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カッチとパッキ

世の中には色々な人がいる。様々なことに挑戦するときに入念に準備を済ませてから挑むものもあれば、準備そこそこに挑戦していき、実践の過程で成長したりするものもある。

カッチはどちらかというとゆったりとしている。様々なものを観察しているが、はたから見ているとボーッとしているようにもみえる。何もしていないようで見ているものや起こっていることを我が身に吸収している。

パッキは常に動いている。はたから見ていると忙しそうにしている。何をやるにも様々な準備をしているし、いつも仕事をしているようだ。彼は動くことによって様々なことを吸収して成長するのであろう。

カッチもパッキもどちらもお互いを認め合っている。物事を作り上げるとき、どちらのやり方も尊重し合っているようだ。実践でゆっくりと時間をかけ、吸収してきたものを発揮するカッチ。出来上がるものは一体感が溢れている。入念に準備することによって実践をよりスピーディーにパワフルにこなすパッキが作り上げるものはパンチ力があり、準備がしっかりできているので幅広く様々なものに応用できる。

カッチとパッキの周りにいる人たちも、どの場面でカッチを使うのか、パッキを使うのかはその時々で判断するようだ。最近では時間がないという理由でパッキが選ばれがちであるが、カッチのゆっくりと時間をかけることに変えることができないものもある。

カッチ(kachchi)もパッキ(pakki)もインドを代表する炊き込みご飯「ビリヤニ」を作る手法の名前である。ビリヤニがすごく有名なハイデラバードという町ではどちらの手法も使って調理するらしい。インドの様々な地域や都市でビリヤニは作られている。どの地域もそれぞれにユニークな調理法があり、出来上がりの見た目や味わいは異なってくる。

ビリヤニをカッチ式で作るときはお肉などを前もってヨーグルトやスパイス、ニンニク、生姜などでマリネしておき一晩ほど漬け込んでおくのが主流である。そして生のままの肉とマリネ液を米と合わせて鍋に入れ密封して弱火でじっくりと時間をかけて調理していく。パッキ式はお肉などあらかじめ程よく火を通しておき、それをお米と合わせて炊き込むこむ。調理時間がカッチより短いのと、カッチでは鶏肉ややぎ肉など使える食材が限られてくるが、あらかじめ調理したものとお米を合わせる手法のパッキ式だと魚や海老、野菜など様々なものを合わせてビリヤニを作ることができる。

インド東部のコルカタなどはカッチ式が多いらしく、そのほかにもよりシンプルな作り方のアワド式、バンガロールやケララなどで取り入れられているボイル式などもある。

調べれば調べるほど様々な手法があり、それぞれの良い部分がありそうだ。

いつか様々な調理手法のビリヤニを一緒に実践する場でも作りたいものである。そしてここならではの新しい手法や土鍋を使ったビリヤニなど考えられたら楽しそうである。

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