スパイスことば
カシューナッツをベースにカルダモンやフェンネルなどの爽やかなスパイスに加えレモンの酸味を加えたソース。それを焼いたメカジキと合わせると、プティマンサンという品種のブドウを使った白ワインに大層良く合った。
「燃える思い」に「背伸びした恋」そして「強い意思」。
カルダモンとフェンネルの花言葉である。料理にスパイスをきかせワインに合うように調理している時のスパイスは素材とワインの橋渡しをしているようでもあった。そして、スパイスが加わることによってその料理のメッセージがとても個性的で時に強く主張してくるので、どこかスパイスというのは手紙や切手のような存在なんではないだろうかと思うようになった。
ワインや素材だけではなく、土地や人とのコミュニケーションのツールとしてもスパイスは大活躍する。アヒージョのスパイスミックスを作るときにはガーリックにヒングを合わせてみたりしてみた。これが想像以上に美味しくできた。
「勇気と力」
ガーリックの花言葉である。
考えたレシピやスパイスミックスでアクセントとなるスパイスをピックアップして花言葉を調べてみたら、その料理に込められた自分でも気がついていないメッセージが現れたりする。
夏の暑さに負けないようにとクミンウォーターを飲むようにしている。クミンの花言葉は「憂鬱を払う」。カレーを使うときには大量に使うがクミンやターメリック、チリペッパーほどなかなか目立たないのがコリアンダー。花言葉は「隠れた美しさ」や「隠れた価値」。そのほかにもスパイスは様々な花言葉を持っている。
スパイスを使うことで新しいものが出来上がる。私は手紙を書いたりはあまりしないが、様々な土地から野菜や肉や魚などを送ってもらっては色々なレシピをスパイスを使って考える。そんな時、言葉はないけど会話ができているような気になっているのは、スパイスという切手を使って手紙のやり取りをしているのかもしれない。
スパイスの言葉を覚えていけばいくほど、様々な人やものと会話ができるようになっていく。スパイススタンプをたくさん集めて、たくさんの人やもの、ことと手紙のやり取りができたらとても楽しい。
ブラックペッパーの「熱狂」、ターメリックの「乙女」、クローブの「高貴」、ジンジャーの「豊かな心」、マスタードの「冷淡」、フェヌグリークの「賞賛」「精神の強さ」シナモンの「清純」。それぞれの花言葉である。スパイスで料理を作る時やメニューを考える時に花言葉を意識してみると見え方が少し変わってきたりするかもしれない。