ラストマイル 感想

ラストマイルを見た結果、心のやわらかなところをぐちゃぐちゃにされ、途中から涙が止まらなくなり、帰りの電車の中でも、家でも、大号泣し、翌朝も思い出して泣いています。

前職でパワハラ被害に遭い、誰も助けてくれず、適応障害になって退職した自分にはとても重苦しくて、辛くて、逃げたくて、悲しくて、切なくて、救いがあって、嬉しくて、とても複雑な後味が残るラストをどう処理すればいいかわからないまま半日が過ぎようとしている。
とりあえず箇条書きで、自分が着目したポイントを列挙していく。

・羊急便という名前。一般的に草食動物であり、生贄として扱われたり、被捕食者の側に回ることが多い「羊」を宅配会社の名前に据えたところがえぐい。買い叩かれて、搾取され、ギリギリな運営状況で必死にやっているのがよくわかる。

・パンフにも記載がある通り、物流・物流センターという日夜動き続ける”血管”を舞台にしたのがえぐすぎる。物流センターという巨大な化け物に食うか、食われるか、エレナも五十嵐も孔もいつ食われてもおかしくない緊張感にこちらの心臓がもちそうになかった。

・パンフにも記載がある通り、電車の中では起きていたエレナが最後はタクシーの中で朝日を浴びながら眠れていたこと。眠りこそが彼女にとっての夜明けであることが救い。

・舟渡エレナという名前。エレナとはイタリア語で「光」ラテン語で「太陽」「輝き」を意味する。また迷った人の道標として、北極星の意味合いを兼ねることもあるらしい。
そのエレナが「次は孔の番だよ」と鍵を託すのがえぐい。
船頭として、北極星として、道を指し示してくれた人がいなくなったあと、孔は漕ぎ手としてどこに向かっていくのか。延々と考えてしまう。

・梨本孔という名前。梨の木の寿命は60年ほど。樹齢が20年~30年を超えると生命力が落ちてくるので、植え替えが必要になってくる。
梨の本の孔。こんなにも意味深な名前があるだろうか。いやない。孔もいつか植え替えされてしまうのかな。

・白井くん、白井くん、白井くん……っ!!! 生きていてくれてありがとう。きっと彼は「許されるように生きろ」という言葉をずっと覚えていて、だからこそメディカル便の配達に真っ先に名乗りを上げ、デリファスの招集に応じてくれたんだろうと思う。困っている人がいる、助けを必要としている、たくさんの人たちのために。ここで大号泣不可避だった。

・羊急便の下請けである佐野親子が届けたのが、羊の枕であること。日夜関係なく働き続ける配送ドライバーさんたちが運ぶのが眠りを誘う枕であること。

・佐野親子~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!
 最後の最後に松本家を救ったのが、佐野亘が会社で作っていた日の本の名前を掲げるドラム式洗濯機であったこと。最高すぎて鳥肌が立った。涙が本当に止まらなかった。本当に本当に感動した。
材質やクオリティにこだわったため、他社の安い製品に負けた、と亘は語る。
安かろう悪かろうの概念がなく、安いからという理由でセールに飛びつき、安いからという理由でデリファスを使う消費者たちの構造が背景に浮かび上がるのもお上手と言うほかない。

・八木さん~~~~~~~!!! 社長に啖呵切った八木さんが最高すぎる。最後、デリファスからの電話がかかってきたとき、日陰から日向へ歩み出る演出が最高。
そして「部長職以上がドライバーとして現場に出るぞ! 社長もだ!」のところで涙が止まらなかった八木さんの訴えを聞いた社長は、急ピッチで部長職以上を集めて、会議して、説得に回ったんだろうなと思った。
もう無理だと言った八木さんを助けるために、トップが動いた。デリファスとは雲泥の差ですね。はい。

途中から泣きすぎて記憶が飛び飛びなので、また何か思い出したら追記しようと思う。今のところはこんな感じ。


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