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騒音。稽古場レポート0104より

『騒音。見ているのに見えない。見えなくても見ている!』について、どんな舞台かわからない、とよく言われます。確かに。つくっている私たちも、どんな舞台になるかよくわかっていません。よくわからないなかで日々稽古をしている訳ですが、ある人から、関係者向けの稽古場レポートがめっちゃおもしろいと言われました。意外でした。毎日稽古が終わってへとへとになり、今日も取れ高ゼロですか…、というしょぼんとした気持ちで書いていることがほとんどだったからです。確かに、稽古場でのトライ&エラーを公開することって今までなかったと思います。地点の舞台はいつでも細部までつくりこまれている印象かと思いますし、強固なコンセプトに基づくプラン通りの作品と思われる方もいらっしゃることでしょう。でも実際には、当然のことながら、そんなことは全くありません。というわけで、稽古場レポートを転載しながら、創作の様子をお伝えできればと思います。

みなさま

お疲れ様です。今日の稽古の様子をまとめます。
いきなりの報告でなんのことやら…の方もいるかと思いますが、ひとまず報告させていただきます。
また折に触れ、もろもろ説明していければと思っています。

・発語のルールの整理
(これまでの稽古では蛇居拳算※にヒントを得て「マスク」「ウイルス」「ワクチン」の状態/身振りを変容させていくゲームをつくりました)
→ウイルス状態の人が常に動きながら発語する
→任意の箇所で短く区切った台詞をウイルスの人たちが順に発語する
→任意の回数繰り返しながら発語し続ける

例えばこんな感じです。
(ゲームは同時に進行していくので、発語者が増えたり減ったり、
マスクの人達の「神神神神」ワクチンの人達の「コロナコロナ来た」という言葉が重なったりします)

A これから私が
A これから私が
A これから私が
B ある考えが
A 他人から聞いたことを
B ある考えが
A 他人から聞いたことを
B 浮かんできます
A お話しますから
B 浮かんできます
A お話しますから
B 残念ながら
C このウイルスは
A お話しますから
B 残念ながら
C このウイルスは
A しっかりとお聞きになってくださいね
B 私たちの頭に浮かんでくるわけではないのですが
C このウイルスは
A しっかりとお聞きになってくださいね
B 私たちの頭に浮かんでくるわけではないのですが
C 本当は全然たいしたことありません
A 他人から聞いたことでなければ…

ゲームの継続と発語の関係はだいぶ整理されたと思います。(ゲームをしながら発語する方法が見つかりました)

後半は、C-COMから送ってもらったスクリーンの選択とプロジェクションの方法などを話し合いました。

→ スクリーンはポリエチレンフィルムがよいのではないか(厚さについては施工の仕方や予算等を鑑みて決定)
→ スクリーンは基本的に全周にある(暖簾状にしたり、前側は空いているといったことはしない。見づらい状態を活かした演技・演出を頑張る)
→ 舞台にプロジェクターをセッティングする必要は必ずしもないのではないか(俳優の動きでプロジェクターが揺れることがストレスになることを回避)
→ 字幕は基本的に舞台前に固定位置から投影してはどうか(フロントからのプロジェクションが床に反射して後方にも映る) 
→ 最終的にはスクリーンが上がっていく?(技術的な検証が必要。照明との兼ね合い、元々のスクリーンの高さなど)

俳優がもう疲れ切っていて、あまり盛り上がらない感じではありますが、映像映しながらの稽古も少し撮影したので共有します。
https://youtu.be/ixd1JKFhrb4
また、年末にC-COM豊永さんが送ってくださった装置の実験の映像を稽古場で共有しました。(こちらにも添付します)

実際には映像でしたが写真のみの掲載

明日10:00より、C-COMの工房で木津さん・大鹿さん立ち合いの元、バランスボール案の実験をして詳細を検証の予定です。
どうぞよろしくお願いします。

※蛇居拳算とは
「じゃいけんざん」と呼びます。音楽監督である三輪さんのアルゴリズムを利用した作曲/演奏方法で、地点『ノー・ライト』の合唱隊や『スポーツ劇』のコロスがこの方法を用いて演奏をしていました。「0」「1」「2」の三つの状態を仮に「グー」「チョキ」「パー」とした場合、相手の状態によって自分の状態を変化させる方法です。相手と自分が違う状態ならそのどちらでもない状態に変化、相手と自分が同じ状態ならそのままの状態をキープ、というシンプルなルールをもとに、例えば相手が「グー」で自分が「チョキ」なら、「パー」に変化していくということを順番に永遠に行っていくことができます。
地点『騒音。…』では、この「グー」「チョキ」「パー」に対応する「ウイルス」「ワクチン」「マスク」という三つの状態を設え、それぞれの変化の様子をこの蛇居拳算を用いて表現しています。


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