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漫画家とり・みき氏が描くイエスの生涯

 漫画家とり・みき氏が描くイエスの生涯、などというタイトルをつけますと、「プリニウス」で古代ローマを描いたとり・みき氏が近い時代のテーマに取り組んだのかと思う方もおられると思います。しかしここでご紹介したいのは”ギャグ漫画家”とり・みき氏の先鋭的な短編です。

 結婚や数度の引っ越しで手放したか箱詰めしてしまいこんだかしてしまったため、どの短編集に収録されているか確認できないのですが、タイトルは「だまって俺について来い」であっていると思います。(ちょっと検索したところ、短編集の表題作になっているようです)
 内容は真面目に信仰している方からは怒られそうですが、イエスの生涯にクレージーキャッツの歌詞をなぞらえていくというもの。山上から「よのなかまちがっとるよ」と呼びかけるイエス。マリアとヨセフに「あんたの息子を信じなさい」と説くイエス。クライマックスは信者と共にエルサレムへ向かうイエスたちが見開き2ページで描かれ、その上にクレージーキャッツの代表曲「だまって俺について来い」の歌詞が大きく示されます。最後は十字架上でイエスが「ハイそれまでヨ」と呟いて完。
 そのコンセプトに賛否はあると思いますが、初めて読んだときには完成度の高さに舌を巻いた作品です。

 先日、街で見かけた教会に「すべて、疲れた人、重荷を負っている人は、わたしのところに来なさい。わたしがあなたがたを休ませてあげます。」という聖書の言葉が掲げられていて、ああこの「わたしのところに来なさい」と、クレージーキャッツの歌詞「俺のところへ来い」が重なったのか、と腑に落ちるとともに、このマンガのことを思い出したのでした。

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