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【論文読了】Web3はどこに向かうのか

最近はWeb3という言葉を聞くようになりました。内容を把握していなかったところに、DIAMONDハーバード・ビジネス・レビューで特集してくれました。流行りのテクノロジーに関して特集をやってくれるのでありがたいのです。

それでは順に見ていきましょう。

Web3とは何か

Web1が1991年にHTMLとURLによって静的サイトにアクセスできるようになってからの時代です。

ちなみに静的サイトとは決まった内容が毎回表示されるサイトのことです。対義語は動的サイトで、パラメータや条件などによって表示する内容が変わるサイトです。

会員サイトは会員ごとに内容が変わり、ECやデータベースなどのサイトは検索条件などによって表示される結果が変わります。こういうサイトが動的サイトです。

Web2はSNSなどのネットワーク効果と規模の経済が効果を発揮した時代です。フリーミアムも登場しました。この論文では中央集権の時代としています。

Web3はブロックチェーンをベースとした時代です。ブロックチェーンの詳細はここでは語りませんが、ザックリと解説します。

データを追加しかできない、更新や削除をできない仕組みであり、データは全て暗号化されているものです。そして従来のデータベースのように1か所にあるのではなく、参加者みんなが同じデータを持つことで、誰かが改ざんしたらすぐに解る仕組みになっています。

よって信頼性や不正に対する強さ、機密性などセキュリティ面がとても強いのがブロックチェーンの特徴です。そして暗号通貨のようなブロックチェーンの通貨、NFTのようなブロックチェーンの証書が使われるのがWeb3の時代というわけですね。

CGなどデジタルデータはコピーが簡単にできてしまうため、NFTによってデジタルアートの取引が行われています。NFTによって唯一の本物とその所有者を特定できるからです。

Web3が始まったばかりであることを考えれば、他にもWeb3では新たな何かが出てくるかもしれませんね。それはアイディア次第でもあります。

ブロックチェーンは物流業での活用も検討されていますし、信頼性から金融機関で企業の融資審査に使うという話もあります。

ブロックチェーン技術のリスクを乗り越える法

ブロックチェーンのリスクについて書かれた論文です。当然ながらどんな技術にもメリット・デメリットがあります。

私が見落としていたのは、ブロックチェーンには銀行のような第三者機関による保護がないということです。というか新しい仕組みだから制度的にこれから考えていかないことが多いんですね。

それから一回記録してしまうと、それがプライバシーに関わる内容だった場合にどうするのかです。ブロックチェーンは追加のみで更新や削除ができません。

例えば金額を修正する場合は、100円足したのを修正するなら-100円追加することになります。100円足したのを削除するということはできないのです。

それ以外にもシステムではたまにあるのですが、入力内容が間違っているケースです。100万円を間違えて110万円と入力していて、気付かなかった場合はどうでしょう?

出たばかりの技術であると同時に、一部の人たちだけがやっているからこそ、問題は沢山出てきそうです。そう考えると、ブロックチェーンの仕組みを理解して(この記事に書いている程度でいいと思いますが)、都度対応を考えていくということがしばらくは必要だと思いました。

DAO:分散型自律組織の課題と可能性

今度は法制度の問題に関する話です。

DAOとはDecentralized Autonomous Organizationの略称で、日本語では分散型自律組織というそうです。Decentralizedは非中心化されたという意味ですね。Centralすなわち中心を動詞にするとCentralizeで、これの過去分詞形がCentralized、これをdeを付けて否定形にするとDecentralizedです。

Autonomousは匿名のという形容詞、Organizationは組織です。

というわけでDecentralized Autonomous Organizationは非中央化すなわち分散化された匿名型組織、もうちょっとそれらしい名前にして分散型自律組織なのでしょう。

ちなみにDAOはダオではなくダウと呼ぶそうです。

このDAOという組織は株式会社と似ているなと感じました。暗号通貨のトークンが株のように出資と投票権の役割を持っています。

投票に関しては最初にシステム化されており、団体の方針や大きな売買など投票を行なうべきこと(普通の会社なら役員会や株主総会で決める規模のこと)が発生すると、参加者による投票が行われます。投票が行われるとシステムで自動的に処理されます。

ネット世界のみに存在する株式会社のような存在だなと私は感じました。ただし株式が非公開の会社に近いかなと。

DAOの何が問題かと言いますと、未登記の法人のようなものであることです。法的位置づけがハッキリしないのです。法的にハッキリしない団体であるなら、納税や契約にも問題がありそうです。

そして法制度の枠に収まらない組織にお金が集められ、現実世界に存在する不動産を売買したり、現実世界に存在するスポーツチームや団体に寄付を行なったりするのです。

アメリカの一部の州では有限責任会社(LLC)として法人格を付与するなど、これから法制度の整備が進むのでしょうね。今手を出すのはグレーですが、しばらく待てば制度が整ったものになるかもしれません。

DAOはまだ手を出すリスクが高そうですし、行く先を様子見しようと思います。

Web3でも根拠なき熱狂が繰り返されるのか

今度はリスクに関するインタビューです。

まだ一部の人が投機的にやっている印象のある暗号資産ですが、詐欺やハッキング、大金を失うなどトラブルが起きているとのことです。

ブロックチェーンでどんな問題を解決するかという視点もあるとは思いますが、問題をどうやってテクノロジーで解決するかの方が順当な手順です。手段の目的化はプロジェクトを炎上させます。

ブロックチェーンを使うことばかりが目的化してしまったり、ブロックチェーンによってデートの食事代などあらゆる取引記録が誰でも見れる形でネット上に公開され続けてしまったりする恐れもあるそうです。

改ざん不可能で透明性があり、参加者が共有するデータベースだから安心というのはその通りですが、透明性ゆえにプライバシーが侵害されるのは嫌ですね。冗談じゃないと思うのは私だけではないはずです。

終わりに

ブロックチェーンおよびそれを応用した暗号通貨やDAOなどのリスクに関する話が多いなと感じました。つまりそれだけリスクがあり、トラブルも起きているということですね。

どんなテクノロジーでもメリット・デメリットがあるでしょうから、それを承知して、リスクやトラブル対策を考えていかなければいけませんね。

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