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【論文読了】戦略的思考のキャリア論

DIAMONDハーバード・ビジネス・レビューの2024年7月号の特集は戦略的思考のキャリア論でした。久々にキャリアの話が出ましたね。

キャリアに対して経営戦略の考え方を応用したような論文もあります。キャリアチェンジや挫折から立ち直る方法などの論文もあります。


人生の行き先を決めるのに、早すぎることはない

まずはユニクロの会長へのインタビュー記事です。

人生の行き先を早く決める

柳井会長は人生の行き先は早く決めた方いいという考えだそうです。

早く行先を決めれば、そこに向かって進めます。しかし行き先が決まらなければさまようことになります。勿論最初からいきなり人生で何をしたいかなんて解りませんが…

それでも私は何事も早く始めた方が有利と考えています。何事も時間がかかるからです。

柳井会長の場合は商店街の服屋という家業を継ぐことにしたから、早めに決まったのでしょう。時代的にも後を継ぐのが普通だったでしょうし。

それに加えてショッピングセンターの進出によって家業に入ってすぐ限界を迎えてしまうという出来事もありました。

恵まれているようで恵まれていない

じゃぁ家業がない多くの人はどう決めればいいのか?

今は何をするにも安く簡単に始められる時代になりました。これは恵まれているようで恵まれていないと柳井会長は指摘します。

満たされていたら自己実現の可能性を探らないからだそうです。恵まれていないからこそ不足を感じ、自ら環境をリードしようと意識するそうです。

これって主体性やアントレプレナーシップにつながる話かなと感じます。

恵まれていなければ自ら作ることにつながる

これはとてもよく解ります。いい家庭に生まれていい教育を受けた人ほど、モデルケースに固執すると感じることがよくあります。

そういう人は子どもの頃から優等生で、「モデルケース通りの人生を歩まないヤツは常識がない」などと説教をしてきます。学校も会社も優秀とされる人ほどそういう考え方をします。

私は落ちこぼれなので、モデルケースが大嫌いですし、そもそもモデルケース通りの人生を歩むことができません。また田舎の貧乏家庭で育ちましたので、ないないだらけで当たり前です。

家庭環境に恵まれている人たちは、自分は特別であるとか、周りが自分のためにやってくれて当たり前と堂々と言い張ります。

しかし私は家庭環境に恵まれていなかったからこそ、環境は自分で作る、必要なものは自分で揃えるという考えをします。

それが結果的に次のようなことにつながりました。

  • 色々な趣味を持つ

  • 色々なコミュニティに所属する

  • 自分の裁量でどうとでも自由にやらせてくれる会社を選ぶ

  • 残業しない働き方をする

一方でいい家庭に生まれ育っていい教育を受けた人たちはどうなったかというと、大企業に勤めていい給料はもらえるけど、会社に振り回されて愚痴ばかりです。そういう人はいくらでも見てきました。

私は落ちこぼれでエリートには敵わないので、落ちこぼれならではのやり方を模索しています。でもこのやり方自体が家庭環境に恵まれていなかったからこそ行きついたやり方です。

私は自分の理想の環境を整えることにはものすごく力を入れています。なぜなら環境に恵まれなくて、若い頃から大きな差を見せつけられたからです。

どうやって人生の行き先を決めるか

結局ここが解らずじまいのインタビューですね。

でもこれは悩んでも出てこないので、興味が向くことを試しにやってみるしかないのではないでしょうか?

私の場合は就職浪人してリーマンショックを無職で迎えて、色々な本を読み漁っていました。そしたらコンサルという職業を知って衝撃を受けました。

おそらくキャリアに関する一般論から次のようなことを試してみるといいでしょう。

  • 本を読みまくる

  • 人に会って話を聞きまくる

  • ちょっとでも面白そうと思う仕事をやってみる

  • 自分にできそうな仕事をやってみる

やっているうちに向いている/向いていないとか、失敗したから次はこうしようという気付きが得られると思います。こうやって地道に見つけていくしかないでしょう。

こういうことをしていると、遊び人だとか仕事から逃げてモラトリアムを満喫していると文句を言ってくる人もいます。

でも向き不向きや、やりたいかどうかを無視して会社に滅私奉公し、沢山残業することは美徳でも何でもありません。20世紀はそういう時代でしたけど、もう21世紀ですから。

戦略策定の知恵を人生設計に活かす法

企業戦略を人生戦略へ適用するという論文です。

企業戦略も人生も類似点がある

企業はパーパスやビジョン、事業ポートフォリオなどを決めます。個人も決めればいいという話です。

自分が人生あるいは職業を通して実現したいことがパーパスやビジョンであり、そのための職業(ここでは副業や複業もありでしょう)や趣味の選択がポートフォリオです。

先ほどのユニクロの柳井会長の話で言うと、人生の行き先がパーパスやビジョンですね。

決して起業家や政治家のような壮大な目標は必要ないと思います。営業や接客なら〇〇なお客様を喜ばせるとか、技術者なら〇〇な製品を作って世の中を便利にするなど簡単に言い表せることでいいと思います。

自分の強みや得意なことから考えてみるのがよいようです。

活動を視覚化する

この論文では戦略領域と戦略ユニットのように人生領域と人生ユニットを洗い出しています。人生領域は次の6つです。

  • 人間関係

  • 心身とスピリチュアリティ

  • コミュニティと社会

  • 仕事、学び、家計

  • 関心事と娯楽

  • パーソナルケア

そしてプロダクト・フォートフォリオ・マネジメントのマトリックスを、横軸を満足度、縦軸を重要度として、人生ユニットを並べるのです。

こうすると満足度と重要度で4つの象限ができ、自分がやっている活動それぞれ(仕事もプライベートも含めて)がどこに位置するかが解ります。

満足度も重要度も低い活動は費やす時間とエネルギーを減らすということになります。

キャリアチェンジを阻む5つの壁をいかに乗り越えるか

今度はキャリアチェンジを阻む壁の乗り越え方という論文です。

リーマンショックやコロナ禍、生成AIの登場など、雇用に大きな影響を与える出来事はあります。そのときに転職や職種転換を検討することもあるかもしれません。

昨今ですとコロナ禍で飲食業と観光業が大打撃を受けましたので、人手不足のIT業界へ移る人がいくらかいたかもしれません。

この論文ではキャリアチェンジを阻む障壁に関する質問において上位5位を占めた質問に対する対策を解説しています。

何をすればいいのか?や転職して上手く行くのか(稼げるのか)?お金やスキル、人脈に関する悩みが挙げられていますし、確かに真っ先に出てくる悩みだよなぁと思います。

お金を稼げるかどうかなら試しに副業としてやってみるということも挙げられています。

弱いつながりに関する話もありますが、こちらは私の意見としてはプロボノをやってみるとハードル低く得られるものがありそうです。

後はスキルや知識を身に着けることと試行錯誤することが挙げられています。スキルや知識に関しては大学や専門学校に入り直すのも手ですが、オンラインの教育も昨今では充実しています。

そして何をやればいいか悩んだら、気になることをとりあえずやってみるのはいいですね。私もそうしています。

悩んでも何も始まらないけど、やってみれば自分に向いているかどうかが解ります。楽しいと感じて自然にできることは向いている可能性が高いです。

これからの時代は仕事内容をガラっと変えることや学び直しが必要になってくるでしょう。その際に必要なことが挙げられている論文ですね。

仕事と人生の悩みに効くアドバイス

この記事は仕事と人生で悩んだときに参考になる論文を挙げています。論文は過去にハーバード・ビジネス・レビューに掲載されたものから選ばれています。

ザックリ言うと次のような内容の論文が紹介されています。

  • 経営理論や戦略フレームワークを勉強すれば、キャリアに応用できること

  • 自分の好きなことや原動力となること、それなしでは生きられないことのバランスを見つけること

  • 仕事以外のことも人生においては重要(ワークライフバランス)

  • ストーリーは自分を解放も束縛もする

  • オーバーワークしない

  • 予期せぬ人生の転機を活かす

経営理論や戦略フレームワークをキャリアに応用することについては、この号の他の論文でも解説されていますね。

仕事だけとかやりたいことだけでなく、バランスを取ることもやっぱり大事です。若い頃は勢いで仕事と勉強に打ち込んでしまうこともあるかもしれませんが。

それからストーリーの力は私も転職活動で実感しています。ストーリーで語れた方が説得力がありますし、書類選考も面接も通りやすいのです。

そしてオーバーワークはついついしてしまいがちですが、やらない方がいいですね。回復に時間がかかります。

人生の転機については、いくつかあると思います。突然難易度の高い仕事を任されることもあれば、突然会社に大きなトラブルが起きて辞めることになったり、会社が潰れたりします。

人生に悩みなんてないという人もいますが、一般的には悩みがある人の方が多いと思います。そんなときは一人で悩まず、参考になる書籍や論文を探してみるのもいいと思います。

一人で悩んでも、自分が持っている知識と経験だけでは出てくる解決策が限られますから。

キャリアの挫折から立ち直る3つのステップ

今度は挫折から立ち直るための方法について解説した論文です。

私もすごく実感しているのですが、学業でも仕事でも高い成績を出す人は「成功は自分の力、失敗は自分以外のせい」という気持ちが強すぎるそうです。

優秀な人ほど自分の能力に自信があり、周りが自分より劣ると感じるのでしょう。だから失敗したら周りが足を引っ張ったからだと怒るのでしょう。確かにこういう人はよく見かけます。

私は逆ですけど、それは落ちこぼれで学業も仕事もできないからなのでしょう。でも本当に何でも自分の手柄にして、何でも人のせいにするのが正しいのでしょうか?これは疑問ですね。

本当はキャリアを右肩上がりで進めたらいいと思います。しかし失敗して行き詰ることもあれば、上がれなくなることもあります。

この論文では、自分にとって身につくことがあれば待遇ダウンの転職もありとか、自分の人生とキャリアについて考える時間を持つなどの例が紹介されています。

会社から悪い評価が下されれば不満を感じます。それは私も同じです。しかしそこで会社のせいにしてばかりいても解決しません。

最初に書いたように私は落ちこぼれなので、自分は何をするかを大事にし、他人のせいにはしません。自分は何をできるかを考えましょう。そして実行してやりましょう。

新たな環境で円滑な人間関係を築く方法

この論文はあるあるだらけで驚きでした。ものすごく納得感がある論文でした。

新たな環境で大事な3つのスキル

新しい職場や部署、プロジェクトに配属されると、足を引っ張らないように頑張って、早く結果を出さなければと思ってしまうかもしれません。

しかしそれよりももっと大事な3つのスキルがあるとこの論文は説いています。その3つとは、「自己紹介する」、「相手の名前を覚える」、「質問する」です。

新しい職場や部署、プロジェクトに入ったら、「自分は〇〇という者です。宜しくお願いします」とあいさつするのは基本的なことですよね。

相手の名前を覚えることについても、顔は覚えているけど名前が出てこないことがありますが、気まずいですね。これについて神経科学的な方法が解説されています。

そして質問することはとても重要です。新しい職場や部署、プロジェクトに配属されたばかりの頃は、解らないことだらけで周りに聞かなければ何もできません。

これらを差し置いて、頑張って成果を出さねばと思ってしまうことはよくあると思います。でも「ちょっと待って、それ以前に最初にやることがあるよね」ということなんですね。

質問については悩ましいこともあると感じる

しかし周りの人が忙しいと気を使って質問できないこともあると思います。

ここはその職場や部署、プロジェクトの責任者が心理的安全性を確保し気軽に聞ける雰囲気にしているといいのですが、そんなマネージャーばかりじゃないのが現実です。

それに忙しいときに質問すると怒る人もいるものです。怒らなくても、忙しいからと後回しにされてしまうこともあるでしょう。

だからと言って気を使っていたら解らないことだらけで仕事ができません。そこで簡潔かつ要領を得た質問をするのもいいようです。

この3つのスキルは意外と気付いていないのではないでしょうか?意識しておきたいことです。

自分の内なる思いを起点にキャリアを構築せよ

仕事に対する意識は変わってきている

仕事に対する意識は変わってきていると感じることがあります。

日本でもつい10年くらい前までは、いい大学を出ていい会社(有名かつ大きい会社)に入ることが王道とされています。しかし21世紀以降は外資系やコンサル会社が増えてきました。

そしてここ何年かの流れで学生にとってはコンサル会社の人気が高いそうです。

ハーバード・ビジネス・スクールでは、かつては卒業生は名だたる大企業に就職したそうです。それが時代が移ると投資銀行やコンサル会社となり、最近はベンチャーなのだそうです。

しかも卒業生の7割がベンチャーに行くというのです。そういう会社では金銭的な問題でハーバード・ビジネス・スクールを出た人を1人しか雇えません。大企業より給料も低いでしょう。

つまり今のハーバード・ビジネス・スクールの学生たちは、どこに勤めているかよりも自分がやりたいことが大事なわけですね。

私も同様ですが、やりたいことを優先するとお金に対する不満があります。やりがいとお金がトレードオフになりやすいことが問題なので、複数の収入源が必要だなぁと長年感じています。

インサイドアウトとアウトサイドイン

それからインサイドアウトとアウトサイドインという考えが面白かったです。

アウトサイドインは経済学のようにマクロな視点から考えて、自分や自社の立ち位置を考えるアプローチです。トップダウンとも言えますね。

インサイドアウトは自分や自社がやりたいことから始めて、大きく膨らませていくアプローチです。ボトムアップとも言えますね。

私は世の中がどうこうよりも自分がやりたいことが重要な人種なので、インサイドアウトですね。

ホンダやソニーは戦時中から戦後にかけてのベンチャーだったわけですが、インサイドアウトからスタートしています。

ホンダは創業者の夢、ソニーはエンジニアがモノづくりを楽しめる会社を作ることを掲げてスタートしています。

上の世代は、近頃の若者はバリバリ働いてバリバリお金を稼ぐ気がないとか、出世欲がないと不満をもらすかもしれません。

でも時代は変わったのだから、やりたいことをやって世の中を変えていくのも面白いと思います。でもそういう生き方だとお金が悩みなんですよね~。投資で補うか。

終わりに

今回の論文の中で、一番気に入ったのが新しい環境で重要な3つのスキルの話ですね。それからインサイドアウトで頑張ってみたいなぁと。

戦略論をキャリアに応用するのはハーバード・ビジネス・レビューとしては必要なところでしょう。

この号では一部のフレームワークしか紹介されていませんが、使える経営理論やフレームワークはもっと沢山あるはずですね。

キャリアの悩みは尽きないからこそ、あらゆる知識を総動員してみるのもいいですね。

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Bigいぬねこ|残業しないマネジメントを実践する自由人
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