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【論文読了】誰もが「最高の自分」を実現できるリーダーの思考法

DIAMONDハーバード・ビジネス・レビューの2024年5月号の特集はリーダーの思考法でした。

リーダーシップはいつの時代も必要とされますが、時代とともに変わるものです。常に最新のリーダーシップを学べると嬉しいですね。


リーダーが「最高の自分」を発揮する法

リーダーシップは身に付けるスキルだと考えられますが、実はそうではなくて、状態であるというのがこの論文です。そして状態を5つのコアエネルギーとしています。

人は誰しも、置かれた状況や心理状態、周囲の人によって言動が変わります。だからリーダーシップは動的な状態と考えられるのだそうです。

5つのコアエネルギーとは次のようなものだとされています。

  • 目的(崇高な大義に貢献する)

  • 知恵(冷静であり真実を受け入れる)

  • 成長(好奇心旺盛で積極的に学ぶ)

  • 愛情(ともに働く相手や奉仕する相手とつながる)

  • 自己実現(喜びの精神を中心に置く)

こうしてみると、誰しも持っていそうなものですね。つまりこの5つに沿った行動を状況に応じて取ればいいということになります。

とっさにどうするか判断に悩んだら、この5つのどれに集中するか考えてみるのもいいかもしれません。

本稿にはサッチャーとゴルバチョフの会談が出てきますが、その会談並みに瞬時に5つのコアエネルギーに集中するのは難しそうですね。一歩引いて客観的に状況を見ないとできなそうです。

本稿によるとコツは事前準備みたいですね。アスリートが何も練習せずに本番でパフォーマンスを発揮できるわけないように、事前に準備やシミュレーションをやっておくしかなさそうです。

これは難しいなぁ。

優れたリーダーは「いま起きていること」の重大性を見極める

一般的にリーダーシップは目標設定をしてチームをゴールまで引っ張っていくことに主眼が置かれています。

しかしこの論文では、今起きていることにその場でリーダーがどう対応するのかということに焦点を当てています。

そしてこの論文は問題が起きた時点と問題が今後どう変化するか、それぞれ些細か重大かで4つのマトリックスに分類しています。

こうなるとリスクの重要度と話が似てきますね。大きなことに発展しないならリーダー自ら時間と労力を使う必要はないです。

問題は重大に見えたけど大きな問題に発展しないことと、些細に見えたけど重大な問題に発生することですね。前者は時間と労力を過剰に使ってしまいますし、後者は想定を超えた事態になりそうで危険です。

リーダーのパフォーマンスを損なう4つの障害とその克服法

上手く行くかどうかは心理状態であり、リアルタイムリーダーシップというマインドセットを使って自分を表現せよとのことです。

本稿ではリーダーのパフォーマンスを損なう4つの障害が挙げられています。

  • 代替案がない

  • 希望がない

  • 時間がない

  • リーダーシップは必要ない

いずれもマネジメントをする立場になると遭遇する問題です。しかしこのような状況を切り抜ける選択肢を多く持つことも、マネジメント力を上げることにつながると私は思います。

本稿でこれら4つの障害に対する対策として挙げられていることは、選択肢だけでなく考え方もあります。

意外と捉え方や発想って大事だなと気付きました。

共感力を無理なく発揮し続ける3つの方策

昨今はリーダーにとって共感力が大事と言われることもあります。一方で共感しすぎると疲弊してしまうそうです。私も共感を大事にしているので、疲弊してしまうということが解ります。

そしてリーダーが心理的に疲弊していると、メンバーに対する態度にも影響が出てしまいます。するとチームワークにも悪影響が出てきます。

リーダーが不機嫌で余裕がないチームが働きづらいことは言うまでもないと思います。

私が本稿で初めて知ったことは、共感には2種類あることです。片方は他者の気持ちを引き受ける情動的共感、もう片方は他者のウェルビーイングを向上させたいと考える共感的配慮です。

情動的共感は辛い人の相談に乗ったら自分も辛さを理解して感じるというようなもので、バーンアウトにつながりやすいそうです。

相手の気持ちを理解することは必要ですが、一緒に辛いあるいは悲しい気持ちになっては自分が疲弊するわけですね。

もう片方の共感的配慮は、辛いとか悲しいと感じている人を何とか助けてあげようとする気持ちです。相手の気持ちを理解することは共通でも、その後のアクションが違いますし、利他的に感じますね。

一緒に同じ気持ちになるよりも、気遣いを示して助けてあげた方がバーンアウトにつながりにくいそうです。助けてあげていることも実感できますし、健全ですね。

リーダーの仕事は失敗の総量をマネジメントすること

特集の最後はリクルートCEOへのインタビューでした。

読んでいて、この人は自分と似ているところがあると感じました。

特にそう感じたのが、自分は何でもできるわけじゃない、自分の力には限りがある、自分は色々な失敗をしてきたと感じている点です。

大企業の人ってエリートで自信に満ち溢れていて、自分は何でもできると堂々と言う人が多いと感じています。

偏見かもしれませんが、大企業に勤めている多くの人は学生時代から競争に勝って、就職競争にも勝って、人によっては転職市場で勝ってきた人たちです。

だから大企業の人には成功体験があるのです。それゆえ自分に自信があるのは当然でしょう。

逆に堂々と自分を凄いと言えないことが凄いなと思います。私は本当に落ちこぼれだから自分を凄いと言えないのですが、この人はトップまで上り詰めているので違う意味で凄いと言わないのでしょう。

個人的に面白いと思ったことは、日本人なら美味しい素うどん、アメリカ人ならヨーダみたいな話し方というように、相手がイメージできる表現を使うことです。

こういう解りやすい表現は私も好きで使うようにしています。

また失敗させないことではなく、失敗の総量をマネジメントするというのが上手いなと思います。

人間は失敗をするものです。失敗しないと言い張る人はいますが、口だけでしょう。

だからこそ失敗を許容し、メンバーには失敗を恐れさせずに仕事させることは大事です。一方でリーダーは失敗のリカバリーを考えておく必要があります。

これは心理的安全性のあるマネジメントをしている方なら解るのではないでしょうか?私はメンバーには好きなようにやらせてみるようにしています。しかし失敗への対応は自分の仕事と考えています。

終わりに

リーダーシップは学習によって身に付けられると考えられており、私も同じように考えています。向き不向きはあるでしょうけど、学ぶことは可能です。

今回は目標設定やチームの導き方というよりも、マインドセットや状態という話が目立ちました。

リーダーシップに正解はなく、私もまだまだ勉強中です。そういう意味ではこの号の論文はとても広い視点を得られると思います。

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