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日本語教師日記その19. 面白い表現

サウジアラビアの生徒さんがときどき、

「先生、私の国には、らくだについての表現がいろいろあります」

と言います。

その一つがこれ。
恋人と喧嘩などしたら、こう言うそうです。

「うちのドアはラクダが通れるから!」

これはちょっと、意味がわかりませんでした。

ラクダが通れるドアは、とても大きいですよね。
これは、「ほら、うちのドアは大きいんだから、早く出て行って!」
という意味なのだそうです。

そのすぐ後に、ブラジル人の生徒さんにこの話をしました。
彼もやっぱり、わかりませんでしたが、
その意味を聞いて、なるほど〜、と感心していますので、

ブラジルにも、他国人が聞いたらわからないそうな表現て、ありませんか?

と訊いてみたら、教えてくれました。

「私の肘が痛みを感じる」

というのがあるのだそうです。

それはあれかな、間違って変な風に、何かの角に肘を強打すると
じい〜ん、とすごく嫌な痛みがあるけど、そのことじゃないですよね?

「違います」

これは、失恋をして、ハートブレイクである、という意味だそうです。
どんなに頭を捻っても、無理でした。

さきほどのサウジの生徒さんに、お返しにクイズを出しました。

「口を酸っぱくして言う」
「口が酸っぱくなるほど言っても聞かない」

どんなことでしょうか。

先生、全くわかりません。教えてください。

「はい、それは、その人にやめてほしいとか、してほしいことを、
何回も何回も言って、でもその人は変わらなくて、
いい加減 嫌になってしまうときに、こう言いますね」

生徒はしばらく考えて、

「先生、その感じはとてもよくわかります!
確かに、それをすると、口の中が酸っぱくなりそうです。
ちなみに私の国にも、同じことだけど、違う言い方があります」

ほほう、なんですか?

「私の舌がロープになってしまう、です」

用法:

お父さんがトイレから出てきて妹を叱っています。

「こらお前、何度言ったらわかるんだ。
トイレットペーパーがなくなりそうになったら、
10センチだけ残してばっくれているのではなくて、
ちゃんと新しいのに換えなさい。
もう、お父さんは舌がロープになってしまうぞ」

と、このように言うのだそうです。

私と彼女との間で、「長女気質・次女気質」の話がよく出ます。

「先生、妹が家族と喋らないで、すぐ自分の部屋に行って、
ずっとベッドでパソコンを見ているので、
私がしかたなく、両親につきあって、居間にいます。
なんだか両親がかわいそうだからです。
それで今では家族に、私が両親と一緒にいるのが好きだと思われています」

あるあるですね。うちもそうでした。

「先生、うちの妹も決してトイレットペーパーを替えません。
替えるのが嫌さに、ものすごく苦労して3センチだけとか残します。
私はさっさと替えて、自分も存分に使ったらいいと思います!」

力説していました。

ちなみに生徒には言いませんでしたが、
私も10センチだけ残してトイレから足早に逃げていくことは、
いつもではないですが、ごくたまにはあります。
反省しました。

今日は以上です。

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ガラパゴス諸島から来た日本語教師 tamadoca
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