送金環境が整っていなかったが、
直近半年で累計5億ドル分のバコンが国内を行き交ったという。
③「バコン」では、カンボジア中央銀行が財布代わりとなる、
ウォレットアプリを国民向けに提供。
バコンのコアシステムには既存の銀行や決済事業者がつながり、
国民は以下をバコンに換金できる。
・銀行口座にある法定通貨「リエル」
・国内需要が強い「米ドル」
⑵ カンボジア中央銀行
①日本国内FinTechスタートアップのソラミツが開発した、
ブロックチェーン管理ソフト「Hyperledger Iroha」を採用。
同ソフトはラオス中央銀行もCBDC向けに検討を始めている。
②残高を使った店舗での買い物は、現在のQRコード決済と同じ要領。
店頭に掲示した専用のバーコードを読み取り金額を入力する。
送金は相手の電話番号を指定するだけでよく、
24時間365日リアルタイムに完了できる。
③国民がバコンを評価し使い始めた理由について、
麗澤大学経済学部中島真志教授は、次のように分析する。
「CBDCには、現行の電子マネーやキャッシュレスサービスに対して、
消費者や加盟店が抱えている不満の大半を解消できる力がある。
それが証明された格好」
④消費者からすれば、法定通貨なので、1000円札や100円硬貨と同じく、全国すべての店舗や施設で支払いを受け付けてもらえる。
要はスマホのウォレットに入ったバコンは、
財布の中の現金とまったく同じ特性を備えるということ。
⑤CBDC発行によって生じたカンボジアの変化で見逃せないのが、
店舗側がキャッシュレス決済導入に向けて前向きな姿勢に変化しつつある事実。
カンボジア中央銀行が店舗向けの決済手数料をゼロに設定した結果、キャッシュレス決済対応店舗が今後急増する機運が高まっている。