エッセイその121. 今年の雑草
「雑草はなぜそこに生えているのか」
という素晴らしい本がありまして、私はこの本には、雑草についての思い込みを覆されました。
それまで、
「雑草は強い」「強すぎて歯が立たない」
そう思ってきましたが、違うそうです。
弱いのだそうです。
弱いから、いろいろ作戦を立てて生きていく。
では、何に弱いのかというと、競争に弱いのだそうです。
植物は、ただ黙ってそこにいるようですが、
光合成のための光争いをしていて、
お互いに闘いに勝とうと必死なのだそうです。
この闘いに負ければ、生き抜くことができません。
地上では光の取り合いですが、地下ではもっと熾烈な生死を賭けた闘いがあります。
栄養や水を取り合っているのです。
ですから、
どこにでも生えてきて、
どうにも駆逐できない存在と普段思われていて、
「雑草のようにたくましい」などとよく言われていますが、実はその反対なのだそうです。
雑草とは、日光・水・養分を奪い合う、
その競争そのものに、弱いものである。
だから、強い植物が覇権争いをしている、自然の森には生きられません。
どこにいるかというと、
道端や庭、畑、高速道路の緑地帯やゴルフ場などの、「人工的な場所」にいるのだそうです。
弱い植物である雑草の戦略は、「戦わないこと」なんですって。
面白いですね。
読んでいくと、弱い植物である雑草の作戦について、
この本では詳しく教えてくれているのですが、特に面白いのは、雑草は「弱い」ので、簡単に他の雑草に駆逐されてしまうということです。
だから、雑草をよく見ていると、
毎年全く様子違ったりするのが見られます。
そのつもりで、社宅の庭を見ていますと、なるほどです。
毎年、中心になる雑草がくるくる変わるのです。
もっとも面白いからといって、近所に種を飛ばしまくる雑草を、
いつも、いつまでも生やしておくわけにいかないので、
たまに草刈りをします。
そのやりかたで、雑草の盛り返し方も違ってくるそうです。
例えば成長点というものがあります。
そんなものがあるのはもちろん、
稲科の雑草の成長点が地上近くで、
その他の広葉雑草では頂点に近い方、上の方であるなども、全く知りませんでした。
地表ぎりぎりで雑草を刈り続けていくと、
葉っぱの広い雑草がいなくなって、
固くて刈りにくい、厄介な稲科の雑草が一気に増えます。
梅雨時など、数日雨が続くので外も見ないでいると、
次に庭に出た時に、
おおっ
というぐらい稲科の雑草が密生しています。
「地面から15センチ以上」の高刈りをすると、
見た目はちゃんと刈っていないようですが、
稲科の植物も育ちますが、刈られた下に成長点の残った広葉系も残ります。
どう刈っても、根っこは残りますので、どの道生えてきます。
ならば、稲科のみになるより、共存してもらった方がいいわけです。
また、根こそぎにしない方がいいわけは、
地中で雑草の根が空気を抱き、微生物や、有効な虫類も生き残って土壌をフカフカにしてくれるからです。
私は本格的な畑はやめたので、その辺はいいですが、
根こそぎにしてもどうせ生えてくるので、
雑草は機械刈りに切り替えています。
うちの庭は、こんなふうに様子が変わっています。
ある年、ピンクのレンゲ草の種を全体に蒔いてみました。
レンゲ、シロツメクサその他の、地面を覆って花も咲き、
雑草を減らすことのできる植物を、
グランドカバーというのだそうです。
雑草の増えるのを阻止し、草刈りの回数を減らそうというこちらの意図です。
ところがこの可愛いレンゲ草が、私の膝丈まで伸びました。
花が可愛いのはいいととして、庭にいると、ときどき足を引っ掛けたり、
物干し竿のところまで行くのが、
膝までのレンゲの海をかき分けてと、大変になってきたので、
かわいそうでしたが、一度刈りました。
それで学習したのかどうかわからないのですが、
以降、草丈が地上15センチぐらいになり、
あちこちに咲いています。
これはとても不思議です。
たくましい稲科の雑草のそばに、丈低くピンクの花を咲かせるレンゲ草。
ある時は、小さい時に大好きだったので、
オジギソウの種を蒔いてみました。
たまたまそういう種類だったのかもしれませんが、
これがまあ、茎に危険な棘が生えます。
そして、地面にぺったりと匍匐前進して、
幅広く伸びていって、ちょっと危ないというか、怖い。
かわいそうだったけど、軍手にゴム手をして、刈り取りました。
次はダイカンドラです。
ある年、一生懸命他の草を刈り、やたらと蒔きましたが、
2年間ぐらいは全く音沙汰がありませんでした。
ところが、今年になって気がつくと、ダイカンドラだらけです。
特に、家の周りのコンクリート部分に、
ぎっしりと押し寄せていたのは助かります。
なぜなら、私の電動草刈り機は、
硬いものにぶつかると、
プロテクターを宙に飛ばし、止まってしまいます。
草の中を、プロテクター探してゴソゴソすることになります。
そこで、草刈り前には、塀際などは手で刈ってきました。
今年はダイカンドラが、家の外壁とフェンスに沿ってぎっしりと生えてくれたため、
他の雑草も生えてはこられなくなりました。
ダイカンドラ、愛してます。
今年も、エアコンのホースから水が滴る部分には、
例年通り、すごい勢いで稲科の雑草が生えています。
風船カズラと朝顔は、あっちこっちで好きなように這っています。
こぼれ種が毎年芽吹き、蔓性なのに地面にいるのです。
これは友達が種をくれたので、毎年グリーンカーテンにしますが、
準備を待ちきれずにどんどん増えています。
お構いもしませんが、頑張ってほしいです。
物干し台の下は、しつこく盗人萩が出ています。
あれは、花は可愛いけど、種が有名な「ひっつき虫」なので、花が終わったら全部刈ります。
オオバコ、カラスノエンドウ、ジブリのアニメによく出てくるエノコログサは、今年はいません。
新顔は、ヒメジョオンです。
私の腰ぐらいまで伸び、可愛い花を咲かせています。
ほっそりしていて少しの風にも揺れますし、花も葉っぱもはかなくて、
オオバコや秋のセイタカアワダチソウなどが持つ、猛々しい感じはありません。
全然刈らず、秋にはどうなるのか見守ろうと思います。
来年はどんなふうに変わっていくでしょう。
今から楽しみです。
雑草も理由があって「そこに生えている」わけなので、
大いに頑張ってもらいたいと思います。
急に私がハッスルして刈りに来ても、
そこはまた各自工夫をして、なんとかしてもらいたいと思います。
サポートしていただけたら、踊りながら喜びます。どうぞよろしくお願いいたします。