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【イベントレポ】女性・ITエンジニア必見!!「ノーベル経済学賞で話題の男女賃金格差・ジェンダーギャップを本気で考えるイベント」を開催しました。

2024年5月30日、Waveleap は WAKE Career(ウエイクキャリア) へとサービス名称を変更しました!

みなさん、こんにちは!bgrass取締役COOのふーみんです!

bgrassは、IT業界のジェンダーギャップ解消を目指して、テックリードを目指す女性・ITエンジニア向けハイスキル転職サービス「Waveleap」を運営しています。

私たちがWaveleapを運営している中で、ひしひしと感じるジェンダーバイアスは、女性・ITエンジニアの希望年収が市場価値に比べて低すぎること。自分の経験を低く見積り、現在のスキルに自信が持てていない方が少なくありません。

IT業界のジェンダーギャップを解消し、テックリードを目指す女性・ITエンジニアを本気で増やしていきたい私たちは黙ってはいられません…!

ジェンダーギャップを正しい知識を身につけ、男女の格差がある中でもキャリアを積み重ねていくための戦略を、女性エンジニアに届けるためにイベントを開催しました。(2023/11/27開催)

ジェンダーギャップ解消に尽力しているゲストをお招きし、それぞれの立場・角度からお話をいただきました!

浜田敬子さん(ジャーナリスト/前Business Insider Japan統括編集長/AERA元編集長)
田中沙弥果さん(特定非営利活動法人Waffle 理事長)
池内 孝啓さん(ソフトウェアエンジニア。株式会社Awarefy 取締役CTO)
モデレーター:咸多栄(bgrass株式会社代表取締役CEO/CTO)

今回の記事では、開催で話された内容・様子をイベントレポートとしてお届けします!


本イベント参加で得られたもの

このイベントで何が得られるの?を一番に気にする方が多いと思いますので、敢えて一番上に持ってきますね。

イベント中は「なるほど…」「えっ!?」と思わず声が漏れてしまうほど、今まで当たり前に受け入れていたことに、無意識のジェンダーバイアスがあることが明らかに。

女性・ITエンジニアからは「キャリアを諦める必要はない。」「積極的に昇進、責任ある仕事を引き受けていい。」とキャリアに対する考え方が変わったと感想をいただきました。

女性・ITエンジニア以外の方からも、「ジェンダーダイバーシティ推進が自社の採用の強みになる話は納得だった」「中途採用の前職ベースの賃金が格差の再生産を高めるから、辞めていく」などの感想をいただきました。IT企業の人事・CTOの方にも役立つ内容となっています。

早速イベント内容を見ていきましょう!本レポートは1時間半ほどの内容を凝縮して記載しております。

そもそも、日本の男女賃金格差が大きい理由は?

咸多栄(以下、だむは):IT業界のジェンダーギャップを見る前に、まずは日本全体の構造を知っていきましょう。浜田さん、いかがでしょうか?

浜田敬子さん(以下、浜田):同じ仕事をする場合は採用や登用で差別されないことを謳った男女雇用機会均等法が制定され40年近く経った今でも格差がある原因は大きく2つ。1つは、性別役割分業意識の根強さ。

女性は出産などのライフイベントをきっかけに復職後は時短勤務にする人が少なくありませんせん。結果的に給料が減り、昇進も遅れます。なぜ時短勤務を選択するかと言えば、女性に家事育児の負担が偏っているからです。一方で男性は子どもが生まれた後も働き方を変えずに済んできました。そうすると残業もできるから残業代もつくし、昇進もしていく。結論として、男性も家事育児を等分に負担しなければ男女の賃金格差は解消しません

浜田:もう1つは評価の不透明性です。「うちは実力があればちゃんと評価しているよ」という声は企業の経営層や上司層から聞きますが、その実力の定義から再考する必要があります。長時間労働や転勤を引き受けられることまで「実力」と見なされていないでしょうか。そういう労働慣行の中で「あいつ頑張っている」と評価されるのは、大抵家事育児を負担していない男性の方です。


ーー「充実しすぎた両立支援」そしてやりがいの喪失

だむは:「男性も家事育児を負担しないと賃金格差は解消しない」とのことですが、両立支援が充実している企業は多いですよね。

浜田: 2000年代に入って日本企業は育児や介護と仕事の両立をしやすくする両立支援は充実させてきました。ですが、結果的に両立支援制度を使うほとんどは女性で、結果的に性別役割分担意識をさらに強固にしてきたと思います。もちろん最低限の両立支援制度は必要ですが、大事なことは男性にもこの制度を利用してもらうこと。女性に対しては、むしろ早い段階からキャリアを支援する必要があります。実際20代からリーダーを目指すための研修を入れるなど「早回しのキャリア」を実践している企業もあります。

池内 孝啓さん(以下、池内):「同一労働同一賃金は不公正」は理解しやすいです。一方で「女性は出産して休むかもしれない。それならマネジメントの立場に配置するのは辞めよう」は理由づけができてしまい、格差を正当化し、繰り返してしまっています。


ーー誰でも持っているジェンダーバイアスの影響は?

だむは:私もふーみんさんに「お子さんいるから、今日のイベントも夜だし、声かけない方がいいかな」と一瞬考えてました。これこそマミートラックだと気づきました…。

浜田: 子どもいるからこの仕事は難しいよねと、多くの上司がやっていることは気配りかもしれません。でも、上司側が良かれと思って行う過剰な配慮は女性側から見ると、機会の損失に繋がりかねない。これを「好意的差別」と言います。

田中沙弥果さん(以下、田中):データサイエンティストに興味を持った女子学生から、「手に職だから医療系に行きなさいと親から言われた。データサイエンティストは女性も稼げますか?」と聞かれました。これは、親が持っているバイアスですね。「めっちゃ稼げるよ!!」とデータのURLとともに伝えました笑。


スキル重視のIT業界で男女賃金格差が生まれる理由は?

ーー「業界自体に男性が多い」がもたらすものとは?

浜田:メルカリでは、男女の賃金格差を解消する取り組みを行っています。その取り組みから明らかになったのは、同じ職種同じ職位でも説明のつかない賃金格差があるということでした。その要因を分析したところ、転職の際に前職の給与に基づく給与設定が賃金格差を再生産していることが分かったんです。メルカリは何年もかけてジェンダーギャップ解消に取り組んだ結果、「最終的に手をつけなくてはならないのは賃金だ」となり、今回の取り組みを始めたそうです。


(当該レポートはこちら)

今、従業員301人以上の企業では男女の賃金格差の開示が義務化され、数字は把握していると思います。でも、その格差を勤務時間の長さや管理職数の差があるから、「仕方がない」で終わってしまいがちです。

池内:CTOは男性社会で、女性は1%ぐらい。ロールモデルを見つけるのも難しいですね。


企業は課題をどう捉えていくべきか?

田中: 私が支援しているZ世代はえるぼし認定をよく見ています。資本主義で生じた歪みに向き合っているかを厳しく見て「ジェンダーダイバーシティ推進を行なっていない会社は選ばない」と言っています。学校でSDGsの授業を受け、必要性を理解しているからと考えています。

ーー中小企業・スタートアップこそダイバーシティ推進!

だむは:中小企業やスタートアップがダイバーシティなどに取り組むのはエネルギーがいるのではないでしょうか?

浜田:そんなことありませんよ、何と言ってもダイバーシティ推進は設備投資などと比べるとお金はかかりません。また熱心にダイバーシティを進めている中小企業に取材をすると、取り組みのきっかけは圧倒的に人手不足でした。

今の若い世代は男女問わず、ダイバーシティが進んでいる企業で働きたいという人が多いので、中小企業こそダイバーシティを推進すると、優秀な若い世代などの人材が採用ができます。

<詳細は浜田さんの著書『男性中心企業の終焉』にて>

池内:スタートアップ経営者として、ジェンダーダイバーシティ推進は機動力があり、しがらみのない初期の頃から進めるのがおすすめです。

「正しいからやる、もそうだし、インパクトスタートアップとして社会課題の解決と経済合理性を両立させていきたいと考えています。」と池内さん

一方で、えるぼし認定や教育制度の充実は余力がないと難しいという課題も。でも、働きやすい環境の作りやすさという強みでカバーしうる部分があるのも事実です。

だむは:Waveleapでは、ジェンダーダイバーシティがどのくらい進んでいるかを必ず見える化しています。スタートアップや中小IT企業でのえるぼし認定に変わる新しい基準をWaveleapで作ります。

田中:エンジニアになりたくて情報系に行ってスキルも身につけて、IT企業でインターンした女性が、企業のボーイズクラブに馴染めず、

「あのコミュニティで仕事するの無理です」
「プロダクトを一緒につくる楽しさを共有できない環境は無理、コンサルに行きます」

と泣いていました。こういう相談が立て続けに来ます。

「企業側のジェンダーダイバーシティ推進が急務と」と田中さん



女性は、この格差をどう捉えて、動いていく?

浜田:大事なことは2つで、1つは「企業を名前で選ばないこと」。大企業だから、有名企業だからということで選ぶのではなく、しっかり開示されているデータを精査すること。中でも賃金格差はとても重要な指標です。もう1つは、経営トップのダイバーシティ推進の覚悟を見極めること。これは経営者のインタビューなどを読むといいと思います。

「ジェンダーダーバーシティ推進はトップの本気度で変わる。」と浜田さん

もう1つは「パートナー選び」。どういうパートナーと人生を共にするかで、本当に人生は大きく変わりますよ。

ーー女性がリーダー層を目指すためにどうするべきか?

池内:バイアスも少なく、男女ともにバックグラウンドも関係なく成果出していくことが求められるスタートアップをお勧めします。

女性のテックリード・CTOを心から応援してますし、当社でも増やしていくことを決めています。そのために、男性側・企業側も成長していかなければなりません。

だむは:Waveleap登録企業もスタートアップが多いですが、フレックスやリモートワークなど働き方の自由度が高い企業も多いです。ライフイベントに左右されずに活躍し続ける環境に居続けられるからこそ、成果が出せるのだと思います。

「持続的に働けるIT企業を増やしていく」と当社代表の咸多栄

田中:自身の給料を低く見積もらないこと・年収交渉をすること」が本当に大切!女性は、「自分は一回仕事離れたので・・・」などで低く見積もりがちですが、技術力や市場価値と照らし合わせると「100万円プラスしてもいいのでは」と思うことはよくありますよ!

最後に

いかがでしたでしょうか?

女性・ITエンジニアの皆さんが、社会構造を見る新しいメガネを得て、自分の市場価値を正しく評価したり、キャリア選択で諦めずに行動するきっかけを掴んでいてもらえると大変嬉しいです!

登壇いただいた浜田さん・田中さん・池内さん、ボランティアスタッフで関わっていただいたみなさん、オフィスを貸していただいたIPPOさん、初のハイブリット配信にアドバイスをくれたみなさん、本当にありがとうございました!



Waveleapでは今後もテックリードを目指す女性・ITエンジニアを応援しています!ぜひWaveleapにご登録ください!


ジェンダーダイバーシティ推進に本気で取り組むIT企業の採用をご支援してまいります。エンジニア採用をしたいIT企業様からのお問い合わせもお待ちしております。(現時点でのジェンダーダイバーシティ推進状況は問いません)


採用情報

日本のジェンダーギャップをテクノロジーで解決していく!創業期のエンジニア募集中です!!めちゃくちゃ面白いフェーズなので、ぜひご応募ください。まずはカジュアルにお話ししましょう!


最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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