(H50) 世界最大の水素生産誇る中国 燃料電池車100万台普及策の成算は? (2020.5.11) by 翻訳・神部明果 より加筆抜粋しました。
⑴ 新エネルギーの普及を政策で支援
国際水素エネルギー協会は、
2050年までに世界の二酸化炭素排出削減量の2割が水素利用によって達成されると予測しています。
ここ10年あまりの間、世界各国は、
燃料電池を含む水素エネルギー分野に数十億ドルを投じてきました。
この中でも中国の積極姿勢は目立っています。
中国は豊富な天然ガス資源を背景に現時点で、
世界最大の水素生産国となっており、年間の水素生産量は2200万トンと世界の34%を占めるほど。
2019年には全国人民代表大会で発表する、中央政府の施政方針に相当する「政府活動報告」にも初めて水素エネルギーが書き加えられたこれにより、
各地方政府も水素エネルギー産業の育成強化を相次いで発表しました。
⑵ 特に水素と酸素を反応させることで、電気を得る燃料電池搭載の自動車開発支援には熱心
初期の燃料電池車(FCV)には乗用車の場合で、
1台あたり20万元の国家補助金を支給したほか、
バスでは国や地方の補助金は最高100万元にも及びました。
「上海大通(MAXUS)」のFCVであるV80の例を挙げると、
同モデルの指導価格は130万元ですが、補助金受給後の価格はわずか30万元。
現在では「京津冀」と呼ばれる北京・天津・河北省、長江デルタ、珠江デルタなどの地域が、FCV産業の発展を積極的に進めています。
中国自動車工程学会が策定した水素燃料電池発展戦略によれば、中国は2030年までに100万台クラスのFCVの普及を実現させるといいます。
企業の側も積極的にFCV開発を推進。
先日、「上海汽車集団(SAIC)」傘下の「捷氫科技(SHPT)」の燃料電池事業が正式に始動し、2021年までに1万2000台分の燃料電池と付属システムの生産能力を実現する計画を進めています。
⑶ 理想と現実の格差
中国のFCV市場については、
完成車、水素燃料電池システムおよび川上・川下産業はいずれも展開されているものの、部品関連企業は今も少ない。
水素貯蔵も中国の弱みとなっています。
諸外国の液体水素貯蔵・輸送技術は比較的成熟しており、米国や日本などは液体水素の輸送コストを高圧水素の8分の1に引き下げています。
これに対し、中国の液体水素技術、液体水素生産工場、産業化の面ではほぼ空白。
しかし、中国のFCVに関して、一部のアナリストは、
燃料電池は航続距離の長い大型商用車の分野では非常に有望であり、短期的に乗用車分野での普及を追い求めるべきではない、と考えています。
トヨタは一貫して、
FCVを新エネ車の究極的な目標に定めており、その技術は世界をリードしています。
以下が協力しました 。
❶トヨタの日本勢が持つ技術力
❷中国企業の展開するスピード
❸現在2800万台という最大の市場