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保守vsリベラル、積極財政vs緊縮財政という構図で捉えること自体が古い理由
皆さん、こんにちは。
今日は年末ということで、今後の日本の政治について、誰が本当に国民のための政治を行い、激変しつつある世界情勢の中で日本のかじ取りを行うことができるのかについて、若干考察をしてみたいと思います。
いま世界は激変の最中にあります。いつからこの変化が始まり、これがどのような形になり、いつ終息するのかについては、後世の歴史家が判断をすることになるのでしょう。
まずは世界情勢で、いまどのような変化が起こっているのかを俯瞰するところから、スタートしていたいと思います。
いま世界で何が起こっているか
2024年は米国、欧州、アジアの各地で選挙が多数行われましたが、何と言ってもそのクライマックスが米国大統領選挙であったことは言うまでもありません。衰えたとは依然として、世界最大の軍事力と経済力を誇る米国の動向はもちろん重要ですが、今回のトランプ大統領の復活は単なる政権交代以上のインパクトとなりそうなのは、皆さんもお気づきかと思います。
当選後、矢継ぎ早に閣僚人事を発表しましたが、その顔ぶれを見れば納得です。新たに政府効率化省(DOGE: Department of Government Efficiency)を新設して、そのトップにテスラ創業者のイーロン・マスク氏を、そして同じく実業家のビベック・ラマスワミ氏を起用。
無駄な政府の歳出をカットすると大手メディアは報じていますが、その意味するところは、かつて日本で民主党政権が行ったような事業仕分けなどという生やさしいものではありません。2016年の第1期政権のときから、トランプ大統領は一貫して主張していましたが、いわゆる「ディープステート」と呼ばれる、利権で結びついた選挙では選ばれない勢力を破壊する戦いが開始されるということを意味しています。
この対象となる勢力は、かつてアイゼンハワー大統領(在任期間1953年~1960年)が警鐘を鳴らした「軍産複合体」と言われる軍需産業、国際金融資本、ビッグテックと言われる巨大IT産業、製薬・医療業界、再生可能エネルギー関連と環境マフィア、人権利権と武器化された司法、そしてこれらを後押ししてきたオールドメディアなど国境を越えた巨大なものです。
バイデン民主党政権の政策は、ウクライナ紛争や中東に対する外交政策、移民政策、環境政策、国内の治安政策等、ほとんどこれら巨大利権に沿ったものであり、実はこれを裏からサポートしていたのが共和党内の反トランプ勢力であることが露呈しました。つまり、トランプ大統領が戦っていたのは、民主党だけでなく共和党内部にしっかりと根を下ろしていた「名ばかり共和党員」(Republican in Name Only:通称RINO)であり、逆に選挙戦中盤以降は、イーロン・マスク、ロバート・ケネディ・ジュニア、マーク・ザッカーバーグといった元々は民主党支持者たちも味方につけて、あれだけの圧倒的な勝利が実現したのです。
このような構図が出来上がった背景には、上位1%が国の3分の1を超える富を、上位10%が3分の2を超える富を保有しているという米国内の凄まじい経済格差があります。
大敗北を喫したカマラ・ハリス陣営が、自らの集会でハリウッドスターなどを集会に呼んで人種問題や環境問題などを訴える中で、黒人・ヒスパニックなども含めた幅広い中間層が、現実にはトランプ陣営支持したこと。この選挙結果が、もっとも象徴的と言えるではないでしょうか。
さて、2025年1月予想される抵抗は凄まじいものとであると予想されますが、今回の大統領選挙におけるトランプの圧倒的な勝利によって、新たな社会秩序再編の動きが加速化することは間違いないでしょう。そして、この米国の政治状況は、欧州を始めとした世界の動向とも軌を一にしています。
実際に欧州ではひと足先に続々とオールドメディアが極右と呼ぶ保守的勢力の台頭が進んでいました。イタリア、オランダ、ポルトガルといった中規模の国々では、すでに保守勢力による政権交代が進んでおり、イギリス、フランス、ドイツといった大国では、混乱の中で少数与党が安定した政権枠組みが組めない状態が続いています。この背後には、ウクライナ紛争、移民政策、極端に進む環境政策などがあり、エネルギー価格の高騰や移民による労働賃金の引き下げに伴う経済問題だけでなく、社会秩序や治安の悪化といった問題を引き起こしています。
米国と欧州でともに進行しているこの動は、一見すると行き過ぎたリベラルに対する反動のようにも見えますが、実際にはオールドメディアが「極右」と表現する勢力が極端な排外主義に立脚しているわけではありません。彼らが多数の支持を集められているのは、国内の圧倒的な多数を占める中間層の既得権益者に対する強烈な不満に支えられているからです。こうした既得権益者を構成しているのが、選挙で直接選ばれない官僚、政治家の背後にいるグローバル企業やNGOなどが、国際的に既得権益で結びついたいわゆる「ディープステート」なのです。こうした勢力を覆そうという動きは、理念や価値観といった抽象的なレベルではなく、経済や治安といった実際の庶民の生活に根差したものであり、国境を越えて共鳴し合いながら新たな秩序を形成し始めているのです。
翻って日本では・・・
米国や欧州ほど経済的な二分化が進んでいない日本ですが、既得権益による政治に対する不満は同様に進んでいます。30年に及ぶ長い経済停滞の中で、国民の所得は一向に増えずに負担ばかりが増していく構図。そしてもはや保守とは呼べない政策ばかりを展開する自民党政権でも、対する立憲民主党を始めとする野党陣営にも、多くの中間的な国民の利益を代表できていません。
政治家は口を開けば、SDGs、LGBT、選択的夫婦別姓、再生可能エネルギーやEVの推進、極めつけは政治とカネをめぐる問題等々。そして国民の議論が不在まま次々と決まっていく増税・増負担の政策は、輸入物価の高騰と合わせて、国民生活を着実にむしばんでいる現状は、米国や欧州で進んでいる政治状況とシンクロしています。
2024年10月の衆議院選挙では、こうした国民の不満とまったく向き合わなかった自民党、公明党、立憲民主党、日本維新の会は、いずれも比例代表での得票を大きく減らしました。これに対して躍進したのは、国民民主党、れいわ新選組、参政党、日本保守党と、イデオロギー的には右から左までそろっていますが、いずれも減税や積極財政などを直接訴えていた政党です。
では、2025年の日本の政治はどのように進んでいくのか。少数与党となった自公政権は、通常国会で来年度予算を通すために、野党勢力との何らかの連携が必要不可欠です。それと同時に、1月に誕生するトランプ政権が引き起こす国際秩序の大きな変化(気候変動条約の枠組み、WHO、自由貿易体制などが根本から揺らぎます)にも対応しなければなりませんし、東アジアの安全保障環境の緊張は高まるばかりです。7月に参議院議員選挙が控えている中で、既得権益に縛られて世論が求める減税にも対応しない石破政権への不満は頂点に達すると予想されます。
このような困難な状況ですが、2025年は日本の政治経済が大きく変化する1年であるとみています。逆にいうと、変わらないと日本は引き続き衰退に向けて転がり落ちていくでしょう。
では、実際にどのように変化していくのか。私は現在の政党の枠組みでは、この変化対応できないのではないかと考えています。自民党内にも立憲民主党内にも、保守的な考えの人も、リベラルな考えの人も混在しており、経済財政政策に対する立場もばらばらの中で、いまの国民世論を納得させることができないばかりか、デフレ経済が続く中で物価がどんどん上昇していくスタグフレーションをコントロールできません。また積極財政派と呼ばれる人の中にも、実は減税には消極的な人たちもいます。
ということで、結論としてはタイトル通りで、保守vsリベラル、積極財政vs緊縮財政という構図ではなく、新たな政治的枠組みの形が見え始める、そんな1年になるのではないでしょうか。今後もNOTEでは、政治経済の最新の動向を含めて、誰もがわかりやすく理解できる記事をアップしていきたいと思います。2025年も、よろしくお願いいたします!
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