“昔々あるところに”っていうと、みんな、おじいさんとおばあさんが住んでいましたっていうふうに、言うよね。“昔々あるところに”って、あっ始まったって思って、その次の展開を想像する。これがいわゆる「物語」。“昔々あるところに”っていうつもりで、僕がお芝居を作ったことって、多分、ないんじゃないかなって思っちゃうんだよね。例えば「一行でわかるドラマ」っていうふうに考えがちです。それはどういうことかっていうと、例えば天皇陛下万歳って言った瞬間に、はい、わかりましたっていう空気が流れると思うんだよね。それは何か戦中のお話なのかなとか、あるいは今現在、何かそういった政治的なメッセージあるいはそれに対する批評的な何か扱いなのかな、次の展開を考えていく時間でドラマを進行させる...”