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【読書】中小・ベンチャー企業CFOの教科書

私は金融機関の経営管理やホールディングスの連結会計をやっていたことがあるので、会計やファイナンスは得意な方だと思っています。

しかしここ数年は会計に関する仕事をしてなくて、たまには会計の本も読みたくなります。

そう思っていたときに、ベンチャー企業CFOなんてタイトルの本を見つけてしまいました。

それでは振り返ってみます。


CFOの担当範囲が思ったより広い

CFOの担当範囲というと、財務部や経理部を想像していました。

しかし本書ではCFOの担当範囲は、財務部や経理部に加えて、人事部、総務部、法務部、システム部など管理部門全てを含み、さらには経営企画部や広報・IR部、M&Aなどをも含むというのです。

狭義のCFOは財務部や経理部だけを担当しますが、本書が解説する攻めのCFOは上記のように管理部門全てと経営企画部や広報・IR部、M&Aなどを担当します。

そして本書ではCEOすなわち創業者と、COOすなわち事業部の責任者と役割分担しながら、CFOがCEOやCOOをサポートして会社を回していく方法について解説されています。

同時にこれらの活動をするためには経営戦略や組織論の知識も必要です。

当然ながら月次決算や資金調達も解説されていますので、会計やファイナンスの知識も必要です。

基本的には会計士、税理士、中小企業診断士、金融機関職員などがフリーのコンサルみたいな生き方の延長線上でフリーのCFOをやるというイメージですので、相応の知識があることが前提となっています。

実践経験が書かれている

融資で見られるポイントや、融資金額や融資が下りるまでにかかる期間などが解説されています。ここまでくるとやっている人しか解りません。

融資を申し込む先も、ステップアップしていくことが解説されています。

当然ながら最初はメガバンクや都銀では相手にしてもらえません。これは起業本に書かれていることがありますね。

最初は信金のような地域の中小企業をターゲットにしている金融機関で信用保証を使った融資を申し込み、会社の成長とともに信用保証なしの融資(プロパー融資)へとステップアップしていくそうです。

融資なんて会社員をやっていたら知る機会がないですし、独立して初めて体験することでしょう。

私は金融機関の経営管理をやっていたと言っても、格付や信用リスク、収益管理など全社の全融資・全ローンに関する計算をやっていましたので、知らない話が書かれていました。

VCのハードルの高さを感じた

VC(ベンチャーキャピタル)も沢山あって、ターゲットとしてるステージも違うそうです。

ステージというのは、シードステージ(事業サービスイン前)、シリーズAステージ(事業サービスイン)、シリーズBステージ(軌道に乗り始めた段階)、シリーズCステージ(上場やM&AなどExitが見えてくる時期)のことです。

よって自社のステージをターゲットとしているVCを探す必要があるようです。

VCから資金調達するためには、プレゼンして認められなければいけません。しかしそれが狭き門なのは明らかとして、どれくらいかも書かれています。

なんと顔合わせからピッチ(つまりプレゼン)させてもらえるところまでが10%、その中で審査に通過(つまりプレゼン合格)が30%、その中で出資内定に辿り着けるのが70%だそうです。

つまりVCに100社申し込んだら、プレゼンのチャンスを得られるのが10社、プレゼンが合格するのが3社、最終的に出資を受けられるのが2社なのだそうです。

驚異的なまでの狭き門ですね。起業家向けにVCから出資を受けられるようなイベントは沢山あるようですが、受かる人は限られ過ぎるのです。

でもそういうイベントに出てみることで、起業家自身もプレゼン力を高められる可能性がありそうです。

社外CIOを模索したくなった

私は財務や経理の人ではなく、ITの人です。よってCFOになるのは難しいかなと思います。

ITエンジニアだったら、CTOかCIOでしょう。私の場合は技術のエキスパートは向いていなくて、ビジネス課題の解決やマネジメントが好きなので、CIOですね。

本書を読んで社外CIOなんてどうだろうかと思ってしまいました。プロボノで実践してみるのがいいかもしれません。

当然ながら本書に倣うなら、ITだけの担当ではいけませんね。社長と一緒にITだけでなく業務プロセスやマネジメント、事業開発、マーケティングなども考えていけるようでなければいけないでしょう。

でも楽しそうですので、プロボノで試していきたいですね。

終わりに

CFOを始めCxOというのは内部の人だと思っていました。しかし本書を読んで、コンサルよりも中の人の立場で活躍する社外CxOという働き方もあると知りました。

こういうサービスを提供する会社もあるのかもしれません。しかし独立に興味があって、コンサルとか経営に興味があるのなら、社外CxOってありだなと思いました。

専門性×経営という立場で会社を回す仕事をしたいなら、模索してみるのはいかがでしょう?私は模索してみたいと思います。

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