恐竜の名前についてる「ドン」って何?【雑学エッセイ】
先日、展示してある恐竜の骨格が化石かレプリカかを見分ける方法についての記事をあげました。
ありがたいことに大変好評をいただき、ビュー、スキともに、当アカウントとしてはかなり多めとなりました。
そこで2匹目のドジョウを狙ってみたいのですが、この記事の何がウケたのやら?そこで取り合えず恐竜展で子どもに披露できるような、ちょっとした知識という線で攻めてみようかと思います。
イグアノドン、ディメトロドン、メガロドン・・・、古生物の名前には「ドン」とついているものが多くいます。それではこの「ドン」はどんな意味なのでしょう。
イグアノドンは「イグアナの歯」という意味です。発見者のギデオン・マンテルがたまたま発見した巨大な歯が、イグアナの歯に似ていることから命名しました。
ディメトロドンは「2種類の歯」の意味。用途にあわせた複数の形をした歯を持つのは、現生の哺乳類を含む単弓類の特徴です。因みにディメトロドン属はスナフェコドン科に属していて、スフェナコドン科を代表するスフェナコドン属にも「ドン」がついていますね。こちらは「楔形の歯」という意味だそうです。
メガロドンはシンプルに「大きな歯」の意味。メガロドンは種小名でホホジロザメ属に分類されることが多いですが、分類には異論もあるようです。ホホジロザメ属も学名ではカルカロドン(Carcharodon)で、「ノコギリのような歯」の意味。属や種などについてや、国際動物命名規約などについても説明したいのですが、焦点がボケそうですのでそちらはまたの機会に。
以上でもうお察しのことと思いますが学名の「ドン」、正確には接尾語「odon」は歯を意味して、ギリシャ語に由来しています。
では何故、歯に因んで学名が名付けられている古生物が多いのでしょうか。それは骨格よりも歯が見つかりやすいからです。歯はその生物の体で最も固い部位である場合が多いため化石になりやすく、また歯は複数回生え変わるので、骨格がその生き物が死んだ時にしか残らないのに対し、生きている間に抜け落ちた歯だけが遺されて化石になることもあります。そのため歯だけが他の骨格と切り離されて発見されることは多いのです。
イグアノドンは典型ですが、工事現場で発見された歯のみから命名され、骨格は後から見つかっています。
まとまって骨格が発掘された時、歯は歯で、背骨は背骨で、指の骨は指の骨で別々の学名が付いているという場合もありますが、その場合は先に名付けられた学名が有効名となり、他は無効名となります。
古生物好きがよく目にする学名の接尾語としてはサウルスの次くらいじゃないかと思う「ドン」の解説に絡めて、化石資料としての歯の特性に少しだけ触れてみましたが、いかがでしょうか。面白い雑学エッセイに仕上がっていれば幸いです。
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