DOMi&JD BECKで知る「フュージョン」 今昔25のプレイリスト
70年代から80年代を通して隆盛を迎えたフュージョン。今そのフュージョンが新世代のミュージシャンによって見直され、アップデートされたサウンドになってシーンを席巻している。先頃来日した20代前半の男女デュオDOMi & JD BECKもその一つだ。現代の新世代ミュージシャンとハービー・ハンコック、ウェイン・ショーター、ジャコ・パストリアス等の当時のキーパーソン達をミックスしたプレイリストを作成した。
驚異的デュオDOMi & JD BECKを観た
話題のデュオDOMi & JD BECKのBlue Noteでのライブを観てきた。3日間のライブは完売。
さらにはLOVE SUPREME JAZZ FESTIVAL JAPANへも出演し、テレビ等の出演もありその奇抜なルックスもあり強烈に印象づけられた。
2022年に名門Blue Noteとアンダーソン・パークが主宰する"APESHIT"とダブルネームでデビューし、本人たちはグラミー賞新人賞に、デビューアルバム『NOT TiGHT』は最優秀コンテンポラリー・インストゥルメンタル・アルバム賞にと、2部門にノミネートされ破竹の勢いでシーンを席巻中。
DOMi & JD BECKはキーボードのドミ (DOMi LOUNA)と、ドラムスのJD・ベック (JD BECK)による2人組ユニット。ドミは23歳、ベックは若干20歳という新星だ。2000年にフランスで生まれたドミはフランス国立高等音楽院を卒業後、ボストンのバークリー音楽大学に入学。一方JD・ベックは2003年にテキサス州ダラスで生まれ、10歳の頃には元スナーキー・パピーのドラマーのRobert "Sput" Searightなどと共演し、目を懸けられてきた。
見た目の奇抜さに目を奪われがちだが、音楽的なベースはしっかりとした2人であり、70'sのフュージョン好きなら心奪われるサウンドだ。
今回はDOMi & JD BECKがリスペクトする70's-80'sのフュージョンと彼ら周辺のミュージシャンを掛け合わせたプレイリストを作成。
改めて時代を席巻したフュージョンとは何だったかを確認し、関わったキーパーソンを検証した。
ハービー・ハンコック
Moon / DOMi & JD BECK,Herbie Hancock
彼らのデビュー作には多くの大物が参加しているが、JAZZ界のレジェンド、ハービー・ハンコックも参加している。
ハンコックもフュージョンの生みの親としてシーンの立役者となった。
デビュー作「Not Tight」では1940年生まれ83歳のハンコックと60歳の年齢差を超えて共演した。そしてMoonを共作し、さらにハンコックはPianoとVocoderで演奏もしている。現在23歳のドミだが、ハンコックも23歳でマイルス・デイヴィス・クインテットに誘われ加入している。
ハンコックお得意のVocoderが当時のサウンドを想起させる。
※一般的にVocoderは、シンセ音に人の声のキャラクターを適用することによって、まるで人が歌っているようなサウンドを出すことを可能する。
Chameleon / Herbie Hancock
彼らはステージでも共演しているが、ハンコックのエレクトリック・ジャズ期の名曲Chameleonをバンドに混じって演奏した。
このChameleonは1973年にハンコックがリリースした『ヘッド・ハンターズ』(Head Hunters)に収録、アルバムは彼の最大のヒット作となりジャズでありつつもチャート13位に達した。
ファンクを取り入れた本作はフュージョンの原点とも言われ、特にリズムセクションのハーヴィ・メイソン(ドラム)とポール・ジャクソン(ベース)が素晴らしいグルーブを作り出している。ジャズ・フュージョン、ジャズ・ファンクなど色々と呼ばれるが、ジャズをベースにロックやファンクなどとの接近を試みた結果がフュージョンとしてジャンル化していく。
ウェイン・ショーター
Endangered Species / Wayne Shorter
さて、DOMi & JD BECKの当日のライブでは、先人にリスペクトを捧げた2曲がカバーされた。
1曲は今年3月に89歳で逝去したサックス奏者ウェイン・ショーター(Wayne Shorter)のカバーEndangered Species。ショーターはハンコックと同時期にマイルス・デイヴィス・クインテットに在籍、その後1970年にウェザー・リポートを立ち上げた。彼もまたフュージュン生みの親ともいえる。
Endangered Speciesは1985年リリースのソロ「Atlantis」に収められた。既にウェザー・リポートは解散しており、さらに電子的となりシンセサイザーを駆使した内容のアルバム。本曲はMichael Hoenigのプログラミングによる打ち込みベースラインが聴かれ、ドミは見事に左手で再現している。
2012年にはベーシスト、ボーカリストのEsperanza Spaldingが自身の作品「Radio Music Society」でボーカルを加えてカバーしている。
ウェザー・リポート
Havona / Weather Report
ドミがジャコ・パストリアス(Jaco Pastorius)の名前を上げて演奏したのが、彼がウェザー・リポート在籍時にリリースしたHavona。
ウェザー・リポートはウェイン・ショーターとジョー・ザヴィヌルにより1970年11月に結成された。スーパーベーシストのジャコ・パストリアスが76年に加入するとさらに強力となり、1977年のアルバム『ヘヴィ・ウェザー』で頂点に至る。この作品に収録Havonaはジャコ作曲のナンバー。ジャコ・パストリアスによるフレットレス・ベースを使用した超絶プレイをドミの左手が見事に再現している。
ドミは「キーボードを弾くのよりも好きかも。ベーシストならジャコが一番好きかな」と語る。
ジャコ・パストリアス
(Used To Be A) Cha-Cha / Jaco Pastorius
『ヘヴィ・ウェザー』より一足早くリリースされたジャコのデビューアルバム、『 Jaco Pastorius(ジャコ・パストリアスの肖像 )』より。ウェザー・リポート加入前だが、ハービー・ハンコックが参加するなど期待の大きさが伺える。さらにヒューバート・ロウズ(ピッコロ、フルート)、ドン・アライアス(コンガ)、レニー・ホワイト(ドラムス)も参加。
サンダーキャット
Not Tight / DOMi&JD BECK&Thundercat
そのジャコのレコードを4歳の時に聴いてベーシストになったサンダーキャット。1984年生まれの38歳とDOMi & JD BECKの先輩格。グラミー賞を獲得するなど、今最も勢いのあるスーパーベーシストだ。
DOMi & JD BECKの重要なコラボレーターの1人でもあり、アルバム「Not Tight」も全面的にサポート。Not Tightを共作し、ベースでも参加している。サンダーキャットと言うとマイケル・マクドナルド等AOR系のイメージだが、演奏面では80年代のフュージョンの影響が強い。
Them Changes / Thundercat
サンダーキャットの代表曲Them ChangesをDOMi & JD BECKはアリアナ・グランデと共に演奏している。
2017年リリースの「Drunk」のThem Changesはアイズレー・ブラザーズのFootsteps in the darkのドラムブレイクをサンプリングして、作り上げた曲。
ジョージ・デューク
For Love / George Duke
ウェザー・リポートと共にフュージョンをさらに拡張させたキーボード奏者、ジョージ・デューク(1946年生まれ、2013年67歳で死去)。
初期のサンダーキャットは彼からの影響が強い。サウンド面だけでなくファルセットなボーカルスタイルも影響された。デュークは2013年の「Dream Weaver」にキャットの盟友カマシ・ワシントンを起用するなどLAジャズの若手を発掘してきた。そして元々デュークはフランク・ザッパのバンドに所属し、ザッパのフュージョン期のサウンドを支えていた事実も面白い。
1975年にリリースされた「The Aura Will Prevail」よりFor Love。アルフォンソ・ジョンソン、レオン・チャンクラー、アイアート・モレイラが参加。
この映像などはほぼブラコン。Steve Ferrone(Drums)、Louis Johnson(Bass)
For Love / Thundercat
サンダーキャットはデュークのFor Loveを2011年のデビューアルバムでカバー。デュークのリリースから35年の時を経ているが、時間の経過は感じさせない程、2人には共通項がある。
スタンリー・クラーク
Journey To Love / Stanley Clarke
もう1人サンダーキャットが尊敬するのがジャコと並ぶベースの巨人スタンリー・クラーク(現在71歳)。1972年にチック・コリアらとリターン・トゥ・フォーエヴァーを結成、ウェザー・リポートと並ぶフュージョンムーブメントの代表的存在となる。
さらにジェフ・ベックとの共演でロック界にも知られた。
キャットの兄でもあるロナルド・ブルーナーJr.がクラークのバンドでドラムを叩いた縁もあり、リスペクトは強い。
「スタンリー・クラークは俺にとってものすごい影響を与えた人だ! 真の大物だよ。彼が演奏したもの全ては、俺にとっていつでも関連性のあるものだと感じていた。」と語る。
「Journey To Love」は1975年リリースのソロアルバム。後にクラーク/デューク・プロジェクトを組む、ジョージ・デュークが鍵盤と共にファルセットボーカルを聴かせ、ジェフ・ベック、スティーヴ・ガッドも参加。ベックも同年にBlow by Blowをリリースしたフュージョン期であった。
クラークとデュークの共演画像も貼っておく。
ルイス・コール
I Love Louis Cole / Thundercat
そしてサンダーキャットの最も親しいコラボレーターであるドラマーのルイス・コール(Louis Cole)。2017年にまだ少女のDOMi とも共演しており「ルイス・コールは自分たちの音楽にとって母親のひとり」と語っていた。
サンダーキャットは『It Is What It Is』でI Love Louis Coleなる曲をコールに捧げており、昨年の来日ではドラマーとして帯同させている。I Love Louis Coleの録音でもコールがドラムを叩いている。アルバム『It Is What It Is』は2021年度グラミーの最優秀プログレッシブR&Bアルバム部門を受賞した。
Weird Part of the Night / Louis Cole
ルイス・コールは南カリフォルニア大学ソーントン音楽学校でジャズを専攻し、ブラッド・メルドーら一流ジャズマンたちとのセッション経験も持つ。主な楽器はドラムで、加えてギター、ベース、キーボードも巧みに操り、ボーカルまでこなすマルチインストゥルメンタリスト。彼の音楽的基盤はジャズでありながら、作品は表層的にはポップで純粋な意味でのジャズとは異なる音楽に聴こえる。
F it up / Louis Cole
この曲は一軒家で収録されたものなのだが、階下のリビングには10数人のビッグバンドを配している。
2019年に行われたビッグバンド編成でのライブ映像
トニー・ウィリアムズ
ルイス・コールは「17歳の頃くらいに、トニー・ウィリアムスの『エマージェンシー』というアルバムを聴いたこと」で本気で音楽をやっていきたいか、と考えたという。
トニー・ウィリアムスは17歳で1963年にマイルス・デイヴィスの「黄金のクインテット」のメンバーに抜擢されたが、ロックへの傾倒からジョン・マクラフリン、ジャック・ブルースらを迎え自身のグループの「トニー・ウィリアムス・ライフタイム」を結成。
Tony Williams Lifetime - Mr Spock
新メンバーを加えて「ニュー・ライフタイム」として再結成(1975年)。アラン・ホールズワース(ギター)、アラン・パスクァ(キーボード)、トニー・ニュートン(ベース)という黒人2名、白人2名の混成チーム。
Hittin' On 6 / Tony Williams
1978年の「The Joy of Flying」より。録音メンバーはトム・スコット、 ハービー・ハンコック、スタンリー・クラークにトニーという豪華さ。
ここに参加したトニー・ウィリアムス、ハービー・ハンコック、さらに前述のウェイン・ショーターはいずれもマイルス・デイヴィス・クインテットのメンバー。マイルスがエレクトリック・ジャズ路線を進めたIn A Silent Wayにはこの3人に加えて、ジョー・ザヴィヌル、リターン・トゥ・フォーエヴァーを結成するチック・コリア、マハヴィシュヌ・オーケストラを結成するジョン・マクラフリンとフュージョン・シーンを担うプレイヤー達が一堂に会した。フュージョンで活躍したキーパーソンは何もマイルスの門下生だった。
ロックからフュージョンへ
アラン・ホールズワース
WHOA / DOMi & JD BECK, Kurt Rosenwinkel
アラン・ホールズワースと言うとジョン・ウェットン、ビル・ブルーフォードなどプログレ界の大物が集ったU.K.(1978年)への参加で知ったが、ソフト・マシーン、ゴングなどといったプログレッシブ・ロック、ジャズ・ロックのバンドにも在籍しプログレ界の人という印象だった。
ジャズとロックが融合しフュージョンに転ずる過程で、プログレ的な展開を見せることも多く、ホールズワースもプログレ畑からフュージュンにアプローチした1人だ。特に前述のトニー・ウィリアムスとの交流が深い。
そんなホールズワースをリスペクトするジャズギタリスト、カート・ローゼンウィンケルとDOMi & JD BECKとの共作がWHOA。
カート・ローゼンウィンケルはホールズワースの追悼に寄せて、
「彼の演奏そのもの、ハーモニーやラインを聴けば、どんなジャズギタリストにも通用する洗練された技巧の持ち主で、誰にも越えられないギタリストだって判るだろう。」と語る。
またドミが展開するフレーズはアラン・ホールズワースのギターのフレーズを彷彿とさせるものがある。インタビューでは、ドミがホールズワースの書き起こしをしていたとベックに指摘されている。
JD『アラン・ホールズワースのソロもやってたよね。「Atavachron」をやっていたけど、あれは本当に難しかった。』
Looking Glass / Allan Holdsworth
そのドミが書き起こしていた1986年リリースの「Atavachron」より。
敬愛するドラマー、トニー・ウィリアムスを起用している。
フランク・ザッパ
Blessed Relief/Frank Zappa
そして93年に亡くなるまで異色の傑作を作り続けたフランク・ザッパをサンダーキャットは最大限にリスペクトしている。
「ザッパが成し遂げたことは大きすぎる。今日に至るまでザッパに匹敵できたミュージシャンはいない。傑作が多すぎるよ」と語る。
Blessed Reliefは「The Grand Wazoo」(1972年)より。 このアルバムは、ジャズビッグバンドの雰囲気を取り入れた作品であり、ジャズの要素が随所に見られる。
キーボードはジョージ・デューク。ドラムにエインズレー・ダンバー、サックスにアーニー・ワッツが起用されている。
ジョージ・デューク在籍時の映像
ジョン・マクラフリン
Cosmic Strut / Mahavishnu Orchestra
ブルースから始まり、ジャズ、フュージョン界で活躍したイギリス人ギタリスト、ジョン・マクラフリンもフュージョンにとってのキーパーソン。グレアム・ボンド・オーガニゼーションにジャック・ブルース(Ba)、ジンジャー・ベイカー(Dr)と共に在籍していた。サンタナと「魂の兄弟たち」を共同名義で出すなど、ロック界の住人とも言える。
彼が1970年に結成したマハヴィシュヌ・オーケストラはビリー・コブハム(ドラム)、ヤン・ハマー(キーボード )などの精鋭を集めフュージョンの先駆けとなる。ジェフ・ベックも彼の影響でフュージョンに傾倒する。
Cosmic Strutは75年リリースの『エメラルドの幻影』の一曲で、ジャン・リュック・ポンティ(ヴァイオリン)、ナラダ・マイケル・ウォルデン(ドラム)が参加している。
ジャン・リュック・ポンティ在籍時のマハヴィシュヌ・オーケストラ
ブレインフィーダー
そして現代に話を戻すと、2007年に設立されたサンダーキャット、ルイス・コール、さらにカマシ・ワシントンを擁する現代の最重要レーベル『ブレインフィーダー(Brainfeeder)』に注目したい。
このレーベルからフュージョンとの共通性を感じるミュージシャンを紹介する。
All Around The World / Brandon Coleman
カマシ・ワシントンのバンドの鍵盤奏者としても活躍するブランドン・コールマン。
ヴォコーダー歌唱も含めて80年代ブラコン~フュージョンのオマージュ的な作品を展開する。ハンコックやジョージ・デュークのDNAを感じる。
Tesla / Flying Lotus
ブレインフィーダー主宰でもあるフライング・ロータス。
アリス・コルトレーンを大叔母に、ジョン・コルトレーンを大叔父にもつ。2014年リリースの「You're Dead」より。ハービー・ハンコックのスペーシーな鍵盤とサンダーキャットの超絶ベースプレイが炸裂。ジャズやヒップホップが融合する現代のフュージョン。
AORとフュージョン
The River Must Flow / Gino Vannelli
歌が入ったフュージョンがAORとも言えるほど、両者の境は曖昧だが、特にサウンド志向の強い曲をチョイスした。
The River Must Flowはジノ・ヴァネリ(Gino Vannelli)の最高傑作とも言える1978年の「Brother To Brother」より。ジノ自身が歌手でありながら、サウンドクリエーター志向が強く、こだわりの強いフュージョンサウンドに歌を乗せている。サンダーキャットが歌作りの師と仰いでいる。
翌年79年には坂本龍一と渡辺香津美のKylynもカバー。矢野顕子の歌唱。坂本がフュージョンに手を染める程、この流れは世界的に拡散されていた。
Time out of Mind / Scott Kinsey
スコット・キンゼイ(Scott Kinsey)は、キーボード奏者であり、トライバル・テックのメンバーである。ジョー・ザヴィヌルマニアとしても知られており、サンダーキャットと共演もしている。ここでは、嘗てウェイン・ショーターを起用し、ジャズとロックの融合、つまりフュージョンの拡張に貢献したSteely Danをカバー。Time out of Mindは「ガウチョ」収録のナンバーだが、見事に現代風フュージョンに仕上げている。メル・サル(Mer Sal)の双頭名義による2022年のアルバム『Adjustments』に収録された。ベースがJimmy Haslip、ドラムがGary Novakと精鋭を起用。
チック・コリア
Dear Alice / Chick Corea
そして最後は2021年に79歳で逝去したチック・コリア。彼もフュージョンのキーパーソンであることは疑いない。1971年にロックの要素を取り入れたリターン・トゥ・フォーエヴァーを結成。スタンリー・クラーク、アル・ディ・メオラ、アール・クルーらがメンバーとして参加した。
1978年の『Mad Hatter』は彼の最高傑作として知られる。Dear Aliceはチック・コリアのファンタジー感覚が素晴らしい。スティーヴ・ガッド(ds)やエディ・ゴメス(b)のタイトなリズム隊の上でジョー・ファレルのフルートが名演を展開する。
20代前半のDOMi & JD BECKから、30代後半のサンダーキャット、70代のスタンリー・クラーク、80代のハービー・ハンコック、と1970年代から2023年の現代まで約40年の時空を超えたフュージョンのプレイリストだが、意外なことに聴いていても年代の格差を感じさせない。
そして源流を辿るとそこにはマイルス・デイヴィスがいる。
ハンコック、ショーター、トニー・ウィリアムス等のマイルス門下生が、ロックやワールドミュージックとジャズとの融合を試みた試行錯誤の歴史を垣間見た気がした。
さらに、音楽的にも商業的にもロックとの融合はフュージョンの発展に寄与した。ジョニ・ミッチェルとジャコ・パストリアス、スティーリー・ダンとウェイン・ショーター、ジェフ・ベックとスタンリー・クラーク。異種の融合でさらにジャンルは拡大した。
一時はダサい音楽として衰退したフュージョンと括られたサウンドだが、新世代のミュージシャンに再発見されて蘇っているのは嬉しい限りだ。
最後にChick Corea & Return to ForeverとHerbie Hancock & The Headhuntersの1974年の映像を貼っておく。Stanley Clarkeの姿も見える。