スパイスの香りを引き立てる
スパイスを組み合わせて新しいブレンドを作るのが好きである。そして新しいブレンドを作る過程には昔から伝わるスパイスの使い方や逸話、調理方法や組み合わせを知るのが一番の近道であるような気がする。スパイスの特性である「香り」を意識しながらブレンドを作っていく。「香り」をいかに引き立てていくかもとても重要である。ブレンドされたスパイスでお互いの香りがともに引き立てあっていることや調和されていることが大事だ。例えばターメリックなどはそれ単体では苦みや深みの香りがある。しかし所謂「カレーパウダー」のように「カレー味」を作ろうとすると色味の部分も含めなくてはならないものになる。それは全体の調和もとってくれる。
スパイス単体でもブレンドでも「香り」が大事であるが、その引き立て方を知っていると料理はもっと楽しくなると思う。「香り」の引き立て方にも色々とあるが重要なのはスパイスの香りの正体を知るということかもしれない。スパイスには油分が含まれている。エッセンシャルオイルのようなものである。それらが揮発してスパイスは香っているといわれている。故にその揮発を促進させてあげるとより「香る」のである。揮発を促す方法は何通りかある。火にかけてあげること、ローストしたり、炒めたり、煮込んだりしてあげること。玉ねぎなどを炒め、スパイスを加えてあげるとスパイスの香りが何倍にもなって香ってくる。スパイスをローストしてあげると香ばしさが増し、深みを帯びた香りに変わっていく、落ち着いた香りに仕上がったスパイスはガラムマサラのように仕上げに加えてあげることも多い。そして深みを帯びた香りのスパイスはお肉料理との相性も抜群である。またスパイスの香りの正体が油のため、その香りは水よりも油に移りやすいといわれている。スパイスからカレーを作り始めるときホールスパイスを油に加えスパイスの香りを油に移してから次の調理工程に移っていくのもそのためなのかもしれない。
「香り」が大事であるからこそ、スパイスの香りを引き立てていきながら調理をするのはとても大事になってくる。調理工程の最初にスパイスを油に加え、ホールスパイスの香りを引き立ててから玉ねぎを加えたり次の調理工程に移っていく。玉ねぎやニンニク、生姜をしっかりと炒めたらパウダースパイスや塩を加えて炒めてあげることでグッと香りが引き立つ。香りが引き立ったら具材を加えてあり、水分を足してあげたりする。そしてグツグツと煮込まれたカレーの仕上げに加えるスパイスも香りを立たせて加えてあげることが多く、ガラムマサラなどのようにスパイスをローストして香りを立たせてからパウダーに似たものを加えたり、テンパリングといって油にニンニクや玉ねぎなどと一緒にスパイスを加え香りを立たせてからカレーの仕上げに油ごと加える調理方法もある。
スパイスは「香り」である。そしてそれをより引き立たせてあげるとカレーはもっと美味しくなるのではないだろうか。